【ライブレポート】清春「僕は、これのために生きてます」

ポスト

3月15日、清春の全国ツアー<天使の詩 2013『UNDER THE SKIN』>が福岡DRUM LOGOSにて幕を閉じた。去る1月18日に長野を起点としながら始まったこのツアーは、全13公演に及ぶもの。2月9日のデビュー記念日には地元・岐阜での公演も行なわれ、同日深夜、彼自身のソロ活動のみならず黒夢やSADSにまつわる重要情報が解禁になるなど、この期間中にも彼はあれこれと話題を振りまいてきた。そもそもこのツアー自体は2012年のうちに実施されることになっていたものだが、ソロ名義での7thアルバム『UNDER THE SUN』の発売遅延に伴い、こうして仕切り直しに。結果、早い段階からソールドアウトが続出し、ファンの飢餓感が極限近くまで高まっていた事実を裏付けることになった。

◆清春画像

しかし、そうした経過や事実関係以上に特筆しておくべきなのは、このツアーにおけるライヴ・パフォーマンスの濃厚さについてだろう。筆者はこの期間中、福岡での最終夜を含む3公演を目撃したが、毎回3時間をゆうに超えるステージでありながら、その音楽的密度の濃さと、回を重ねるごとにしなやかな強靭さを増していくグルーヴ、清春自身のヴォーカル・パフォーマンスの充実ぶりに、まさに時間経過を忘れてしまうほどの興奮を味わわされることになった。

ライヴは当然ながら、あくまで最新アルバムの『UNDER THE SUN』を軸としながら展開されてきた。ここに掲載されている写真はすべて前述の福岡公演の際のものだが、同日のステージも、アルバム自体と同様に「WALK ON THE MOON」をオープニングSEに据えながら「JUDIE」で幕を開け、同作の通常盤にボーナス・トラックとして収録されていた「FLORA」へと続く展開に。以降、清春は、過去のさまざまな時代を飛び交いつつ、楽曲によってはギターを掻き鳴らしながら、妖艶かつ力強く、美しさと禁断の匂いの同居する歌声でオーディエンスを酔わせ続けた。そしてアンコールに次ぐアンコールに応えながら、最終的にこのツアー・ファイナル公演での演奏曲数はトータル34曲にも及び、彼自身がステージから姿を消したのは、じつに開演から4時間以上を経過した23時過ぎのことだった。

さらに付け加えておきたいのは、そのアンコールの途中で突如、新曲が披露されたことである。サポート・メンバーたちに2日前にデモ音源を聴かせたばかりだというその楽曲は、確定的ではないはずだが、この夜の時点では「麗しき日々」というタイトルで紹介されていた。僕の耳が確かならば、その曲のなかで清春は「旅が終わっても、君と会っていたい」と歌っていた。この歌詞自体については、彼自身がMCのなかで「昨日福岡に入って、思っていたことが70%ぐらい書けた」と語っていたことからも明らかなように、この時点では未完の状態にあったものと思われる。が、逆に言えばそれだけ“今”の気持ちが反映されているということでもあるはずだし、このツアーで味わってきた空気が彼に書かせたものだと解釈して間違いないだろう。もちろん過剰な深読みは禁物だが、このツアー自体を振り返りながら清春のなかに「麗しき日々」という言葉が浮かんできたこと自体に、とても価値があるのではないかと僕は感じずにいられない。

最後の最後、「あの詩を歌って」を歌い終えた彼は、何度も感謝の言葉を口にしながら、この日々を共にしてきたメンバーたちのみならず、クルーひとりひとりの名前を挙げながら労をねぎらい、別れを惜しむようにしてステージを去っていった。「終わっちゃったね。できれば全員で打ち上げやりたいぐらいなんだけど」と笑う清春の瞳が、微かに潤んでいるように僕には見えた。そして、その直後に彼の口からこぼれた「僕は、これのために生きてます」という言葉が忘れられない。

次の機会がいつになるのかはわからない。そのときにどれだけ同じ顔ぶれが揃うことになるのかも断定できない。現状、10月30日に<THE 45TH BIRTHDAY>と題された渋谷公会堂での公演が決まってはいるが、その前にソロ・アーティストとしての彼と対峙できる機会が用意されているのか否かも定かではない。が、どちらにせよ、清春と彼を愛する人たちが音楽を共有し、それをより大きく鳴り響かせていくための旅は、まだまだ続いていく。清春、SADS、そして黒夢。すべてに全力投球する彼の一挙手一投足に注目していたいものだ。

文・撮影:増田勇一
この記事をポスト

この記事の関連情報