Mr.BEATS a.k.a. DJ CELORY、キラーチューン満載の新アルバムを語る

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Mr.BEATS a.k.a. DJ CELORYがBON-VOYAGE LOVERSシリーズの第二弾『BON-VOYAGE LOVERS~Smiley Groove~』をリリースした。DJ CELORY本人がレジデントDJを務めるクラヴ渋谷NUTSで行われているイベント<BON-VOYAGE>との連動作品となっており、歌もの~カヴァーもの~ラヴァーズ・ロック・レゲエを中心に、親しみやすいキラーチューンを収録。初心者でもわかりやすい作品に仕上がっている。

この作品について、Mr.BEATS a.k.a. DJ CELORYに話を訊いた。これまでの<BON-VOYAGE>の歴史から最新作の苦労話まで、メディアではお目にかかることの少ない彼の貴重なインタビューだ。

◆Mr.BEATS a.k.a. DJ CELORYからのメッセージ映像

──まずは『BON-VOYAGE LOVERS』シリーズのもとになるイベント<BON-VOYAGE>のヒストリーを教えてもらえますか?

Mr.BEATS:5年前に<BON-VOYAGE>というタイトルのイベントを、渋谷のNUTSで毎月第二土曜日に始めまして。基本的なコンセプトは、ジャンルや年代にとらわれずにいろんなものをかけていこうということで、ヒップホップやR&Bを中心に新旧問わず、日本語ラップもぐいぐいかけられるようなパーティーにしたんですよ。その中で、nutsにはラウンジがあるから、そこで「今月はレゲエ」みたいにテーマを決めてちょいちょいやってたんですね。確か最初のきっかけは、イベントが始まって2年目のクリスマスに、常連の女の子たちのためにラヴァーズ(注/メロディアスな歌ものレゲエの総称)のミックスCDを作って配ったら、意外と評判が良くて、「こういうの、みんな求めてたのかな」と思ったんですね。そこからブートレグで6枚ぐらい出したんですけど、それを気に入って買ってくれてたビクターさんのスタッフが「ウチからオフィシャルで出しませんか?」と言ってくれたのが、去年出した『BON-VOYAGE LOVERS~Sunshine Of Mind~』です。それがまた評判が良かったので、また今年も出しましょうという流れで、今回の『BON-VOYAGE LOVERS~Smiley Groove~』ができたんです。

――もともと、ラヴァーズは好きだったんですか。

Mr.BEATS:はい。ラヴァーズにはいろんなジャンルの要素が入ってるし、ソウル、ファンク、ジャズ、オリジナルのレゲエも、ラヴァーズというものでいろいろカヴァーできちゃうのがオイシイところかなと思います。R&Bやヒップホップのカヴァーもたくさんあるので、僕みたいなヒップホップ畑の人間にとっても面白いし、レゲエの畑でかっちりやってる人にはない視点で選曲できるのも、面白いところだと思ってます。

――普段クラブに足を運ばないような、一般的な音楽リスナーにとってもすごく入りやすいジャンルですよね。

Mr.BEATS:たぶん前作を買ってくれた人は、そっちのほうが多い気がするんですよね。ブートで出してる時にはあまり気にしなかったんですけど、こうやってオフィシャルで出すことになってからは、今までの層だけではなくて、グレーゾーンも意識しながらやってます。そこで「レゲエ、いいじゃん」と思う人が少しでも増えたり、いいアーティストを知ってもらうのはすごくうれしいことだし。DJって、リスナーと音楽とをつなげる役割を担っていると思うので、普段こういう音楽を聴かない層に対していい音楽を紹介できるような、選曲のバランスは常に意識してます。

――選曲する時に、どんなイメージやシチュエーションを考えていました?

Mr.BEATS:前作もそうだったんですけど、夜か昼かといったら昼なんですよ。夜にバッチリな音楽は昼に合わなかったりするんですけど、昼聴ける音楽って、夜も聴ける気がするので。そういう意味で、シチュエーションや時間をあまり選ばずに聴くことができるようにするために、昼間の要素が多く入った気はしてます。作る時も、Pro-Toolsに取り込むとか、制作は夜中にやりましたけど、選曲や流れを組み立てるのは昼にやってましたね。朝起きて、午前中の天気の良い時に、太陽の光を浴びながら。だから聴く時にも、このCDをセットして寝て、これで起きるのも気持ちいい感じになってると思います。

