THE BOHEMIANS avec ムッシュかまやつ、世代を超えたロックンロールラバーズが生んだ温故知新の一夜

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ロックンロールとは、1950年代半ばに現れたアメリカの大衆音楽スタイルの名称であるが、その音楽性は60年以上経った今もなお、世界中で愛される音楽ジャンルとして生き続けている。

◆THE BOHEMIANS avec ムッシュかまやつ 画像

日本のロックンロール黎明期の象徴といえるのが、THE SPIDERS。グループ・サウンズと称され、一世を風靡した彼らこそ、日本のロックの礎。彼らが存在したからこそ、今の日本にロックが存在すると言っても過言ではないだろう。

手に入らないモノはないほど裕福になった現代。音楽もジャンルレスに溢れかえり、“どんなアーティストが演奏しているのか、歌っているのか、その音楽のルーツはどこにあるものなのか”なんてことを知ろうともせず、ただただCMなどで流れていた曲を1曲だけ着うた(R)や着メロでダウンロードするのが常識となってきてしまっているのも現状だ。

しかし。そんな中、音楽を心から楽しみ、そのルーツを遡り、とことんロックンロールを愛する奴らがここにいる!
山形出身のロックンロールバンド! THE BOHEMIANSだ。

彼らはロックンロールが生まれた頃、もちろんこの世に生まれてはいない。が、しかし、彼らはロックンロールと出逢い、ロックンロールに魅せられてからというもの、ロックンロールを多くの人に知らしめるために、日々音を鳴らし、日々叫んでいるのである。

そして今回。そんな彼らTHE BOHEMIANSとTHE SPIDERSのギタリスト、ムッシュかまやつが、世代を超えたコラボレートを実現させた。このコラボは、今年(2012年)4月に日本テレビ系『音龍門』にTHE BOHEMIANSが出演していたのを、たまたまムッシュが見かけたのがきっかけ。ムッシュが、彼らのことを“クールなバンドだね!”と呟いていたのがバンド関係者に伝わり、今回のコラボが実現したと言う流れであったと言う。

このコラボは、10月3日にミニ・アルバム『THE SPIDER BEAT』として、“THE BOHEMIANS avec ムッシュかまやつ”名義でリリースされる。

今作のサウンド・プロデュース&ミックスは、THE NEATBEATSのMr.PAN。レコーディングは、彼が所有するビンテージ機材を揃えたスタジオにて、オールモノラルで行なわれたというこだわりようである。

そんな『THE SPIDER BEAT』のリリースを記念して、“THE BOHEMIANS avec ムッシュかまやつ”が、9月4日(火)、南青山レッドシューズに音楽業界関係者を集め<THE SPIDER BEAT R&R PARTY>なるお披露目ライヴを敢行したのだ。

南青山レッドシューズは、ロックンローラーたちが集う老舗のロックバー。THE BOHEMIANSもインディーズ時代、何度もここで演奏させてもらったことがあるという縁の深いバーである。

「THE BOHEMIANSです! レッツゴー! フリフリ!」(平田ぱんだ)

揃いの真っ赤なナポレオンジャケットに身を包んだTHE BOHEMIANSが、彼らのバンドカラーでもある赤をドレスコードに集まった関係者に最初に届けたのは、THE SPIDERSのデビュー曲「フリフリ」。ムッシュは、中央に立って歌うヴォーカルの平田ぱんだと、ステージ向かって右側に立つギターのビートりょうの間に構え、フレッシュなサウンドを響かせる5人を支えた。まさに、音楽が世代を超えた瞬間だ。曲は間髪入れずに「メラ・メラ」へと続いた。マイクをムッシュに近づけ、一緒に歌う平田の表情はいつも以上に和やかだ。

「今回、オリジネーターであるTHE SPIDERSのカヴァーをさせてもらうっていうので、みんなでやりたい曲を出し合って、殴り合い寸前までいくくらい悩んで選んだ曲たちです! この曲をどうしてもやりたいって言ったビートりょうに、次の曲を紹介してもらいます!」(平田ぱんだ)

「では。聴いて下さい! 「モンキーダンス」!」(ビートりょう)

とにかく楽しそうに音を鳴らす5人。そんな5人を見守りながら、フロアに生まれたモンキーダンスと横ノリに笑顔を向けていたムッシュの表情がとても印象的だった。

「俺がブリティッシュロックを好きになるずっとずっと前から好きだったこの曲。どうしても歌いたかった曲やります!」(平田ぱんだ)

