LOUDNESS高崎晃インタビュー[後編]「音楽の力だけでさまざまな世界を堪能できるライヴ」

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先週お届けした[前編]では、最新作『KING OF PAIN 因果応報』という大胆にして画期的な最新アルバムの制作背景や動機について、たっぷりと語ってくれた高崎晃。この[後編]においては、6月26日に開幕を控えている全国ツアー<CLASSIC LOUDNESS WORLD TOUR:LIGHTNING STRIKES 2010 IN JAPAN>に関することを中心に話してもらうつもりでいたのだが、結果的に話題はより広く、より深いところにまで及ぶことになった。もちろん秘話も続々と顔を出す。[前編]を未読の方は、まずそちらをお読みいただいたうえで、ここからのディープな展開にお付き合いいただきたい。

◆高崎晃画像

――ところで僕は近年、DIR EN GREYの国外ツアーに同行することが多々あるんですが、現地での取材の際、欧米のメディア関係者がよく口にするのが「日本のバンドの取材は、80年代のLOUDNESS以来だ」という言葉なんです。

高崎:そうなんだ? それは面白いな。4年ほど前にアメリカをまわって、20公演ぐらいやったんですよね。そのときに改めて感じたのは、向こうのお客さんの反応のストレートさ。こちらの一挙手一投足に対して、常に反応があるというか。もちろん日本にも理解者はたくさんいるけども、客席からの反応の伝わり方がより直接的というか。しかもそのとき、オリジナル・メンバーで行くのは15年以上ぶりだったはずなんだけども、西でやろうが東海岸でやろうが、内陸のシカゴあたりに行こうが、どこに行っても観に来てくれる人たちがちゃんといてくれて。

――しかも1980年代を知らない世代のファンが観に来たりするわけですよね?

高崎:そうそう、昔を知る人たちばかりじゃなくてね。やっぱりインターネットとかの影響もあって、1980年代とかに比べると情報の広まり方も違うというか。大々的な宣伝をしなくても、情報が欲しい人にはちゃんと届くし、バンドが何をやっているかというのがどこの国からでもチェックできる。そういう環境の部分では、今はずっとやりやすくなってると思う。

――ちょっと変な言い方になりますけど、「一時よりも、時代に歓迎されている」というふうに感じることもあるんじゃないですか?

高崎:一時ほど“今”に対して否定的な意見ばかりじゃないということ?(笑) そういうのも若干、あるかもしれない。年齢による説得力みたいなものも、あるんじゃないかな。たとえば「40歳にもなって、まだメタルをやってる」と見られていた人間が、「50歳になっても、いまだにメタルを続けているなんて!」と見られるようになったとすれば、その違いは大きいですよね(笑)。まだ実際、50歳になってはいないけど(笑)、ここまでやってるということは「死ぬまでやるんちゃうの?」ということにもなってくるだろうし。それこそ40歳ぐらいまでだったら、まだ違う仕事に転職するという選択肢も残されてるかもしれない。でも、ここまで来ると、それはないですからね。いつか老人になって、病院で録音するようなことだってあるかもしれないし、あってもおかしくない(笑)。ま、でも、ずっと自分が当事者であり続けてるから、外側から自分たちがどう見られてるかということについては、あんまりよくわかってなかったりもするんです。ただ、2009年の<LOUD PARK>に出たときなんかは、すごくオーディエンスが好意的だなと感じさせられて。正直、「俺らが出て行ったら、みんな消えてしまうんちゃうの?」みたいに思ってたんですけどね(笑)。

――ホームであるはずなのにアウェイ、みたいな。

高崎:うん。北海道の<RISING SUN>にも結構出てるんだけど、前に俺らの出たステージというのが、メイン・ステージから少し離れていて、クルマで2~3分走らないとならないようなところで。ま、それでもかなりキャパシティはあるんだけども、マイクロバスみたいなのに揺られてそこに着いて、軽くサウンドチェックでもしようかと思ったら、その時点でステージ前に5~6人しかファンがいなくて(笑)。ところが俺ら、音がデカいじゃないですか。サウンドチェックの音が風に乗って、遠くまで届くわけですよ。それに誘われるようにして、徐々に人が集まってきて…演奏が始まる頃には5,000人くらいいたんじゃないかな。いざ曲が始まると、もう入りきらなくなっていて。

――音がデカいって大事なことですね(笑)。

高崎:うん。それは改めて感じたし、このバンドの魅力のひとつだと思う。

――そして肝心の、今回のツアーについて。どんなライヴを期待していたらいいんでしょう?

