梅田クラブクアトロ、ついにキックオフ!

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1991年にオープンして以来、関西音楽シーンを代表するライブハウスとして、数々の名アクトを放ってきた心斎橋クラブクアトロ。昨年9月にその歴史に幕を閉じたが、半年の時を経て旧・梅田ピカデリー跡地へと移転し、4月13日から新たに梅田クラブクアトロとしてスタートを切った。そのこけら落としとなる前日に、関西のラジオ局・FM802とコラボした『“QUATTRO Comes Alive!”KICK OFF PARTY』が開催!どちらも名高いロックアクトとしてライブシーンで人気を得る怒髪天、ザ・ビートモーターズをゲストに迎えた一夜。関西音楽シーンの新たな歴史のプロローグともいえる、その前夜祭をレポートしよう。

◆『“QUATTRO Comes Alive!”KICK OFF PARTY』画像

満員御礼の会場にまず現れたのは、番組終わりで駆けつけた本日のMCを務める、DJの中島ヒロト。ステージの下手側にあるサブステージへ登場した彼が呼び込んだのは、怒髪天の増子(vo)とザ・ビートモーターズの秋葉(vo&g)だ。「これは人、入り過ぎじゃないの!?」(増子)なんて言葉も飛び出した通り、期待感を満面に帯びたオーディエンスが会場いっぱいにひしめき合っている。そんな中で行われたのは、クアトロの店長・柿原氏のかけ声による鏡開きだ。おめでたいムードが漂う中、さらにユニークな企画が続く。一度でも心斎橋クラブクアトロでライブを観たことのある方はおわかりだろうかと思うが、同店の語り草のひとつとなっていたのが、ステージを見事に隠してしまう、柱だ。その柱を梅田クラブクアトロでは撤去しよう!ということで、結構な予算をかけて用意されたというダミーの柱をみんなで引倒す斬新なアトラクションも!「心斎橋も懐かしいですが、この地で、今日からクアトロの歴史が動いていきますからね!」(中島ヒロト)との発声や、FM802のDJ・土井コマキが贈る、新生クアトロをナビゲートしたムービー上映を経て、いよいよ祝宴が開幕へ。

ムービーが終わったと同時に、ステージの紅白幕が下り、ザ・ビートモーターズが登場!まずぶっ放すのはFM802の昨年3月度のヘビーローテーションでもある「ちくちくちく」。記念すべき梅田クラブクアトロのステージを最初に駆け巡る楽曲として、存分に客席を沸かせる彼ら。一気にフロアの温度を急上昇させていく。キャッチーながら泥くさく痛快なロックンロール「アンドレア」をお見舞いし、さらにはドロップしたばかりの新曲「テルミーティーチャーブルース」では、骨太でグルーヴィーなフレーズが会場中を疾走。かと思えば、秋葉は先ほど鏡割りしたばかりの樽酒があるサブステージへ飛び移ると、歌いながらもお酒をがぶ飲み!客席へとじわじわ寄っていきオーディエンスをこれでもかとあおり続ける。さらには、破壊力抜群の木村(g)のギターソロに、ジョニー柳川(b)が生み出す悠々としたリズム、鹿野(ds)の重厚なドラムさばきと、楽器陣のソロパートの連続投下には見惚れるばかり。

「改めましてこんばんは! 梅田クラブクアトロ、リニューアルおめでとうございます。数あるバンドを差し置いて、僕らが一番最初をやらせてもらえるということで、非常に光栄です」(秋葉)。

「出る度に、ここで初めてやったのは俺たちだって言っちゃうよね!ずっと!」(柳川)なんて無邪気な表情で、今日の晴れ舞台を誇る彼ら。「これから、伝説の夜がここで数々作られていくんだと思います。ガンガンいきますんでよろしく!」と秋葉が叫ぶ。さらに飛ばし続ける彼らは、続いて「時代」を披露。踊らずにはいられない強烈なギターリフをぶちかまし、凄まじい盛り上がりを作り上げていく。まさに、目の前で“伝説の夜”が繰り広げられていく瞬間だ。さらには、甘酸っぱい衝動を乗せた疾走感あるロックチューン「ア・イ・ド・ル」など、変幻自在の音世界で展開していく中、いよいよ「ばらいろの世界」でエンティングへ。またもやサブステージに移った秋葉は、声がマイクを通さずとも聞こえる距離感で叫ぶように歌いかける。ひしひしとその歌力が伝わってくる様に、乗るというより魅入られているようなオーディエンスたち。会場の隅々まで歌うその姿には、否応なく涙腺を刺激された圧巻の一幕だった。

そんなザ・ビートモーターズの熱戦の後、くまもん(ゆるキャラNo.1)、FM802 DJ中島ヒロト、飯室大吾、鬼頭由芽にジョニー柳川(b)を加えてのバーカウンタートークに続いて登場したのは怒髪天の4人だ。足下から揺らされているような強靭なビートの「DO RORO DERODERO ON DO RORO」からスタート。コブシの効いた増子の絶妙な節回しが強烈な「キタカラキタオトコ」を経て、MCでは心斎橋クラブクアトロでの思い出を自虐的に語ってくれる。「心斎橋のクアトロは(お客さんが少なめで)何年間も床を眺めに行ってましたよ!阪神優勝したときなんか、最後の方うろ覚えの「六甲おろし」を歌ったりしたからね。それにしてもクアトロ、本当におめでとうございます。ビートモーターズもよかったね。若いのに、リハやってたときに渋すぎておっさんが弾いてるのかと思ったわ。今日はおめでたいし、(対バンが)ビートモーターズだし、本気出してやろうかとね」。と続いては、渾身のロックバラード「ド真ん中節」。歌詞の通り、ギュっと作った拳を高らかに突き上げるオーディエンスの姿が実に印象的だ。メンバー4人の思いが凝縮した数分間は、実時間以上のたくさんの気持ちをたたき込まれているような心地に。さらにはどこかエイティーズなメロディラインの「歩きつづけるかぎり」では、キラキラの表情をたたえて歌う増子。清水(b)の躍動感あるビートは、ステージ中を縦横無尽に駆け、上原子(g)は華やかながら堅実につまびくギターで魅了。下半身から揺らされるような坂詰(ds)の厚みあるリズムには乗らずにはいられない。「ライブで声を上げて歌うと、同じ時代を生きている仲間がいるのがわかって、明日も生きてやろうと思うんだよ」(増子)なんて、泣かせる言葉も飛び出した後は、新曲のオンパレード。「おっさんは選ばれた者しかなれません!」という、増子の怒号から始まった「押忍讃歌」。さらには、ライブの根源的な楽しさを教えてくれる実に明朗な音世界の「オトナノススメ」をぶっ放し、ラストは疾走感ある泣きのメロディの新曲「ホトトギス」。これぞ怒髪天節と言わんばかりに、彼らのマインドが詰まった新曲にして名曲で、この歴史に残る1日をシメてくれた。

どちらも体全部を投げ出すような全力のステージングで、ライブバンドたる力量をまざまざと見せつけてくれた彼ら。梅田クラブクアトロが歩む歴史の1ページを輝かしく刻んだ彼らに、会場は惜しみない拍手を贈り続けていた。ライブ後はなんとお客さん全員を順番にステージに上げて、縁起物の紅白饅頭を配るサプライズとお土産つき!ステージに上がったお客さんの感動する様子が印象的だった。
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