メリー、「閉ざされた楽園」リリース大特集 INTERVIEW

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MERRY INTERVIEW

《前編》
ライヴの前後を締める2曲の完成と
裸の自分を見せるというステージでの意識

3月12日、渋谷O-EASTで幕を開けたメリーの春季全国ツアー<Many Merry Days #4>。5人のメンバーたちは現在、5月3日、横浜文化体育館での<Many Merry Days FINAL>をひとつの着地点として見据えながら、日々、ライヴを重ねている。そして、そんなツアーの真っ只中にリリースされるのが、まさに最高傑作と呼ぶに相応しいニュー・シングル「閉ざされた楽園」なのである。すでに読者の多くは、5月3日に「Midnight Shangrila/空っぽな歌~final cut~」が会場限定販売シングルとしてリリースされる事実もご存知なのではないかと思うが、今回のインタビューでは、この2作品と現在進行中のツアーについて、敢えてテーマを区切らずにたっぷりと訊いた。何故ならすべての要素が、切っても切り離せない関係にあるからだ。

――まずは現在進行中の<Many Merry Day #4>について。滑り出しから順調だったようですね?

ネロ:セットリスト的にはかなり大胆というか、挑戦的だったんですよ。なにしろ1曲目が「Midnight Shangrila」で、本編の最後が「閉ざされた楽園」で。でも、ツアー初日から想像以上にいい感じで。お客さんとも波長が合って、いいスタートが切れたなと思います。

ガラ:実はこの「閉ざされた楽園」というのは、作る時点から「本編ラストになる曲が欲しい」って結生君に要求してた曲なんですよ。これまでのメリーのライヴって、激しい曲で行き切って終わるか、バラードで締めるしかないようなところがあったじゃないですか。その、どちらでもないものが欲しかったんです。

結生:そんなリクエストを踏まえて、敢えてメリーを客観的に見ながら作った曲ですね。逆にこの「閉ざされた楽園」を作ったことで、改めて自分でもこのバンドのことがよくわかったというか、今後の可能性が見えてきたというか。しかも、レコーディング中はもちろん、その前の段階からずっと5人全員がライヴを意識しながら取り組んできた曲だけに、初めてステージで演奏したときも、今まで新曲を初披露してきたときとは違った手応えがありましたね。

テツ:「閉ざされた楽園」にも「Midnight Shangrila」にも、自己満足じゃない一体感があったと思う。やっぱり新曲を演奏する場合、お客さんも“聴き”に徹することになるんじゃないかという予測は常にあるし、自分たちの側にもちゃんと出し切れるかどうかという不安があるわけですよ。でも結果的には、それは不要な心配だったな、と。

健一:まず今回のツアーでは、とにかく前回の<Many Merry Days #3>を超えたかったんですね。しかも初日の時点から。そこで重視したのは、とにかく“自分たちを表現する”ということで。これまでのメリーのライヴって、ある意味、ちゃんとやろうとしすぎてた部分があったと思う。

ネロ:うん。CDを忠実に再現することに、とらわれすぎてたところも確かにあった。

ガラ:気にすべきところが違ってた、という気がしますね。結局は自分たちの意識が、“曲を届けよう”じゃなくて、“メリーを届けよう”というふうに変わってきたんだと思うんです。どんなときだろうと、どんな曲をやっていようと、ステージ上にいるのは同じ5人。そこで裸のメリーを、ありのままのメリーを観てくれという感じですね。

ネロ:そういう意味では、ひと皮むけた気がします。

――この2曲のポジションがガッチリと定められているのとは逆に、演奏曲目も曲順も、連日、かなり違ったものになっていますよね?

ガラ:ええ。最新曲とか古い曲とか関係なく、すべてのメリーの曲を平等に並べてみて、それを競争させるというか。そこからどの曲が残っていくことになるのかを、自分たちでも試してみたくて。

結生:曲によっては、これまでにはなかったカタチで演奏しているものもあるし。

テツ:改めて新鮮味を感じる曲も、多々ありますね。

健一:「さよなら雨(レイン)」とか「林檎と嘘」は、今回初めてクリックを聴かずに演奏していて。さらにいい曲になってきたな、という実感があります。

ガラ:「空っぽな歌」も変わってきました。初めて日比谷の野音でやったときの感覚とは、まるで違う。ごく自然に、みんなで歌うことができてるし。

健一:同時に、みんなの演奏に説得力が出てきたと思う。<#3>を経てきたことで。今にして思えば、これまでは自己満足に過ぎなかった気がしますね。もちろん今でも、自分たちのやりたいようにやってるという意味では同じなんですけど。

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