高崎:純粋にLOUDNESSの音楽を、きっちりと堪能していただきたいな、と。特に派手な演出とかもないと思うんです。ま、わからないけど(笑)。ただ、最近リリースした2枚組のDVD(『CLASSIC LOUDNESS:LIVE 2009 JAPAN TOUR』)とかを自分で見ていても、特に演出とかもなく淡々と曲が進んでいくだけなのに、すごく楽しめるというか。逆に、音楽だけでいろんな世界を味わってもらえるというのは、すごいことなんじゃないかな、と。基本的には、デビュー作から6枚目までのアルバムからの曲を中心に演奏します。それだけ、と言えば、それだけなんですけど。

――『CLASSIC LOUDNESS』 の流れにあるライヴということですよね?

高崎:その発展形ですね。具体的に言えば『8186 LIVE』的なものを想定していただければ、と。今から予習をするんであれば、それを想定して…。ただ、当時のライヴ映像とかは、今からすると僕らの衣装があまりにイタ過ぎるんで、あんまり見て欲しくないというのが本音なんですけどね(笑)。

――昔は水玉模様の衣装とかも着てましたもんね。で、MOTLEY CRUEとの全米ツアーのときにはニッキー・シックスからそれについて「俺の衣装とカブるから」という理由で駄目出しがあったりとか(笑)。

高崎:ちっさいヤツですよね、そんなことぐらいで(笑)。そういえば2年前にMOTLEY CRUEが来日したとき、20年ぶりくらいにカップリングでやれたのは嬉しかったんだけど、音量制限がえらく厳しくて。LOUDNESSに限ったことじゃなく、BUCKCHERRYとかに対してもそうだったみたいだけど、あのときほどLOUDNESSが“SILENCE”になってしまったことは、過去になかったと思う(笑)。

――僕自身、そのライヴを観ましたけど、それでも充分にラウドでしたよ(笑)。さきほどちょっと年齢の話になりましたけど、高崎さん自身、「こういったラウドな音楽をいつまで続けられるんだろう?」みたいな疑問が頭をよぎるようなことはないんですか?

高崎:それがね…まったくないんですよ(笑)。それこそ樋口さんが亡くなった事実もあるし、年齢とかについて考えさせられることは以前より増えましたよ。でも、LOUDNESSというブランドで活動している以上、たとえばブルースに傾いていったりスローな曲しかやらんようになったりしたら、それはもう詐欺というか大ひんしゅくですよね。「看板に、偽りあり」ということになる。LOUDNESSは、いくつになっても今回のようにアグレッシヴで、いつでも「THE KING OF PAIN」みたいな曲をやれるくらいのテンションであるべきだと思う。それをやり続けているからこそ値打ちもあるんだと思うし、魅力的な存在として見てもらえるんだと思う。そこで「自分が音楽をできなくなったら?」とか「いつまでできるのか?」とか、考えていられないですよね。多分、心のどこかで、「いつ、ゼロの状態になっても構わない」と思ってる部分があるんじゃないかと思うんですよ。今あるものが全部崩れてゼロになってしまったって、「また俺は、そこからやり直すよ」という感じ。そういう思いが、どこかにある。もちろん今まで築いてきたものというのも、少なからずあるのかもしれないけども。

――少なからず、どころではないと思います。

高崎:そうだとしても、たとえば俺のことが誰にも一切知られてないような国に行って、そこで新人としてゼロからやり直すんだとしても、それはそれでいいと思う。そこからまた頑張ればいいや、と思えるんですよ。

――そう言い切れるのは強いと思います。もちろんそれは、揺るぎない自信の裏返しでもあると思うんですが。

高崎:そうなんかな。実は俺、30代の頃はすごくドラムを叩いてたんですよ。あの10年を振り返ったら、ギターを弾いてた時間よりもドラム叩いてた時間のほうがよっぽど長かったと思う。下手したら、10倍くらい(笑)。元々ドラムを叩くのはすごく好きだったし、LOUDNESSでデビューしてからも、ドラムについては樋口さんと一緒に考えながらいろいろとやってきてたし。もちろんベースも好きだし、歌も下手くそだけど好きだし(笑)。だからね、仮にゼロの状態に戻ったとしても、何かできるんちゃうかと思うんですよ。同時に、いろんな楽器をかじってきた今だからこそ、今回こういうアルバムができたんじゃないかとも思うし。

――頭のなかで、ギターしか鳴っていないギタリストっていると思うんですよ。

高崎:たくさんいると思いますよ。俺の場合にしても、各々の音をサウンドとしてじゃなく、エネルギーというか、“氣”というか、“音魂”というか…ある種の波動みたいなものとして捉えてる部分がすごく大きいんで。もちろん若い頃からそうだったわけじゃないですよ。昔は「自分の音」とか「ギター本来の音」とか言われても、よくわからなかった。だけどこうしてずっとロックし続けてきて、欧米にも渡って、自分なりに修行を積んできて(笑)、それで今は、目を瞑っていても音魂が見えてくるというか、ふたつのスピーカーの間から世界が広がっていくのを感じられるというか。

