斉藤和義、武道館もホームグラウンドのひとつ

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最長最多本数の全国ツアー<ライブツアー 2009≫2010 “月が昇れば”>を決行中の斉藤和義。このツアーの中から、最大のハイライトとなった3月5日(金)東京・日本武道館公演の模様をお伝えしよう。このコンサートではニューシングルのリリースがサプライズ発表されたこともあり、武道館は8,000人のファンで大盛り上がりになった。

◆斉藤和義 ライヴ@日本武道館 2010.3.5~画像~

2004年11月の弾き語りライブから約5年、斉藤和義にとって三度目の武道館ライブ。イニシャルの“KS”を中央にあしらったシルバーっぽいバックスクリーン、そして演奏に必要な器材がセッティングされただけの、潔いくらいシンプルなステージは、開演前から斉藤の心意気を感じさせていた。豊かな音の世界が、この後にたっぷりと用意されていた。

3時間近いライブで演奏されたのはアンコール5曲(4月21日に発売される新曲『ずっと好きだった』も初披露!)を合わせて計27曲。脱力系の、味のあるおしゃべりはほんのちょっとだけ。限られた時間の中でできるだけたくさんの曲を聴かせたかったのだろう。次々と曲を披露していった。

黙々と演奏する斉藤とバンドのメンバーの姿には集中力と解放感がみなぎっていて、どこか伸び伸び楽しげ。彼らから生まれた音の塊がステージの上で脈打ちながら客席に届き、会場を満たして行くような感じが、ライブ冒頭からあった。約半年にわたったツアーの最後半でもあり、またこれまでに何本ものツアーを一緒に回ってきたメンバーだけに、阿吽の呼吸という言葉では言い足りないくらいの一体感と躍動感が演奏に乗り、後半に向けて吸引力を増していく。以前から斎藤は「このメンバーで武道館に立てるのが嬉しい」と話していたが、その意味がよくわかった。

中でも圧巻だったのは、中盤に演奏された「Phoenix」だ。2009年5月にこの世を去った忌野清志郎を思って作られたこの曲を、赤々と燃える火の玉をバックに歌う斉藤の姿と歌声からは、淋しさや悔しさなど様々な感情が溢れ出していた。敬愛する清志郎が何度も立った武道館のステージだからこそ斉藤の中で喚起される想いがあり、また何かがそれに応えてもいるかのような特別な演奏でもあった。

「ありがと、またね」と言ってひらひらと手を振り、投げキッスをして斎藤はステージを降りた。ライブを通して“武道館だから”という気負いめいたものは微塵もなく、いつもと変わらない斉藤がそこにいた。むしろ武道館だからこそ、生き生き自然な斉藤がいた、と言ってもいいかもしれない。斎藤にとって武道館もホームグラウンドのひとつなんだな、と、感じさせるライブだった。

文・木村由理江

<斉藤“弾き語り”和義ライブツアー2009≫2010 十二月 in 大阪城ホール~月が昇れば弾き語る~>のCD&DVDは3月24日に同時発売になる。

◆斉藤和義オフィシャルサイト
◆「スピューモ」特設サイト
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