――スタンダードな曲がたくさん入っているのも、一般的な音楽リスナーにとってうれしいところです。

Mr.BEATS:70~80年代のカヴァーが今回は多いかもしれないですね。「Ribbon In The Sky」(スティーヴィー・ワンダー)とか「You Are Everything」(スタイリスティックス)とか「Through The Fire」(チャカ・カーン)とかもそうだし。前作がわりとヒップホップ、R&Bのカヴァー中心にスポットを当てたので、今回はもうちょっと広く、ソウルのカヴァーとかも入れてみました。それに、思いきりR&Bサイドのエステルとかエイコンとかの曲で、ちょっとラヴァーズのテイストがあって、ここに混ざっても遜色なく聴けるような感じの変化球も持ってきたりしてみたんですけど。前作を気に入ってくれた人が、今回はもうちょっと突っ込んだところへも行けるように、深さを感じさせる要素も散りばめてみました。

――セロリさんにとってDJの作法というか、モットーというか、いつも意識していることは何ですか?

Mr.BEATS:一番根っこにあるのは、先ほど言ったように、とにかくいろんな音楽を紹介していくということが、僕にとって一番大きなコンセプトとしてあるんですけど。でもその切り口として、今回みたいにただのラヴァーズミックスだけじゃなくて、「Smiley Groove」というタイトルをつけてあげたりとか、まとめ方の切り口というのは、特にこういうオフィシャルのミックスCDに関してはすごく大事だなと思っていて。ただ、現場ではDJはサービス業だと思ってます。100人中100人が満足できるかどうかはわからないですけど、少なくとも8割の人たちが楽しめるものを常に追及してプレイしてます。フロアも常に見てるし、なるべくオープンな気持ちでやってますよ。普通にメジャーな曲もバンバンかけるし。現場のパーティーは、頭で感じるものより体で感じてもらいたいから、みんなが反応するような曲を中心にかけていますね。

――なるほど。

Mr.BEATS:難しい面もありますよ。現場ではサービス業でも、それをそのままCDにまとめるのはちょっとお粗末な気もしちゃうし。そのバランスは常に意識してます。僕の場合、曲を作ったりもするんで、そっちの視点も含めて、「こういう時はこうだな」っていうものができてきましたね、長いことやってると。それこそ10年前だったら、こういうミックスCDの企画をいただいたとしても、できたかどうかわからないですね。「いや、俺はヒップホップDJだから。レゲエはやんない」って、頭が固かったかもしれない。でも長いことやってきて、ジャンルレスに「いいものはいい」という考えになってきたので。たとえばヒップホップのミックスCDをレゲエの人が作ると、違った切り口に見えると思うし、新鮮にも感じるし。その逆を今回僕はやっているという解釈で、レゲエの人に配って聴いてもらったりしてるんですけど。「これは俺らみたいなレゲエ畑の人間にはできないわ」って言ってくれると、それはすごくうれしいですね。僕もヒップホップだと「この曲はこういう使い方でしょ」っていうのがあるんだけど、レゲエにはそれはないから。「いいな」と思うものをどんどん取り込んで流れにできるんで。

――ありがとうございます。よくわかりました。

Mr.BEATS:僕は日本のヒップホップシーンに身を置きながら、自分でも特殊な感じかなと思っていて。それは、プロデュースしたりDJしたり、DJの幅もストレートなヒップホップだけにこだわらずにやってきたからこそ、今回みたいなお話ももらえて、ラヴァーズというものにも手を伸ばすことができたし。そういう自分のスタンスは、ほかの人はなかなか持ってないものだと思うんで、そこは大切に今後もやっていきたいなと思ってます。僕ならではの視点でやったものを、みなさんが楽しんでもらえたらすごくうれしいかなと。だから、今回はなんとか売れないとね。目指せ、前回超えで。(レコード会社のスタッフに)頑張ってください(笑)。

――6月13日には、リリースパーティーがありますね。

Mr.BEATS:NUTSのラウンジでやります。朝の4~5時に、このアルバム中心にやらせてもらおうと思ってます。ぜひ遊びに来てください!

取材・文●宮本英夫

<リリースパーティ>
6月13日(土)Bon-Voyage@Shibuya NUTS

◆iTunes Store Mr.BEATS a.k.a DJ CELORY(※iTunesが開きます)
◆DJ CELORYレーベルサイト
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