MERRY10周年記念公演、第4夜~巨大な“のぞき部屋”と化したリキッドルーム

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2011年11月11日、縁起良く“1”ばかりが並んだこの日、MERRYの誕生10周年記念6夜公演は第4夜を迎えた。この夜の主題に据えられていたのは2006年にリリースされたメジャー第2作『PEEP SHOW』。このバンドの歴史のなかでもかなり実験的な色合いが強く、単体として磨き上げられた多様な楽曲の集合体といった印象の強いアルバムだけに、ライヴ自体も変化に富んだものとなったが、終演後、結生(G)が語っていたのは、そうした作品だからこその難しさだった。もちろん再現性云々という話ではない。

◆MERRY画像

「誤解を招くような言い方かもしれないけど、終わった後の達成感とか爽快感を味わいにくい作品なんです。シングルも含めて、単体で歌ものとして成立してる曲が多いうえに、その歌ものの曲たちも比較的ノリのいいテンポ感だったりするんで、実は緩急をつけにくいところがある。ノリはいいけどブチ切れる感じではなく、しかもどっぷりと落ちる場所というのが意外とない。ただ、かなり実験しまくってたアルバムではあるし、当時の自分たちがなんでもアリの精神で作った結果がこれだったんだな、と。なにしろ“のぞき穴から見る世界”ですからね(笑)。だから、ちょっと自分たち的には不完全燃焼ではあるけども、ちゃんとあのアルバムが浮き彫りにできたと思うし、いいライヴではあったと思う」

そして続く第5夜は、2007年発表のメジャー第3作『M.E.R.R.Y.』を軸とするライヴ。テツ(B)はこの日の到来を心待ちにしていたのだという。彼は次のように語っている。

「俺、先日のUstream中継でも言ったんですけど、6日間のうちでもこの日をいちばん楽しみにしてたところがあって。バンド演奏をしていて、いちばん楽しいアルバムなんです。いちばん“音楽してる”というか。『PEEP SHOW』でのさまざまな実験を経たうえで、バンドがすごく成長できた時期の作品ということになるんじゃないかな」

この夜も実際、密度の濃いライヴだった。久しく耳にしていなかったシングル曲たちが以前にはなかった深みを伴いながら、いっそうリアルでずっしりとしたものになっていること、かつての彼らにとっては背伸びに近かったはずの実験が今の彼らにとってはいい意味で“普通”になっていることを僕は痛感させられた。そしてアンコールの最後の最後に披露された「コールing」では、こみ上げてくるものを抑えきれなかった。その理由は、敢えて書かずにおきたい。

文/撮影:増田勇一

<MERRY 10 th Anniversary NEW LEGEND OF HIGH COLOR「6 DAYS」>
11月11日(金)
Vol.4~『PEEP SHOW』
・PEEP SHOW
・狂騒カーニバル
・センチメンタル・ニューポップ
・キマッてる太陽
・BLUESCAT
・レトロフューチャー
・FREAKS A GO GO
・高層ビルの上でラストダンス
・さよなら雨(レイン)
・窓から逃げたラヴソング
・林檎と嘘
・nameless night~名もなき夜~
・スロ→ダイブ
・PLTC
・妄想rendez-vous
‐encore‐
・ジャパニーズモダニスト
・finale
・夜光
・不均衡キネマ
・絶望
・消毒
‐special encore‐
・コールing

<MERRY 10 th Anniversary NEW LEGEND OF HIGH COLOR「6 DAYS」>
東京・恵比寿リキッドルーム
11月7日(月)Vol.1~『現代ストイック』(終了!)
11月8日(火)Vol.2~『モダンギャルド』(終了!)
11月9日(水)Vol.3~『nuケミカルレトリック』(終了!)
11月11日(金)Vol.4~『PEEP SHOW』(終了!)
11月12日(土)Vol.5~『M.E.R.R.Y.』(終了!)
11月13日(日)Vol.6~『アンダーワールド』(本日!)

◆MERRYオフィシャルサイト
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