温かな歌声が聴く者をどこまでも優しく包む、ステイシー・ケントのライブ

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3月12日(月)ブルーノート東京にて、ステイシー・ケントのジャパンツアーが開催となった。

◆ステイシー・ケント画像

夫でありプロデューサーでありサックスプレイヤーのジム・トムリンソンをはじめ、お互いに刺激を受け合うバンドメンバー(ピアノ:グラハム・ハーヴェイ、ベース:ジェレミー・ブラウン、ドラム:マット・スケルトン)とのステージで、登場時からリラックスした様子のステイシー・ケントは、2012年1月(フランス2011年10月)に発売したばかりの初ライヴ・アルバム『ドリーマー・イン・コンサート~ライヴ・イン・パリ』を体感させるライヴを展開、満席の観客を魅了した。

アルバム同様、ジャズ・スタンダード「春の如く」で幕を開け、セルジュ・ゲンズブールの「何でもないこと」へと続き、会場であるブルーノートクラブの空間にマッチした温かな歌唱で一気に心地良さを演出した。

2007年9月以来、4年半ぶりとなる来日公演に、ステイシーは「日本に帰って来られてとてもワクワクしています。月曜の夜にも関わらず、温かな皆様に迎えられて嬉しいわ」と挨拶し、会場を和やかな笑いに包んだ。ガーシュウィン作「誰にも奪えぬこの想い」では、しっとりとした美しいバラードで艶やかに聴かせたり、イギリスの権威ある文学賞:ブッカー賞とウィットブレッドの両方を受賞し、ステイシーの友人でもある日系英国人作家カズオ・イシグロが作詞し、夫ジムが作曲した「ポストカード・ラヴァーズ」では、ストーリーを語りかけるようなフレージングで、恋人たちや絵葉書の写真・絵の情景が浮かんでくるようだ。

「コルコヴァード」や「ソー・ナイス」「3月の水」等、ボサノヴァもセットリストに多数組み込まれており、更に心地よく響いていた。「ソー・ナイス」は、2011年10月にブラジルのリオデジャネイロで行われたキリスト像80周年祝賀イベントにて同じステージに立ったマルコス・ヴァーリのオリジナルだ。「サマー・サンバ」として有名なこの曲をマルコスは母語のポルトガル語で歌い、ステイシーは英語で歌唱したそうで、記念すべき祝典に外国人で唯一招待されたことをステイシーは喜び語ってくれた。ステイシー・ケントはアメリカ人でありながら、フランスのブルーノート・レコードからこれまでアルバム3作をリリースし、フランスの文化勲章「騎士(シュヴァリエ)」を受章している才女でもある。

温かな歌声が聴く者をどこまでも優しく包むステイシーのライヴは、ステイシーならではの卓越したテクニックで歌うボサノヴァやジャズ・スタンダードの響きを、たっぷりと堪能できる一夜となった。

(C)Yuka Yamaji

『ドリーマー・イン・コンサート~ライヴ・イン・パリ』(Dreamer in concert)
2,300円(税込) TOCJ-66578
歌詞・対訳、ライナーノーツ、日本盤ボーナストラック(2曲)収録
1.春の如く
2.何でもないこと
3.ポストカード・ラヴァーズ
4.イフ・アイ・ワー・ア・ベル
5.コルコヴァード
6.3月の水
7.ザ・ベスト・イズ・イエット・トゥ・カム
8.オ・コンボイオ(汽車)
9.ドリーマー
10.市街電車で朝食を
11.誰にも奪えぬこの想い
12.サンバ・サラヴァ
13.こもれびの庭に
14.私の愛しい人*
15.コラサォン・ヴァガブンド*
*日本盤ボーナス・トラック

◆ステイシー・ケント・オフィシャルサイト
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