平田は1曲1曲への想いを曲の合間に挟み込みながら、ライヴをリードしていった。

届けられたのは「あの時君は若かった」。柔らかで、ちょぴり酸っぱくて、ちょっぴり甘い世界がフロアに広がった。このとき、THE BOHEMIANSのオリジナルに宿る甘酸っぱさは、この時代背景からくるものかもしれないと気付かされたのだった。

「レコーディングをして思ったことがあったんです。一番最初、一緒に音を出したときは、かまやつさんのことを、チャック・ベリーやリトル・リチャードと同じくらいの存在だと思っていたのでビビっていたんですけど、音を出した瞬間に、縦も横もなくなりました! ロックンロールを好きになったときからずっと、ロックンロールが好きで居続けている人なんだろうなって思ったら嬉しくなったんです! 僕たちと同じなんだなって、そう思ったら嬉しくなったんです! レコーディングのときも、“僕が歌うよりも、君たちが歌ってくれた方がいいから”って、すごく控えめだったけど、かまやつさんのリクエストで選曲したこの曲は、どうしてもかまやつさんに歌ってほしいんです!」(平田ぱんだ)

と、「なればいい」をムッシュのリードヴォーカルで届けてくれたのだ。コーラス部分を平田が担当し、ツインヴォーカルで歌われたこの曲は、ルーズさがたまらなくカッコイイロックなナンバー。チバ・オライリー(と無法の世界)a.k.aジャンのドラムを基盤に、星川ドントレットミーダウンのベースがリードし、本間ドミノ先生の鍵盤とビートりょうのギターが曲を彩った。

ムッシュと平田のハモリにも大きな歓声が贈られていたのだった。

「いまのところ上手くいってますよね? 楽しいです。ロックンロール好きで良かったぁ~」(平田ぱんだ)

そんな平田の言葉を受け、ムッシュは客席に向かって、
「ヤバいバンドですから! ひとつどうぞよろしくお願いします!」(ムッシュかまやつ)
とTHE BOHEMIANSを盛り上げた。

そして、ラストの予定だった「なんとなく なんとなく」を届けたのだが、平田は曲終わりでくるっとムッシュの方に身を向けると、
「まだ終わりたくないですよね! 何をおやりになりましょうか?」(平田ぱんだ)

熱くなったせいか、なんとも妙な日本語でムッシュに問いかけた。

「「サティスファクション」でいいんじゃない?」(ムッシュかまやつ)

ムッシュは迷わずTHE ROLLOMG STONESの「サティスファクション」を上げた。
と、その瞬間。ビートりょうが間髪入れずに「サティスファクション」のイントロを弾き始めたのだ! 彼らは、セットリストにもアルバムにもない、この日にしか聴けないナンバーをプレゼントしてくれたのだった。

“こんなにもカッコイイ、ロックンロールという音楽をみんなに知ってほしいのと、地元山形の県民会館でライヴをすることが夢!”というTHE BOHEMIANS。彼らは12月に3rdアルバムをリリースする予定だ。

故きを温ねて新しきを知る。ロックンロール魂を引き継いだ最高のロックナンバーを、彼ららしくクールに響かせるオリジナルアルバムも、是非、手に取ってみてほしい。

取材・文●武市尚子

THE BOHEMIANS avec ムッシュかまやつ
『THE SPIDER BEAT』
2012年10月3日発売
FLCF-4436 ¥1,500(tax in)
1. フリフリ
2. メラ・メラ
3. モンキー・ダンス
4. あの時君は若かった
5. なればいい
6. なんとなく なんとなく
全6曲

<THE BOHEMIANS ワンマンツアー2012
~ THE BEST OF THE BOHEMIANS Volume 1 ~>
2012年10月19日(金)福岡・DRUM SON
2012年10月21日(日)大阪・梅田CLUB QUATTRO
2012年10月28日(日)北海道・札幌KRAPS HALL
2012年11月4日(日)東京・恵比寿LIQUIDROOM

◆THE BOHEMIANSオフィシャル・サイト
◆FOR LIFE MUSIC ENTERTAINMENT
◆「THE BOHEMIANSの5人全員かたまりダイナマイト連載」まとめページ
◆ムッシュかまやつオフィシャル・サイト


  
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