BACK DROP BOMB、『VENOMETEORIC』特集インタビュー

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――これまでは3~4年に1枚というペースでアルバムを発表してきたけど、今回は前作から1年7ヶ月、かなり早いペースだね。

Takayoshi Shirakawa(以下、Shirakawa):前作を作ったあとに、フレーズとか曲の断片とかがかなり残っていて、そのストックを使って作ったので早かったんです。前作リリース後のツアーをひと通り回ったところでこのアルバム制作に入ったんですけど、ツアーの合間にも個人が持ち寄ったデモを聴いたりしてましたから、実質的にはほぼ前作から続いて作っていた感じでした。

――タイトルの『VENOMETEORIC』は造語?

Shirakawa:まず“Venom”って言葉を使いたかった。ただ、そのままだとヘヴィメタルとかのイメージになっちゃうんで、彗星の意味の“Meteoric”につなげて。昔の古い作品のタイトルにあったような言葉にしたいというのもあったんです。

――ジャケットもそんな彗星っぽいイメージ?

Shirakawa:ジャケットのアイデアはほかのメンバーから出てきたものなんですけど、タイトルもアートワークも、メタルとかで使いそうな要素を入れて、でも完全にそっちに行かないようにしたいと考えていたんです。ロックバンドだかなんだかわからないような方向を狙っていたんで。

――このアルバムを作るにあたって目指したのはどんなこと?

Shirakawa:今回は前作のときのストックを使って作ったんで、どんな形になるかはある程度想定できていましたね。だから曲をどうしようとかいうより、今回は録り音をもっと考えようという方向に目が行きました。メンバーも変わっていないし、どう作ってもどっちみち僕らの曲になるだろうと思ってるから、いつもコンセプトは立てないんですけど、今回はレコーディングの環境や曲作りの手法を変えてみるとか、そういう方向でどう広がりを出せるか、そういったことも考えました。

――具体的にはどんなところを変えた?

Shirakawa:個人的にやりたかったのは、期限を設定することなんです。普通はそうなんだと思いますけど、いつからいつまでレコーディング期間って設定してやったことはなかったんです。曲の作り方についても、今までは個人がパートごとに持ち寄って作ることが多かったんですけど、みんなでスタジオに入って“せーの”でやってみたらどうなるかっていうのも試してみましたね。

――“せーの”でやってみた感触はどうだった?

Shirakawa:バンドを結成して十数年になるのに、今さらその方法が新鮮だっていうのもどうかなと思うけど(笑)、やってみたら意外と早く曲ができましたね。ただこればっかりやっててもまた飽きるなと思ったんで、今後どうなるかはわからないです。

――そういう手法を使ったから、ストレートでスピーディなロックバンドっぽいサウンドになった?

Shirakawa:それもありますね。あと前作の作風からの延長というのもあるし、今はロックバンドっぽい方向に興味がいってるということもあると思います。音を重ねていくことにみんな飽きてきたというのもあるかな。以前は色々なものをどんどん重ねていくのが基本だったけど、今回はどんなものを重ねるか、どう足すかということよりも、音の分離をはっきりさせるということに重点を置きたかったんです。ストレートにロックバンドっぽくやったとしても、音の数を比べたら他のバンドより相当多いはずなんですね。でも音が多いから潜っちゃったり隠れちゃったりするんじゃなくて、耳を傾ければ聴こえてくる程度でいいから、どの音もちゃんと聴こえるようにしたかった。その意味で、全体の分離のよさが大きなテーマでした。

――音の分離のためにはどんな工夫を?

Shirakawa:録る前、最初に音決めを重点的にやりましたね。ミックスのときはレベルを調整する程度で、音はほとんどいじってないんです。それとやっぱり、エンジニアのKeith Souzaの力量によるところが大きいと思います。あの立体感は日本で録ったら出なかったかもしれないですから。

――レコーディングエンジニアをKeith Souzaに頼んだのはどうして?

Shirakawa:彼がやった去年のBATTLESとかの音作りを聴いてて、こういう音がいいんじゃないかってメンバーで話をしてたんです。分離がはっきりしていてボトムが効いてる。真ん中がちゃんと作られていて、土台がしっかりしているから下も上もはっきり出ていて、かつヌケがいい。LAレコーディングみたいな感じとまた違う、知的だけど豪快な音っていうのかな。そういう音にしたかったんです。

――そのレコーディングはロードアイランドでやったそうだけど、どんなところが良かった?

Shirakawa:録りからミックス、マスタリングまで、トータルで3週間ロードアイランドでやりましたね。いいところは、環境が基本的にがらりと変わること、人里離れるというか。向かう場所がレコーディングしかなくなるんで、集中できるところかな。ただそういうのが好きなメンバーと、それだとストレスがたまるメンバーとがいるんで。僕は後者だったんで(笑)。

――それはどう解消したの?

Shirakawa:自分のレコーディングの前日に行ったんです。閉じ込められる期間をできるだけ短くするという最終手段(笑)。それでもミックスも含めれば10日くらいあったんで、後半はきつかったですけど。

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