18世紀の響きを再現できるオーケストラを使った<国際指揮マスタークラス>開催

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日独楽友協会が、2010年8月にドイツおよびオーストリアで開催する<国際指揮マスタークラス>の受講生を募集している。

マスタークラスってなに?という人も多いことだろう。国際的な音楽家が講師となり、レベルの高い指導を直接行なう場で、若き音楽家たちのレベルアップを目的とした講習会だ。今回の指揮マスターコースは初めてオーケストラと合唱のための作品を取り上げ、オーケストラ指揮者だけでなく合唱指揮者にとっても魅力的な内容となっている。なお、想像しやすい例をあげるなら、大人気漫画『のだめカンタービレ』の第4巻、長野で開催された<ニナ・ルッツ音楽祭>で行なわれていたのが、いわゆるマスタークラスだ。

日独楽友協会は、ドイツ共和国大使館の後援のもと、指揮者のクルト・レーデル 氏を音楽監督に迎え、ドイツ・オーストリアなどドイツ語圏への留学経験者が中心となり、音楽を通じて世界各国との国際交流、国際理解を深めようと1991年に結成された。同協会が2010年5月に開催した<日独楽友協会指揮者コンクール2010>では4人の入賞者を決定。BARKSのニュースでも取り上げた藤田淳平氏もそのひとりである。

そして、今回の<国際指揮マスタークラス>では、同コンクールに入賞者らも、ドイツのヴァイカースハイム城の中にある音楽ホールで、講師の厳しい指導のもと1週間研鑽を積む。

講師は現地で活躍する指揮者たち。杉山直樹氏は、協会の主催者でもあり、元エルヌ・ドホナーニ交響楽団、モラヴィアフィルハーモニー管弦楽団指揮者。クラシックの本場ウィーンで叩きあげられた本格派だ。森内剛氏は、オーストリア・オーバーエステルライヒ州立リンツ歌劇場指揮者。なんとこの日独楽友協会国際指揮マスタークラスを過去に受講したことがきっかけで、現地の有名音楽大学(ザルツブルク・モーツァルテウム大学)に留学し、数年足らずのうちに現在のポストを手に入れたという実力派だ。

若き指揮者の卵たちのために用意された現地のオーケストラもすごい。その名も「Orchester 1756」。モーツァルトが生まれた年である1756という数字が付けられたこのオーケストラは、今では大変貴重な当時のオリジナル楽器を使用し、ハイドンやモーツァルトの残した作品を当時の音と奏法でオーセンティックに再現する。そしてもちろん、このような贅沢なオーケストラが、いわば若手指揮者の“練習台”になるというのは大変に珍しいことだそうだ。

そして最終日には修了演奏会が開かれ、このマスタークラスで最優秀の成績を収めた指揮者は、この発表会で指揮ができる。会場となるのは、ウィーンにあるバロック建築の傑作としても有名な「カールス教会」で、オーケストラはもちろん、Orchester 1756。そして演奏作品は、このオーケストラがこの場所で演奏するのに最もふさわしい作品ともいえるモーツァルトの「レクイエム」全曲。

若き音楽家たちが最優秀(=1位)を争うことになるこのマスタークラス。若い才能が、世界的な指揮者へとステップアップする第一歩。そして“リアル「のだめカンタービレ」”の世界が、そこにはある。今後の動向、および結果は改めてお伝えしたい。

なお、このマスタークラスの詳細などは、日独楽友協会のオフィシャルサイトで確認できる。

◆日独楽友協会 オフィシャルサイト
◆<日独楽友協会指揮者コンクール>で3位入賞したサラリーマン指揮者・藤田淳平
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