ラウドネス、神がかり的なライヴパフォーマンスを披露@恵比寿LIQUIDROOM

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日本の宝。日本人の誇り。1980年代に活動を開始し、紆余曲折しながらも数多の伝説を残して現在も積極的な活動を続けるハードロック・バンドLOUDNESS。結成当時からのオリジナルメンバーであり、バンドの精神的支柱だったドラマーの樋口宗孝氏を病魔で失い、今後の動向が懸念された彼らが、<CLASSIC LOUDNESS CHAPTER2>として、東京・恵比寿LIQUIDROOMでライヴを行なった。

◆ライヴ@2009.6.26恵比寿LIQUIDROOM~写真編~

このライヴは樋口宗孝氏をトリビュートする追悼ライヴの意味合いがあり、ライヴタイトルに“CLASSIC LOUDNESS”とあるとおり、樋口氏が在籍していた頃の楽曲を中心に構成されたライヴとなった。

まずはセットリストをジックリと眺めて欲しい。1980年代からの彼らのファンなら一目瞭然。そう、デビュー・アルバムから4枚目までのアルバムと、その間にリリースされたシングル曲だけをピックアップして構成されている(ただしアンコール最後の1曲は除く)。

まだ日本の音楽界にハードロックという市場が無い頃、LOUDNESSは颯爽とシーンに現われ、ティーンエイジャーを中心にハードロックを最も刺激的で先鋭的な音楽として認知させた。刺激の少ない日本の音楽シーンに少なからず不満を抱いていたファンは、その硬質でエッジの鋭いサウンドと、メンバーが持つ超絶技巧に目を見張り、そこで表現される世界観とも相まって、熱狂的に支持したのだった。

その、最も“尖がって”いた時代の音源を中心としたライヴ。それを20年以上を経た今に再現するのだ。当時の熱狂を知るファンも、最近聴き始めたファンでさえ大盛り上がりになることは必至。樋口宗孝氏を失った今こそ、当時のシーンを仲間とともに作り上げた樋口氏の功績を称えるためにも、ファンに見せなければならないライヴであったとも言えよう。

今回のメンバーは、二井原実、高崎晃、山下昌良の3人のオリジナル・メンバーに加え、ドラムスには鈴木政行が加入。演奏されたアルバムは次の通り。デビューアルバム『THE BIRTHDAY EVE~誕生前夜(1981年)』、『DEVIL SOLDIER~戦慄の奇跡(1982年)』、名盤中の名盤『THE LAW OF DEVIL'S LAND~魔界曲章(1983年)』、そして『DISILLUSION~撃剣霊化(1984年)』の4枚だ。

ライヴ本編は、これらのアルバムからほぼリリース順に演奏されることになった。SEが鳴り響くライヴ会場は、もう立錐の余地も無いほどの満員状態。男性ファンの野太い歓声に迎えられて4人が登場。彼らのテーマ曲「LOUDNESS」からライヴは始まった。もうギターリフを聴いただけで会場は大熱狂。リストバンドで固めた拳を振り上げサビを大合唱。28年の歳月を経て名曲が甦る。

そこからは怒涛の波状攻撃。回りくどいMCなどはほとんどなし。ファンが何を求めているのか、それを熟知したメンバーがデビュー・アルバムから順に数々の名曲たちを淡々と演奏していく。

最近では少なくなってしまった本格的なハードロック・サウンド。思えば、そのサウンドを生み出したのがLOUDNESSなのだが、自分たちが創造してきたサウンドを懐かしみながら、しかしそれ以上の熱意と魂をぶつけて演奏は続く。

LOUDNESSの演奏の真骨頂は、その圧倒的な音圧だ。そして音が硬い。バンドをリードする高崎晃のギターはあくまでも音量が大きく、そしてエッジがシャキッと立っている。リフ、バッキング、ソロと、どういうものを弾こうが音が会場を埋めるファンに突き刺さる。デッドなところがない存在感がある。そしていうまでもなく、その卓越したテクニックは、衰えることなく、逆に凄みすら感じさせる域に達している。ソロが始まるや、まさに目にも止まらぬ速さでパッセージが展開していき、聴くものの心を捉えずにはいない。

これは高崎晃に限ったことではなく、ヴォーカルの二井原実、そしてベースの山下昌良にも同じことが言える。二井原実が歌う高いキーのメロディライン、そしてシャウト、観客を煽る姿は以前と変わることはなく、ハードロック・ヴォーカルの醍醐味だらけとも言える。彼のパフォーマンスが中心にある限り、ファンは拳を突き上げる。惜しみなく賞賛を与えるのだ。ベースの山下昌良のゴリゴリと重量感あるベースも健在。ハードな楽曲を支配し、命を吹き込む。淡々とベースラインを弾き続ける彼の姿は、これぞロック・ベーシストと玄人筋をうならせる。

そして新加入の鈴木政行のことも記しておかなければならない。日本を代表するドラマーの後を受けて、想像を絶するプレッシャーもあったに違いない。しかし、このバスドラムの迫力はどうだ! 会場一番後ろの壁をバスドラムの音が揺らす。会場にいるファンは、お腹と背中にそのヘヴィーすぎるボトムを突き刺され、全身がロックに支配されているのを感じる。樋口氏の不在をプレッシャーに感じるどころか、彼の全霊を身に内包し、これまで以上のパワーでドラムを叩きまくっている。

LOUDNESSは不死身だった。会場にいるファンすべてがそう感じたに違いない。

「今回のコンセプトとは違うけれど」という高崎のMCのあと、2009年5月にリリースされた最新アルバム『THE EVERLASTING-魂宗久遠-』に収録された「HIT THE RAILS」を演奏してライヴは終了した。このアルバムは樋口氏が生前に残したトラックを元に、残りのメンバーがオーバーダビングして作り上げたもの。樋口氏の最後の仕事として後年に語り継がれるアルバムだから、ここで演奏されたのは、誰もが納得できるものだった。

爆音に身を委ねた2時間あまり。LOUDNESSが残したサウンドの偉大さと、それを作り上げたオリジナル・メンバー4人、そして鈴木政行を称えながら、ファンたちは帰途についた。

<CLASSIC LOUDNESS CHAPTER2 セットリスト>
2009年6月26日 @恵比寿LIQUIDROOM
1.LOUDNESS
2.SEXY WOMAN
3.HIGH TRY ~ROCK SHOCK
4.TO BE DEMON
5.ANGEL DUST~Drum Solo~GIRL
6.ROCK THE NATION~DEVIL SOLDIER
7.THE LAW OF DEVIL’S LAND
8.MR. YES MAN
9.IN THE MIRROR
10.BLACK WALL~BUTTERFLY
11.CRAZY DOCTOR
12.EXPLODER
13.DREAM FANTASY
14.ESPER
-ENCORE-
1.BURNING LOVE
2.ROAD RACER
-ENCORE2-
1.ARES'S LAMENT
2.SPEED
-ENCORE3-
1.HIT THE RAILS

◆ラウドネス・オフィシャルサイト
◆ラウドネス・レーベル・サイト
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