黒猫チェルシー、厳つくゴツくムカつく音の2nd Miniアルバム『All de Fashion』リリース大特集

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黒猫チェルシー 2nd Miniアルバム『All de Fashion』2009.12.2リリース特集

厳つくゴツくムカつく音で俺たちだけが歌える歌を歌う これが“ロック” それ以外の何というのか?

INTERVIEW

──というポジティブなメッセージに繋がる曲あり、ちょっとアホらしい曲あり(笑)。「ショートパンツ」とかは、どうしてショートパンツが曲の題材になったのかが謎で……。

澤: ベースの岳ちゃんが、ポロッと言ったんですよね。曲のアイデアとかネタ出しをしてたときに“ショートパンツ”って。

渡辺: 岳ちゃんは、ショートパンツが単純に好きだったっていう(笑)。

澤: 言うてたね。でも、履いてええなと思う人と、そうじゃない人おるよな、みたいな……。

──世の女性から抗議が来ますよ。“差別するな!”みたいな。

澤: ですよね! お前、そんなこと言える人間ちゃうぞって。でも、そもそもなんでこういう歌詞なのかっていうと、別にこういうことが伝えたかったわけではなく……。

渡辺: 伝えたかったら怖いわ(笑)。

──ショートパンツの普及を訴えてる曲とかだとしたら怖い(笑)。

澤: (笑)そうじゃなく。例えば、こういう60年代の音楽みたいな軽いノリのリフに、こういうアホらしくてなんでもないような歌詞を乗せてる面白さというか。こういうリズミカルな曲に“♪踊ろうぜベイベ~”みたいな歌詞を乗っけたんじゃ、面白くもなんともないじゃないですか。

──そのまますぎて、ね。どの曲も、歌詞を読みながらあらためてじっくり聴くと、意外性とかいろんなものが見えてきて面白そう。

渡辺: ぜひ! 次の「南京錠の件」(ゲストボーカルに後藤まりこ/ミドリが参加)って曲とかも、本当にそうだと思うんですよ。歌詞は “外れない 離れない”とかずっと言ってるんですけど、それって何のこと歌ってるんやろってみんな思うだろうし。僕、その繰り返しをレコーディングで歌ってて、泣きそうになって(笑)。意味はわかんないけど、なんかすごい大切な言葉のように思えてきて。

──これはもう本当に、“鍵”のことなんですよね? 資料によると、カップルがおまじないに鍵をつけるスポットが神戸にあるとか。

渡辺: はい。“ヴィーナス・ビレッジっていう橋が。でも、歌ってるときはそういうのが関係なくなってて。”外れないのか……!”って、何かにめっちゃ感情移入してて。

──鍵を外そうともがいてる主人公に同化して(笑)。感情移入の激しさ、すごいな。

澤: 俺のズボンの話もそうやな。

渡辺: あっ、そう! 高校生のときに、澤のベルトにふざけて南京錠をつけたことがあったんですよ。で、“じゃあ鍵は?”って言ったら、“ないよ!”って(笑)。

澤: だから、今でもついたまんまなんです。南京錠がベルトにぶらさがってて(笑)。

渡辺: “鍵がないんやったら最初から言えよ!”っていう、そのときの気持ちを歌った曲なんですけど……。

澤: 結果、男女の恋物語みたいになり(笑)。

渡辺: 最初に思いついたのが澤の鍵の件で、それにヴィーナス・ビレッジをかけられるなっていう感じでできた曲ですね。でも、ただ単にそれだけのことから派生した曲も、演ってるうちに重みが出てきたり。なんか感動できるフレーズになったりしたのが、このアルバムを作ってすごい感じたことでしたね。化学反応の面白さというか。

──超身内ネタにみんなのアイデアが加わって、化学反応を起こして感動が生まれる。

澤: 1stにしても今回の2ndにしても、なんか……。曲調がちょっと幅広くなったりとか構成が増えたりっていうのはあるんですけど、なんかもっと身近なことで、別になんでも歌ってええやんかっていうようなことは変わってないですよね、たぶん。みんながやってるようなものやったら、別に……。

渡辺: そう。俺らがやる必要がないっていうことなんですかね。

澤: さっきの「ショートパンツ」みたいな曲調で“踊ろうぜ!”みたいな歌詞を歌ってるようなものなら、例えばチャック・ベリーとか聴いてたらいいわけで。そういうことをやってカッコいい人は、1950年代、1960年代からいたわけですからね。だから、今のこの時代にいる自分らのなかから出てくるものを……。しょうもないものでも、俺らのなかから出てくるものなら、それはどんどん曲に乗せていきたいです。

取材・文●道明利友

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