-異種格闘技対談-Ring【round2】第7回/西川貴教(T.M.Revolution)

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-異種格闘対談-Ring【round2】第7回

GUEST 西川貴教(T.M.Revolution) / 逹瑯(Vo) ムック

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西川「なんで最近のコって、すぐ事務所に入っちゃうの!?って疑問に思ったの」
逹瑯「とりあえずバンド組んで、ローディーをやる前に事務所に入って、で“事務所が何もやってくんない”って人のせいにする」

逹瑯:表面には出さないまでも、ライバル意識があったりしたんですか?

西川:それはもう、ライバルっていうか、やっぱこう、出て来て人に認められてきた時期も近かったりすると、お互い意識はするよね。

逹瑯:バンドだと、GLAYとL'Arc〜en〜Cielって比較されがちですけど、ヴォーカル像で言ったら、西川さんとhydeさんが同じ感じしますね。

西川:まあ、ひとかたまりだよね。GLAYとL'Arc〜en〜CielとT.M.Revolutionみたいな、同じワゴンに乗ってる感じだったからね。いま考えてみると、お互いに頑張って、それぞれ好きな事もやりながら活動してきたからね。余計に、それまでと違った、お互いにリスペクトがちゃんとあるから面白いんだよね。

――最近、西川さんとかも積極的に後輩を可愛がっていらっしゃいますけど、西川さんが関西でバンドをやってた時代も、先輩とか後輩のつながりってあったんですか?

西川:もちろんありましたよ。その頃は僕が一番下っ端ですからね。

逹瑯:めちゃ、怖い時期じゃないですか?

西川:全然…、そうですね(笑)。“これって、事件じゃないかな?”みたいな(笑)。

――どういうことですか(笑)!?

西川:それこそ、忘却の彼方へ置き去りにしたいくらいの(笑)。

逹瑯:あはははは。昔ってね。それこそ、ケンカが強くないと売れなかったぐらいの時代なので。ケンカが強くないと、売れる前にいなくなっちゃうみたいな(笑)。

――めっちゃ体育界系(笑)。

西川:そう。ムチャできないとダメ、みたいな。

逹瑯:でも、いまでも残ってるビッグ・アーティストが生まれてた時代ですもんね、まさに。自分たちの世代が頑張らなくちゃなって感じなんだけど、ここ何年かでてきてないですよね、そういうアーティスト。

――ロック・バンドやロック・アーティストが、ロックさを失わないで大衆性を得た感じの時代だったというか。それを作ってくれた人たちっていう印象がすごくある。

西川:うん。もとはやっぱロックだし、自分の出身地じゃないけど。そこから俺は離れられないなって、最近改めて思ってる。なかにはそこから出て、より芸能に近くなっちゃう人もいて、そこは少しさみしかったりする。別に無理する必要はないじゃない? やっぱり無理せず、自分が楽しくやらないと、絶対に伝わらないからね。でも、俺たちからしてみたら、いま後輩がすっごく気を使ってくれてると思うんだけど、対等に話してくれることがすごく嬉しいからね。まあ、まだまだ俺達にも先輩もいるし、同世代もいつつ、後輩もいて、気さくに話ができて、それぞれの音楽がちゃんとできてる感じがね、それがこの先も守っていけたらいいなって思ってますけどね。

――そうですよね。

西川:あ、そうそう、またツイッターでの話になっちゃうんだけど(笑)。この前ツイッターの書き込みの中に、「事務所に入ったんだけど折り合いが合わなくて辞めちゃいました」っていうのがあったんだけど。なんで最近のコって、すぐ事務所に入っちゃうの!?って疑問に思ったの。

逹瑯:そう! そう! そう! そう!(かなり力強い返事)

――あははは。西川さん、いま逹瑯くんが1番声を大にして言いたいこと言っちゃいましたね(笑)。

西川:あははは。そうなんだ?

