羊たちの回想:メリーのツアー総括(4)

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すっかりご無沙汰しております。第3回からちょっと時間のスキマができてしまいましたが、べつにそのこと自体にたいした意味はなく、敢えて理由をあげるとすれば筆者がここのところ異常に忙しかったというだけのことで、決してこの連載の存在を忘れていたわけではございませぬ。というわけで、昨年末に終了した『Many Merry Days#3』の総括の“つづき”をお届けすることにしましょう。ちなみに筆者は現在、この原稿を国外の某所でまとめていたりするのですが……何処で何をしているのかは、じきにバレることになるはずなので敢えて今は公表せずにおきましょう。

12月4日(火)金沢・AZ
12月6日(木)さいたま新都心・HEAVEN’S ROCK

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――四国シリーズを終えていきなり北陸へ。瀬戸内海を眺めていたかと思ったら山道を越えたところで日本海が見えてきた、というルートでの移動だったわけですよね?

ネロ:ええ。けっこう長かったですね。でも、海ってどれも違ってますよね。日本海はイメージ的に暗いというか、なんとなく黒い感じ。まさに『火曜サスペンス』な雰囲気というか(笑)。浜じゃなくて断崖絶壁だったりするし。

ガラ:個人的には、金沢でのライヴは、このツアー中いちばん良かった何本かのうちのひとつだった気がするんですよ。初めての場所で、めちゃくちゃ気持ち良くライヴをやらせてもらえたなって思う。

ネロ:不思議な構造の会場なんですよ。フロアがプールっぽいというか。客席部分が深くえぐれてる感じの造りなんです。実際、ライヴ自体はいい緊張感をもってやれた気がしますね。

テツ:俺も、四国に続いていいライヴができた記憶がありますね。お客さんもすごく熱かったんで、それに乗せられた部分というのも多々あって。ただ、“いいライヴ”と感じたのはむしろ個人単位でのことというか。こういう言い方をすると語弊があるかもしれないけど、バンド単位で考えたときに“いいなあ”と感じられるものが、この後あたりから増えてきて。

健一:金沢は……どうだったかな(笑)。自分のなかでは、九州と四国でのライヴが良かった印象があまりにも強くて、それ以外の記憶が薄くなってしまってるところがあって。

結生:俺もなんか、よく憶えてないなー。

ネロ:2人が変な写真を撮りあってたのが金沢だよ。

――誰かさんの“いちごオレ吸引写真モザイク処理事件”のときですね(笑)。

健一:ああああ、それはよく憶えてます(笑)。

――そして金沢から一気にさいたまへ。このときは当然、各自、家に戻ったわけですよね?

結生:そうですね。ところが、自宅に戻ってくつろいでたら、気の緩みで抵抗力が落ちたのか、肌がすごく荒れて、顔がパンパンになってしまったんですよ。だから、さいたまの日だけ、俺は顔がスゲえ太ってたんです(笑)。大概のお客さんは気付かなかっただろうけど、最前列の人とかは「ツアーに出て、太ったのかな」とか思ってたかもしれない(笑)。

――疲れが一気に出たんでしょうね。しかしそんなに顔がパンパンだったのに、ライヴ後はびっくりドンキーで300gのハンバーグをたいらげてたようですが。

結生:ははは! ま、その頃にはだいぶ元に戻ってたんで。

ネロ:やっぱり家のベッドで寝れるのがいちばんいいですね。世界一だと思います。ホテルのベッドって、好きじゃないんですよ。ピシーッとしすぎてて、一度クシャクシャにしないと落ち着かないというか。あと、そういえばこの日のライヴの終演後に、ちょっとモメたんです。俺が「もう1曲やりたい」と言ってしまったがために。

ガラ:今回のツアーでは、何があっても毎回「空っぽな歌」で終わろうって話をあらかじめしてたわけですよ。で、「空っぽな歌」をやり終わった後、楽屋に戻ってきてからメンバーに「もう1曲やりたい」って言うんならいいんだけど、ネロはお客さんに言っちゃったんです。実際、会場の空気としてはもう1曲やってもいい状態ではあったんですけど……みんな、最初からそういうつもりでいたから、気持的にそこでもう“終わってた”んですね。お客さんは「ネロはやりたいって言ってたのに、みんな出てきてくれなかった」とか思ったかもしれないけど、実はそういうことだったんです。

結生:結果、楽屋に引っ込んでからそういう話をしてるうちに、出て行くタイミングを逸してしまったというのもあるんですけどね(笑)。

増田勇一
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