Kenichiro Nishihara、JAZZYの新時代を切り拓く最新アルバム・スペシャルインタビュー

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――今作ではカバー4曲、オリジナル5曲が収録されていますね。

Nishihara:はい。キーワードとして“Rugged”(ラギッド)というのがありまして。ごつごつして荒々しいというような意味なんですけど、この言葉を噛み砕けるような曲を作ろうということで、オリジナルもカバーも作ったんです。基本的にはTALISKERからインスパイアされたものが、自ずと、こんな曲がいいんじゃないかとか、そういう思いをわき上がらせてくれたんですよ。イギリスのお酒なので、アメリカに寄せずにヨーロッパに寄せて作ろうかと。

――1曲目の「Introduction 57°N6°W」からスカイ島に旅立って、The Policeの「Every Breath You Take」で「イギリスに着いたな」っていう感覚になりますよね。「Interlude」でお酒を注ぐSEでTALISKERにありつけたんだなぁと(笑)。1曲目とラストの「Waves Dub」には波音のSEも入っているので海を渡っているような気持ちになるので、海を渡って旅をしているような気分になります。

Nishihara:まさにそういうイメージはありました。お酒を求める旅も、音楽を求める旅も、アルバム一枚の中での旅も、色んな意味で人生に旅らしきところがたくさんあって。このアルバムでは、どこに行って、本当に帰って来たのか、どこに行っちゃったのかっていうのがわからない。聴く人に想像してもらいたい。

――なるほど(笑)。始まりと最後で波音が出て来るから、ループ感もありますよね。また旅がはじまる。

Nishihara:まさに。

――9曲で、アナログ盤のような聴きやすさがありますね。

Nishihara:あぁ。最近、長いアルバムも多いですけど、聴き切れないこともありますよね。もともとLP盤ってA面、B面でも長くて40分とかじゃないですか。そのくらいが適性なんじゃないかなと。そこに戻したいという気持ちもあります。

――入り口になるべく作品ですから、手に取りやすい長さですよね。

Nishihara:そうですね。入り口になるというところが一番ではないですけど。自分が音楽が好きで、作りたいという衝動が一番ではあります。でも、いろいろ聴いていく中で、このCDにもっと早く出会えていたらもっとこれが好きになれていたとか、もっと早く、この話を聞いていればもっと早くこっちに行けたのにってことがあるじゃないですか。出会いがすごく大切になってると思うんです。結局、僕らが居るのは人の世界なわけで。人が何かをやることによって、それが伝わるというか。今はインターネットで調べて、色んな情報が手に入りますよね。でもそれを書いた人もいるわけです。レコード屋さんに行っても、詳しい店員さんに聞くと何かを出してくれるとか。人を介して何かが生まれるというのは当たり前のようにあると思うから。このCDとの出会いが新しい形で何かを誘発出来たら、届き方としては理想だなぁと思います。

◆Kenichiro Nishihara プロフィール
1996年よりファッションショーの選曲を始め、東京・パリコレクションなど多岐にわたるショーやイベントで音楽ディレクションを担当するほか、webやCMなど幅広い分野の音楽で作曲・プロデュースなども手がける。自身が主宰する音楽レーベルUNPRIVATE ACOUSTICSから2008年にリリースされた7inchシングル「Neblosa」、1stアルバム「Humming Jazz」は鮮やかなヒットを記録。2010年1月には2ndアルバム「LIFE」を発表。JAZZYの新時代を切り拓く、シーンの最重要人物として、2010年12月15日に究極のメロウ・グルーヴの新作『Rugged Mystic Jazz for TALISKER』をリリース。

『Rugged Mystic Jazz for TALISKER』
VICL-63698 \2,100(tax in)
2010年12月15日リリース
01 Introduction 57゜N 6゜W
02 Fly With The Wind
03 Expansions
04 Every Breath You Take
05 Interlude
06 Rugged Mystic Jazz
07 Thinking Of You
08 Skye Sensor Jazz (Version)
09 Waves Dub

◆Kenichiro Nishihara レーベルサイト
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