亡き盟友のトリビュート盤で、ストーンズ+ビル・ワイマン実現

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イギリスのブギウギ・ピアノ・プレイヤー、ベン・ウォーターズ。30代半ばにしてブギウギの名手と賞賛される彼の腕前は、チャーリー・ワッツのソロ・バンドでもいかんなく発揮されている。そんな彼の最新アルバム『ブギー・4・スチュ』は、ザ・ローリング・ストーンズの初期ピアニストだった故イアン・スチュワート(通称”スチュ”)に捧げるトリビュート・アルバムだ。

生前のスチュが愛してやまなかったアメリカ黒人音楽を通好みの選曲で楽しませてくれる『ブギー・4・スチュ』は、ワードレコーズより3月30日に日本先行発売となる。この作品で驚かされるのは、ベンの呼びかけに賛同した参加メンバーの豪華さだ。ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、チャーリー・ワッツ、ロニーウッドといったストーンズ勢をはじめ、そこにビル・ワイマンやジュールズ・ホーランドなども参加、本家本元でも叶わないラインナップでスチュへの敬意と愛情がひしひしと伝わってくるプレイを聴かせてくれているのだ。

アルバムのハイライトのひとつは、ボブ・ディランのカヴァー「ウォッチング・ザ・リヴァー・フロウ」だろう。ディランが1971年にシングルで発表したこの曲では、ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、チャーリー・ワッツ、ロニー・ウッドというザ・ローリング・ストーンズの全メンバーに、1992年に脱退したベーシストのビル・ワイマンが合流し、ミックのソウルフルなヴォーカルを全員で支えている。1990年の初来日公演と同じ顔ぶれのストーンズが音源として復活してしまっているのである。

また「ウォリード・ライフ・ブルース」では、キース、ロニー、チャーリーがゲスト参加しているのだが、この渋いブルースナンバーではロニー、キースが交互にリードヴォーカルを取っているというありがたさ。「ルーミン・ハウス・ブギー」でもキースと元メンバーのビルが参加、合計キースが3曲、チャーリーが6曲、ロニーが2曲と、ストーンズ全面バックアップのサウンドを堪能できるのが本作なのだ。

本編ラストと日本盤ボーナストラックには、生前のイアン・スチュワートが自らのバンド、ロケット88と共に出演したモントルージャズフェスティヴァルでの未発表音源も収録されている。亡くなる前年1984年の録音だ。

プロデュースはザ・ビートルズ、ザ・ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリンなどでおなじみのグリン・ジョンズ。ジャケットは『サージェント・ペパーズ~』を手がけたサー・ピーター・ブレイク。このスチュの肖像は本作用に描きあげられたものである。

英国ロックを代表する偉大なるミュージシャン達、そしてシーンを脇から支えてきた面々の力を得て、『ブギー・4・スチュ』はブリティッシュ・ロックの豊潤なる奥深さと歴史の重みを世に伝える作品に仕上がっている。

『ブギー・4・スチュ』
2011年3月30日 日本先行発売
VQCD-10270 ¥2,500
1.BOOGIE WOOGIE STOMP
2.ROOMING HOUSE BOOGIE
3.WORRIED LIFE BLUES
4.BOOGIE FOR STU
5.MAKE ME A PALLET ON YOUR FLOOR
6.MIDNIGHT BLUES
7.LONELY AVENUE
8.WATCHIN THE RIVER FLOW
9.ROLL 'EM PETE
10.SUITCASE BLUES
11.BRING IT ON HOME TO ME
12.KIDNEY STEW 日本盤限定ボーナストラック
13.CHICAGO CALLING 日本盤限定ボーナストラック
・日本先行発売/日本盤限定ボーナストラック2曲収録/SHM-CD仕様/日本語解説付
・参加ミュージシャン:ベン・ウォーターズ[ピアノ、ヴォーカル] / ミック・ジャガー[ヴォーカル、ハーモニカ] / キース・リチャーズ[ギター、ヴォーカル] / ロニー・ウッド[ギター、ヴォーカル] / チャーリー・ワッツ[ドラムス] / ビル・ワイマン[ベース] / ジュールス・ホランド[ピアノ] / PJハーヴェイ[ヴォーカル、サックス] 他

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