<FRF'06>スノウ・パトロール、美しく繊細な世界観響かせるが、ややパワー不足か

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アイルランド出身、グラスゴーで結成されたスノウ・パトロール。2004年のアルバム『ファイナル・ストロー』で大ブレイク。UKのみならずUSでも成功した同作に続き、今春には新作『アイズ・オープン』をリリース。全英チャート1位を飾った新作は、発売3ヵ月以上経った現在もトップ10入りのロング・ヒットを続けるている。今や彼らはコールドプレイ、キーンらと並ぶ新世代UK叙情派の代表的存在の一つとなっている。そんな彼らが、2004年に続きフジロックに出演を果たした。

オープニングでは出囃子のアウトロから「スピティング・ゲームズ」のイントロにつなぐ芸の細かさを見せるなど、彼らの繊細で作りこまれた世界観が反映されている。天使のため息のように優しいヴォーカル、激しいディストーション・ギターに乗せて脱兎のごとく駆け出す疾走感──陰と陽、静と動の対比こそスノウ・パトロールの魅力だ。ヴォーカルのギャリーは“コンニチハ、フジロック、ゲンキ? ボクタチ ハ スノウパトロール デス”と流暢な日本語MCで、オーディエンスをどっと沸かせる。

今回のステージでも卓越したソングライティングを実感させる、繊細で美しく、そして躍動感のある楽曲の数々を披露してくれた。ただ、本格的なツアーは秋以降に予定しているという時期的なものもあってか、ウォームアップ中というか、パワー不足の感は否めなかった。前回、2004年のフジロック(レッド・マーキー)より確実な成長を見せてくれたものの、楽曲、とくに新曲の持つ魅力を100%は引き出しきれてはおらず、また昼間の時間ということもありモッシュピット近辺に集まった熱心なファン以外は、巨大なグリーン・ステージ全体が盛り上がっているとは言い難い状況であった。作品の圧倒的な完成度の高さという武器があるだけに、ライヴでもあの世界観を聴けることを期待したい。

取材・文●suepyon
写真●KENTARO KAMBE

7/30 GREEN STAGE

1. Spitting Games
2. Wow
3. Chocolate
4. It's Beginning to Get to Me
5. Chasing Cars
6. How to Be Dead
7. Make This Go On Forever
8. Ways & Means
9. Run
10. You're All I Have

FUJI ROCK FESTIVAL '06特集
https://www.barks.jp/feature/?id=1000025344
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