気持ちが動いた時に行動して、それが被災地の皆さんの役に立つっていうのが一番あるべき姿。

――新曲のお話に入る前に、西川さんが立ち上げた東日本大震災チャリティ・プロジェクト「STAND UP JAPAN」のお話も伺いたいんですが。立ち上げまでの早い決断や行動力もさることながら、永続的な支援も明言されていて、心強く思いました。日本人って何かあった時はワーッと熱くなっても、熱しやすく冷めやすいところがあるじゃないですか。

西川：そうですね。しかも、早く動いた者勝ちみたいな、つまらない状況になっていて。大事なのはそこじゃないだろうと。だから今おっしゃってくださったみたいに、確実に継続させていくことは考えているし、募金してくださる方もね、いっときドカンと入れてハイ終わり、じゃなくて、少額でもいいから続けていってほしいなと。ただ、その時に毎回いくらか振り込み手数料がかかっちゃうと、やっぱり1回にまとめた方がいいかなと思う方もいらっしゃるかもしれない。で、本当はそういう余計なことを考えずに、気持ちが動いた時に行動して、それが被災地の皆さんの役に立つっていうのが一番あるべき姿じゃないですか。だとしたら、そこに必要なものは何か？と考えて、僕がこだわったのは、振り込み手数料のかからない専用口座をつくることだったんですよね。他にも“ライヴで募金を募りたいんだけど”とか、後輩や仲間から相談を受けた時にも積極的にサポートしていったり、いろいろやっていて。本当に地道な活動だし、これは僕だけじゃなくて、関わってくれてる皆さん一人一人のおかけだと思っています。

――頼もしい限りです。さてそんな西川さんですけど、今、T.M.Revolutionは2年ぶりの全国ツアー真っ最中で。私も府中の1日目を拝見させていただいたんですが、ものすごく楽しかったです！

西川：（セットや演出が）何もないステージでね、心苦しいばかりなんですけど(笑)。今回、震災の影響で当初予定していたツアーの内容とは180度違うものになっているんですよ。しかも、ツアー幕開け直後に、震災まっただ中の東北の公演が入っていて。当初は“延期して絶対やるんだ！”と思ってたんですけど、それも泣く泣く中止にせざるを得なくなった。でも今回伺えなかった会場に関しては、何年経っても必ず伺います！と。それが終わって初めて今回のツアーの終了が宣言できる……そういう気持ちで今、全国を廻っている最中です。でもほんとにね、楽器しかない、セットも演出もない、普段あるようなサービス映像もない。デビュー以来こんなシンプルなツアーはやったことがない、ぐらいの。

――でもそのぶん、近くに感じられて、より歌も伝わってきたし。熱くて楽しくて笑えて最後はジーンとしてしまう、起承転結のあるライヴで感動しました。

西川：それなら良かったです。正直なところ、ツアー自体、やるべきかどうか悩んだし、ツアーが始まってからも4月半ばぐらいまでは、僕自身、揺れてたんですよね。で、来てくれたみんなも“自分たちだけ楽しんでいいんだろうか？”とか、モヤモヤした気持ちを抱えてたと思うんです。もっと言えば、当たり前の生活を送ること自体、どこか後ろめたさを感じてるというか。でも思ったのは、別にそんなふうに感じる必要はないんじゃないかな？って。それはもちろん、今も大変な思いをされている方々のことを忘れるということではなくて、そのことは常に心に留め置きながら、明るく元気に生活することが実は一番大事なことなんじゃないかなって。

――みんながみんな暗い気持ちで過ごしてたら、日本中、暗くなっちゃいますからね。

西川：そうそうそう。しかも人間、心に余裕がないと、人のために何かしようっていう気持ちにはなれないじゃないですか。心に余裕があってこそ、“じゃあ自分にできることは？”って考えることもできる。だから、日々の生活を大事に明るく過ごしてください、と。で、このライヴが少しでも明るい気持ちで生活を送れるきっかけになればいいなって。

――いや、あれを観たらみんな間違いなく明るく前向きな気持ちになると思います。で、そのツアーはまだまだ続いていくわけですけど、そんな中、早くも新曲「FLAGS」がリリースされます。これは『戦国BASARA　劇場版』のオープニング・テーマにもなっていますけど、今作を作るにあたって、西川さんはどんなお考えだったんでしょうか。

西川：正式なオファーは今年のお正月、三箇日に行なった武道館ライヴの一環として『戦国BASARA』のイベントがあって。それに出演した際、小林プロデューサーから「今度『戦国BASARA』の劇場版が公開されます」と。「その主題歌をT.M.Revolutionにぜひ！」ってステージ上で言われて、ありがたくお受けしたんですけど。まぁ、BASARAシリーズも5年続いて、ゲームからアニメ、そしていよいよ劇場版っていう、これはすごく大きな出来事だと思うんですよ。だから、T.M.R.を愛してきてくださった皆さんへ恩返しもしたかったし、何よりT.M.R.として、今回は大きな節目になるなっていうのがあったんですよね。

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