モンゴル800、アルバム『Daniel』全曲解説 後編

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──8曲目は儀間さんの「ダンスホール」ですね。これも楽しい系な内容で。

儀間:今回(儀間が書いたなかで)一番ひねくれた感じの歌詞だと思います。そのひねくれた感じを、なるべくサラッと表現しようとしましたね。また曲自体も不思議なノリで。こういうタイプの曲は好きキライが分かれるんだろうなぁって思う。ライヴでは独特な盛り上がりになりそうですね。

  


──確かにライヴでモッシュというようなイメージとは異なるエキサイティング感を味わえる曲になっていると思いました。そんな曲の次に収録された「廃墟」は、全然異なるちょっとセンチメンタルな仕上がりですね。

儀間:今回、自分の曲の中で、完成のイメージがしっかりあった曲。これまで親しんできたものが無くなってしまうことは寂しいんだけど、ただそれだけそれだけで。その繰り返しの中で生きている。昔からずっと続いてるいつもの事ってコトを伝えている曲ですね。

  


──10曲目「スコール」は、モンパチにとっては珍しいくらいのスローなバラードになっているような。

上江洌:ゆっくりした感じの曲も、僕らの好きなタイプの曲調のひとつなんです。アルバムにはそういう曲を常に1曲は収録しているつもりなんですけど。曲は、沖縄のスコール=雨が振ったりやんだりする天気からイメージがわいて、歌詞はちょっと寂しい感じなんですけど、内容が。

──でも感動が雨のようにカラダにジワジワ浸透していくような曲ですよね。

髙里:基本的にバラードのリズムって苦手なんですよね。ずっと同じリズムをキープしつつも、いろんなことを伝えなくてはならないから。これまでのバラード曲は、どうしても中途半端だったというか。うまく感情を伝えきれてない部分があった。でも、今回は自分が出したかったリズム感を表現できた気がする。スローななかにも感情を閉じ込められたというか。だから(完成したとき)やりきった感で気持ちよかったですね。

  


──11曲目の「ストーンハウス」は、夢と現実の間をフワフワさまよっているような感じのサウンドですね。

儀間:昼寝のときのまどろみかな?

──この曲の「A drean or reality」っていうフレーズの部分のサウンドが、夢と現実の世界を行き交っているような不思議なものですね。

儀間:ここでのリズムは、僕がぜひモンパチで表現してみたかったこと。最初はどうなるか不安だったんですけど、レコーディングしてみたらしっくりきて。これはアリだなって思いましたね。

髙里:ちょっとした変拍子って「亀」とか「ダンスホール」にもあるんですけど。崇の作る曲ってそういうのが多い気がする。

  


──12曲目「face to face」。これもまた「スコール」同様、かなりストレートな歌ですね。

上江洌:うん、遊んでないですね。でも足並み、町並、人の波、人並とかところどころに言葉遊びの片鱗があるというか。そういう言葉を駆使しつつ、伝えたいことを伝えられてるというか。

──メロディやアレンジに関しては、モンパチらしい勢いと感動を一番体感できる曲だと思うんですが。

上江洌:そうですね、今までの感じがありつつも抜き差しというか、曲に抑揚が今まで以上にある気がする。シンプルだけど、成長した僕らの姿を感じてもらえるのでは。

  


──なるほど。そしてラストには英語詞の「Home」。

上江洌:後半はどれも寂しい感じの曲ですね(笑)。沖縄に住んでいる人って、故郷を離れて進学・就職する人が多いんですけど。僕らの年代ってちょうど、沖縄を離れて新しい生活環境に慣れた、でも疲れ始めている人が多いみたいな…。そういう人たちに、サラッと応援しているというか。離れても、みんなの心になかには沖縄があるよってコトを伝えているつもり。この曲で始めて歌詞に“OKINAWA”って言葉を使ったんですけど、地味に満足してます(笑)。

──サウンドはどこかノスタルジックでありながらも、心に強さを与えるものです。

上江洌:イメージはアイリッシュ・パンクみたいな感じ。イントロのギターの響きが、そういう感じを出しているかなって。また最後のティンホイッスルの音もいい味出してるし。こういう音とせつない感じの歌詞がうまく交ざって、アルバムのラストにふさわしい仕上がりになっているのかなって。

  


──と言いつつ、実は隠しトラックがあるという(笑)。

儀間:これはおまけで。いつも清作が何かシメの曲を作ってくれてたんですけど、今回はないって言うから。昔のアイデアを引っ張ってきて完成させた。だからメッセージは何もないし、曲も曖昧で。おちゃらけてる感じの曲ですね。

上江洌:これは自分たちの練習スタジオで一発録りしたんですよ。

  
  
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