――今みたいな言葉を聴いていると、高崎さんが音楽をやめることがあり得ないのを確信できるのと同時に、「とにかく続けられさえすれば、音楽は何でもいい」わけじゃないことが、すごくわかります。

高崎:もしも自分が「音楽なら何でもいい」という人間だったなら、きっとあのとき、LAZYは解散なんかしてませんよね(笑)。実際、当時はかなり人気あったんですもん(笑)。でも、それが最重要なことではなかったし、あの当時もやっぱり「ゼロになってもいい」と思ったわけですよ。結局そこは、ずっと変わっていないんだと思う。俺の場合、中学時代にはもう“やりたいこと”がハッキリとしてたし、中学2年の頃には「絶対に音楽で身を立てたい」と思っていたし。だからせっかく高校に入ったのに、1年生の時点で「もう学校、辞めようかな」と思っていたくらいだし。

――もはや学校は必要ない。そう感じていたわけですか?

高崎:当時は学校に行くのも、ギターを弾きに行くためだけだったし。軽音楽部に入って、そこで樋口さんとすでに一緒にやっていて…。授業中、黒板に向かっていても、「俺にはこんなん、どうでもええねん」という感じだった(笑)。「難しい計算なんかができるようになるよりも、もっとギターを弾きたい!」みたいな。で、2年になった頃には、もう絶対に辞めようと心に決めて、親にもそう話してましたからね。そしたらちょうど、そんな話を持ちかけた頃にうまいことLAZYのデビューの話が決まって(笑)。

――ぶっちゃけ、今になって後悔していることとかって、何かあります?

高崎:学校の勉強について? いや、べつにない。もちろん結果的に損をした部分はあると思うけど、後悔するほどのことではないというか。誰のことも恨んだりしてないし。勉強よりも、自分の魂を磨くことのほうが大事だと今も思うからね。ただ、英語はもうちょっと勉強しておいても良かったかな(笑)。あれは、できるに越したことはない。ただ、不思議なもんで、今のほうが当時よりもわかるんですよ。相手の言ってることとかは。だから<LOUD PARK>のときも、MEGADETHとかSLAYERとか、ああいった連中と普通にコミュニケーションをとれるし。

――MEGADETHにしろSLAYERにしろ、LOUDNESSにとっては同世代バンド。彼らのようなバンドが第一線で頑張り続けている事実も、心強いはずですよね?

高崎:それはある。すごく心強いですよ。今はまだ、ロックの歴史自体が、他の音楽に比べれば短いじゃないですか。50数年とか、そんなもんですよね。だからこの世界には、まだ老人もさほどいない(笑)。だけど、これがあと30年とか40年経っていくと、たとえば「88歳のハイトーン・ヴォーカリスト」とか、いろんなのが出てくることになるんじゃないかと思うし(笑)。そこで老人だからといって同情をもって敬意を払われるんじゃなく、本当に“素”で「すごい!」と思ってもらえるようであれたら、それはそれで素晴らしいことなんじゃないかと思うんですよ。しかも俺らだけ年をとってくんだったら嫌だけども、みんな平等に年齢を重ねていくわけだから(笑)。

――確かに。高崎さんと同い年の僕としては、今回のインタビューはとても興味深い話ばかりでした(笑)。最後にもう一度、今回のツアーについて。このツアーは、これまでLOUDNESSをよく知らずにきた人たちにとっても絶好の機会じゃないかと思うんですよ。歴史について一生懸命勉強しようとしなくても、とにかくライヴ会場に足を運べば“過去”も“現在”もすべて体感できるわけですから。

高崎:そうですね。そういう人たちのために門を広げたいという気持ちも、実際あるし。確かに今回のツアーは『LIGHTNING STRIKES』をタイトルに掲げたものではあるし、初期の作品からの曲を中心にしたものではあるけども、新譜のなかからも当然演奏するつもりだし、それこそ「THE KING OF PAIN」なんかは絶対やるはずだし。『THE EVERLASTING-魂宗久遠-』(2009年)からの曲もやると思う。基本的には『CLASSIC LOUDNESS』の延長ではあるけど、そのへんだけはちょっと特別にね(笑)。だからいろんな面を楽しめると思うし、是非、これまでLOUDNESSを観たことのなかった人たちにも足を運んで欲しいなと思いますね。

文/撮影 増田勇一

<CLASSIC LOUDNESS WORLD TOUR:LIGHTNING STRIKES 2010 IN JAPAN>
6月26日(土)福岡・Zepp Fukuoka
7月1日(木)仙台・Zepp Sendai
7月3日(土)札幌・Zepp Sapporo
7月8日(木)広島・CLUB QUATTRO
7月10日(土)名古屋・Zepp Nagoya
7月11日(日)大阪・Zepp Osaka
7月30日(金)東京・Zepp Tokyo

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