逹瑯:そうなんです(笑)。

西川:でも、ほんとそうだよね。最初にやらなきゃいけないのは、まず、自分のバンドで、バンド名義の通帳を作って、そこにチャージ・バック入れたり、バンドの機材車買うための積み立てやったり、それでバッジ作ったり、ステッカー作ったりするお金を歳出したりとかっていう、やりくりをするっていうかさ。俺はそこから始まって、いま自分で会社やってるから。

逹瑯:はいはい。いまの若いコって、とりあえずバンド組んで、ローディーをやる前に事務所に入る。

西川:ダーメーだよぉー!(力強く叫ぶ)

逹瑯:ですよね! そういうヤツ等がいっぱいいるから、ローディーがついたとしても、ローディーに教えられる術がないっていう。

西川:ダーメーだよぉー(力強く叫ぶ)。ダメダメ。それでダメで、結局「うまくいかなかったんです」って言っても。うまくいかないも何も、よくわかんない事務所なんか入って、よくわかんない地方のライヴハウスに出入りしてるような、よくわかんない“社長”って言われてる人の言うことをきいてるからダメなんだよ! そうじゃなくて、まず自分たちでやらなくちゃ、何事も! ライヴ終わってから会場の前で、CDとか自分たちで作ったTシャツとか売って、お客さんと握手したりするところからサービス精神が生まれる訳よ。事務所にいて、誰かが知らないところでやってくれてたら、サービス精神なんて生まれないですよ!(パン!と手を叩く。かなりヒートアップの西川さん!)っていうのをすごく感じて。何事もまずは自分から!

逹瑯:いま音楽業界も不景気だから、事務所も時間かけて育てる気ないですもんね。事務所がいじくりたおして、ポンッってやってダメだったら次ってところが多いから。

西川:そうだよねー。

逹瑯:で、メンバーも「事務所が何もやってくんない」って人のせいにするから。

西川:ほんと、そうね。そこはすごい感じる。

逹瑯:事務所を探すのは、自分たちで頑張った後でも遅くないだろうっていうね。WESTワンマン、クアトロ・ワンマン、EASTワンマンくらいは自分たちでブッキングできるから。それ以上になると自分たちでは手ぇ付けらんないから、イベンターや事務所を通したりしなくちゃだけど。そこまでのノウハウは自分たちでつけていって、初めて「(事務所)どこに入る?」って。

――「バンドマンによるバンドマン講座」みたいなことになってるけど、これは学校の授業よりためになるかも!

逹瑯:ホントそうだよ(笑)。

西川:俺なんて最初の頃に、そのバンドにいるかいないか、続けるか続けないか、悩んだ時期があったのね、デビューする前に。で、自分の中で勝手にスケジュールを決めたの。“ハタチまでにデビューする”とか。それで、その自分のスケジュールに合わせるために、焦っちゃったんだよね。“俺はハタチまでに絶対デビューしなきゃいけないんだ!” ってなって。そういう選択ってすごく重要だから。向こうがどれだけ自分たちのことを考えてくれているかをちゃんと知ってから、一緒に歩むことを決めるべきだなって。ちゃんと自分が相手と向き合って決めた結果だったら、うまくいかなかったとしても納得できるじゃん。

逹瑯:ですよね。あとはもう、運もあったりしますよね。本当に俺、周りを見てて、運ってほんとに大事だなって思うんです。残酷なぐらい、運っていうのはつきまとってくるなって。そこだけは自分ではどうにもできないですからね。

西川:ねー。

逹瑯:時代性もあるし。タイミングと運は、自分じゃどうにもなんないっつーか。でも、そこを嗅ぎ分ける嗅覚っていうのが大事なんですかね。

――“運も実力のうち”って言うからね。逹瑯くんが言ったみたいに、“運があるな”って思うコは、それが追い風になってて、うまくそれを自分たちに取り入れてる上手さがあるもんね。いやな意味じゃなくてね。

逹瑯:そうそう。っていうか、こんなにねぇ。思いのほか、熱い話になっちゃって。思わず、身体が夏になっちゃうな。

西川:ああ……。意味がわからない(笑)。お前、無理やり話崩すのやめろよ!

逹瑯:あはははは。

――西川さん、さすがの切り返し(笑)。

逹瑯:さすが(笑)!

⇒NEXT INTERVIEW-3

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