柴田淳、6年越しの“片思い”が実った日

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あなたには大好きで、大好きで仕方がない人がいますか? その人のこと大好きなんだけど、片想い。一緒に手をつないで楽しい時間を過ごしたい……と思うんだけど、なかなか告白できないもの。だってフラれたら自分を否定されちゃったような気分になっちゃうから。

柴田淳は、まさに“ライヴ”というものに、ずーっと片想いで恋し続けてきた。デビューしてからの6年間、そう、“ライヴ”に対して6年越しの片想いを続けてきたのだ。

責任感も強く、完璧主義者のくせに、極度の上がり性の柴田淳は、「まだライヴをする自信が持てないから」という思いもあったのだろう。運良く(?)ツアーするようなタイミングも訪れず、CDをリリースすることでファンはしっかりついてきた。でも心のなかでは“ライヴをしなきゃ”“ファンが待ってる”と思っていたのも間違いないだろう。

ミュージシャンは、曲を作って、歌って、CDを出してライヴをやるのが、彼らの天賦だ(ま、なかにはそうじゃないミュージシャンもいるが)。柴田淳も、歌に対して真剣な分、その天賦を大事にしてきた。その真剣さゆえに、万が一フラれた場合、「もう立ち直れない」となるわけだ。ただ単に好きな人にフラれたならば当事者がつらいだけだが、柴田淳が“ライヴ”にフラれ嫌われたら、こりゃファンも寂しい、スタッフもつらい、プロのミュージシャンとしてなにより柴田淳がつらい。

そうやって“ライヴ”に対して意識すればするほど、よからぬ妄想も膨らんできたに違いない。そうだよね、好きな人を意識すればするほど、いいことも悪いことも、大げさに妄想するから。途中、イベントや招待制ライヴなど単発でのライヴをやってきたけれど、それはそのときどきで“ライヴ”と“友達以上”にはなったけど、けっして“両思い”にはならなかったはずだ(その後、イベントにせよ数多くしたことはなかったから)。

それが、一念発起して、ライヴ……そう、全国ツアーを開始した。東名阪、仙台、そして再び東京、5公演のホールツアーだ。昨年春にレーベルを移籍したわけだが、きっとこれをいいキッカケとしたのだろう。移籍第一弾のアルバム『月夜の雨』をリリースしてツアーに出発した。そしてファン想いの彼女、全国各地で待っているファンのためにも。

このツアーは大成功、と言っていいだろう。最終日となった4/10の東京厚生年金会館でのライヴで柴田淳は、序盤で緊張していたとはいえ、しっとりと聴かせる歌を中心に全15曲を披露。どこへ出しても恥ずかしくないライヴを行なった。だって歌、うまいんだもん。

柴田淳と“ライヴ”はとうとう両思いになった。とはいえ、付き合いは始まったばかり。「こんな人だっけ?」「あ、意外といいところあるのね」「わー、実はこんなクセを持ってたんだ~」なんて発見をして、時にはケンカしたり、時にはラブラブになったりするのだろう。そしてどんどん磨きをかけて、どんどんステキなライヴを披露してくれるに違いない。

文●星野まり子
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