school food punishment 濃密かつ斬新な全13曲1stアルバム『amp-reflection』遂に完成

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school food punishment 濃密かつ斬新な全13曲1stアルバム『amp-reflection』遂に完成

音楽は、あっても無くてもホントは構わないのかもしれないけど、あったほうが確実に人生楽しくなると思う。

「音楽によって、30パーセントの感情が、120パーセントにも150パーセントにもなる。このアルバムに入っている曲達も、そういうふうに感じてもらえたら嬉しいです」(内村)

――実際のアルバム制作は、どんなふうに進んでいったのですか?

内村: 最初に言ったみたいに、シングルが一杯入るものになるっていうのはわかっていたので、必然的にアルバム曲もそれに太刀打ちできるものじゃないといけないっていうのがまずあって。それはシングルと同じ方向からシングルのレベルぐらいの曲を作るっていう意味じゃなくて、シングルとは違う方向からシングルと同じぐらいの重みを持つものを作りたかったんですよね。で、それがいろんな方向からだとより良いっていうか、同じ角度のもの――1度から30度のものをずっと作り続けるんじゃなくて、一曲ずつでもいいから360度全部あるものがいいっていうか、同じ角度のものが無いようにしたかったんです。そういう意味で、360度のどのへんの位置の曲を作ればいいのかっていうのは、すごく悩んだし……でも、そうやって360度全部やっていいっていうのが、school food punishmentなんですよね。だから、私達はこういう人ですっていうものを見せるのが1stアルバムだとしたら、やっぱり360度、こんなこともあんなこともしますっていうふうにしたいっていうのが、主な思いだったというか。そこはメンバーみんな、まったくズレなかったですね。

――プレイヤーとしては、それぞれどんなことを意識して作っていったのですか?

蓮尾: 僕は……これもまあ、知識をつけていったからっていうのが多分ほとんどだと思うんですけど。テンポの速い曲にメロディが乗っている場合、そこで歌が伸び伸び乗るようにするには、楽器がどういう音を出すべきなのかっていうのを考えたり、「sea-through communication」を録ってからは――あの曲は割と打ち込みがしっかり入っている曲で、すごい音の広がりがある曲だったんですけど、そういう広がりを出すためにはどういう音を使ったらいいんだろうとか、割と技術的なことばっかり考えていて。あと、「パーセンテージ」や「light prayer」とかは、音にもすごい感情とか意志が表われてないといけない曲だったので、何か人間味が出る感じっていうか、その歌詞の主人公の気持ちや緊張感を表わせる音を考えながらやっていましたね。

山崎: やっぱり、デビューしてから一年ぐらい掛けて作ったものなので――最初の頃は、この曲の中でどう自分を出していこうか、みたいなことを考えていたんですけど。最後のほうは、どう自分を出すかよりも、その曲をこうしたいっていうみんなのイメージがあったり、自分のイメージがある中で、どういう音を使ったらいいかを考えるようになっていって。そういうところは、意識的に変わっていったような気はしますね。

比田井: 多分、プレイヤーとしてのこだわりっていうより、その曲にいちばん相応しいものを、みんな選ぶようになったんですよね。僕の場合は、「sea-through communication」が結構きっかけだったんですけど、あの曲で打ち込みを取り入れるというか、それで曲がより良くなるなら、そっちのほうがいいんじゃないかっていうのがあって。実際、ものすごく音楽的に広がった感じがするんですよね。

――そうやって音楽的な広がりを持ちながらも、その詞世界みたいなところでは、結構一貫したものがあるように思って――“未来”、“明日”、“世界”といった言葉が、いろんな曲の中に共通して登場しますよね。

内村: ちょっと今回、多かったですかね。でも、その中の3曲は、『東のエデン』の映画用に書いた曲なので、やっぱりテーマも同じところへ向かおうとしていたというか、その3曲――「futuristic imagination」も含めた4曲については、そのつもりで言葉を意識してカブらせたりしているので、その4つがカブってくるのは大丈夫なんですけど、他の曲もちょっとずつ影響されていったというか、やっぱりこの一年、似たようなことを無我夢中で考え続けていたのかもしれないですね。だから、コンセプチュアルなものになるべくしてなったのかなっていう。

――やっぱり、アニメ『東のエデン』との出会いっていうのは、すごく大きかったんでしょうね。

内村: そうですね……何かすごく合致した感じがしていて。あの作品がテーマとしていることだったり、その主人公が思っているようなことを、自分たちも別の出来事によって感じるみたいなことが多かったんですよね。『東のエデン』の中で主人公が抱えている問題とか、作品自体がテーマとして扱っている問題って、“自分が変われば世界が変わる”っていうことだったと思うんですけど、それがちょうど自分たちの一年ともすごくカブっていて。そういう意味で、すごく運命的な作品だったのかなとは思いますね。

――その“自分が変われば世界が変わる”っていうテーマと関連するのかもしれませんが、このアルバムに入っている曲は、何かが変わる“瞬間”を描いたものが多いですよね。

内村: 何かが変わる瞬間なんだけど、それは何も特別なことが起こったわけじゃないっていうところが、私のポイントなんですよね。何か事件が起きて、それを書いたのではなく、絶対誰もが思っていることっていうか、大抵の人がそこに結びつく何かを持っているだろうっていうものを、私は書いていて。私はすごく普通の人間なので、普通に生きていて、普通に感じる一瞬を切り取るっていうか、普通の景色が普通に見えなくなることがすごい好きなんですよね。なので、この曲達は多分、すごく日常にマッチするというか、普通に電車乗ってどっかに行って、何かをしてご飯を食べて帰るっていうだけの日に、ちゃんとハマるようなものになっていると思うんです。そういう普通の日常が、何か普通じゃない日常に思えるような曲達っていうか……。

――その音楽によって、何か目の前の景色が違うように見えたりとか?

内村: そうなんですよね。やっぱり、音楽っていうのは、何か悲しくなったりとか、楽しくなったりとか、気持ちが360度いろんな方向に振れるために存在すると思うんです。普通は30パーセントずつぐらいしかいろんな方向に気持ちがいかないのを、音楽が拍車をかけるっていうか……別に30パーセントでも過ごしていけるし、だから音楽はあっても無くてもホントは構わないのかもしれないけど、それがあったほうが確実に人生楽しくなると思うんですよね。音楽によって、30パーセントの感情が、120パーセントにも150パーセントにもなれたりするっていう。だから、このアルバムに入っている曲達も、そういうものになっているといいなっていうか、そういうふうに感じてもらえたら、私はすごく嬉しいですね。

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