【ライヴレポート】DOBERMAN主催の野外イベント<MOONSTRUCK JUMBOREE>、思う存分に踊りまくり酒を飲んだ7時間

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▲DOBERMAN

▲TOMOVSKY

▲OLEDICKFOGGY

▲赤犬

▲カジヒデキ

▲フラワーカンパニーズ

▲Blue Beat Players

▲MONGOL800
「音楽にはパワーがある」、DOBERMAN・吉田田タカシがステージで何度も叫ぶこの言葉には嘘がない。そう信じられるほど楽しく、笑顔あふれる空間がそこにはあった。

結成15周年を迎えたスカバンドDOBERMANが主催する野外イベント<MOONSTRUCK JUMBOREE>が、2年ぶりに大阪・服部緑地野外音楽堂で開催された。出演はDOBERMAN、フラワーカンパニーズ、MONGOL800、カジヒデキ、Blue Beat Players、OLEDICKFOGGY、そして急遽「開会の挨拶」として出演が決まったTOMOVSKYの全7組。

豪快な太陽の日差しが暑く降り注ぐ会場内には、メンバーとその仲間達がデザインと創作を担当した場内装飾や、子どもたちの遊び場(こどもじゃんぼりー)、また飲食ブースなどが揃い、開演前から多くのオーディエンスが楽しんでいた。まず、開会の挨拶として登場したのがイベント2日前に出演が決まったというTOMOVSKY(今年4月に開催された「CAPITAL RADIO ‘13」での対バンで交流が生まれたとか)。もちろん挨拶だけなんてことはなく、メドレーでライヴも披露。しかも1曲目からフラワーカンパニーズの名曲「深夜高速」をカバー。しかも現場に到着したばかりの鈴木圭介まで登場し、他人の名曲を1曲目に持ってくるその無邪気さに会場は初っ端から盛り上がった。

そして本編1組目、OLEDICKFOGGY。1曲目「神秘」からマンドリン、バンジョーの音がガンガンと鳴り、極悪で色鮮やかなラスティックサウンドでオーディエンスを踊らせる。「暗転」「ラスティックが止まらない」と、思いを強く吐き出したリリックに日本古来のお囃子を思わせるような土着な匂いのする音が無条件に体を揺さぶる。きっちりと作りこまれた美しいメロが初めて聴くオーディエンスの耳を優しく撫でていく。ラスト「月になんて」の追い込むようなリズムに噴き出す汗も厭わずはしゃぎまくった。

2組目はDOBERMANの大学時代の先輩である赤犬、この日は総勢13名(1人はカラオケ大会の審査員の仕事のため欠席!笑)で「パッション」から会場の空気を一瞬にして真夜中のムーディーな歌謡酒場へと変えてしまった。ジュリーよろしくスパンコール輝く衣装を纏って歌い、昭和を思わせるムーディーな「デラノーチェ北浜」ではコーラスの2人がステージを降りオーディエンスとチークダンスで愛を囁きあったり、「アンドロメダ大将軍」ではレオタードに着替え思わず噴き出してしまう振り付けで会場中を魅了する。全6曲、濃厚すぎるほどの関西ノリで突き進んだステージは、笑いだけでなくしっかりと厚みを持った楽器陣で最後までしっかりと音を聴かせてくれた。

カジヒデキはさっきまでの濃ゆ~いステージを1曲目「甘い恋人」で、爽やかな風そよぐ空間へと変えていった。サックスフォン&フルートのNARI(SCAFULL KING)との2人体制でのステージはシンプルでいてストレートに広がっていく。「ポニーテルの頃」「MY LOVE,MY MILK part.2」と立て続けに鳴らしていき、「水」でタイトルのままにさらりと涼やかで、SAXの音も軽やかに跳ね水滴のように染みこむ音でオーディエンスをつかむ。ラスト「LA BOUM~MY BOOM IS ME~」ではDOBERMAN・タクロウがハープでゲストとして登場。“カジさんは涼しい!”の言葉通り、絶好のタイミングで心地良い風が舞い込み、自然の演出も楽曲に彩りを加えた。

イベントも中盤に入りステージでは夏らしくスイカ割り大会が行われ(出演者によるミニコントあり!)、続くフラワーカンパニーズが夏の暑さをさらにぐっと熱くするステージで楽しませてくれた。「深夜高速」からスタートしたステージは高ぶる感情がどんどんと燃え盛り、客席へ開放されるように広がっていく。アニメ「宇宙兄弟」の新エンディングテーマとなった「夜空の太陽」をライヴ初披露! ゴリっとした硬派なロックンロールサウンドはライブバンドの凄みをより感じる。ラスト「真冬の盆踊り」、定番のヨサホイにDOBERMANを始め出演者が続々登場し、祭りの盛り上がりをより高めていった。

スカシーンにおいてDOBERMANの大先輩にあたり、日本のスカシーンを牽引してきたBlue Beat Playersが放つ極上のスカサウンドに会場の空気が引き締まった。セッションのように遊び心にあふれたサウンドは変化に富み、1曲目「cool ska」から一寸のスキを与えず、自由でいて計算しつくされた完璧なリズムに体が揺れるのが止まらない。オーセンティックなスカはもちろん、レゲエやロックとアレンジも豊富に次々に楽曲を鳴らし主催であるDOBERMANにピリッとプレッシャーを与えていった。

DOBERMANとは10年来の付き合いがあるというMONGOL800は、トリを前に一切手加減抜きの力強いステージでオーディエンスを盛り上げた。「DON’T WORRY BE HAPPY」、ギターのリフが聞こえるだけで大きな歓声が起こる。オーディエンスは拳を高く挙げて盛り上がる。「沖縄より暑いぞ~」なんてキヨサクの言葉もうなづけるほど、西日がジリジリと焦がすように会場を照らしつけ汗が止まらない。「PARTY」、仲間のイベントを最高に盛り上げようとする気持ちがまっすぐに届いてくる。「小さな恋のうた」「What a Wonderful World」、小さな子どもも一緒になって盛り上がり、ウソのないまっすぐな歌はそのまんまの形で体に気持ちよく入ってくる。ラスト「あなたに」、休むことなく打ち込まれるリズムが会場全体をグワーッと包み込み、大トリDOBERMANへと最高の状態でバトンを繋いだ。

この日の集大成を飾るDOBERMANは“いまの形”を思う存分魅せてくれた。「朱い太陽」で始まったステージ、沈んでいく真っ赤な太陽に向けてホーンが鳴り響き、これからさらに盛り上がる祭りに拍車をかけるように小山のドラムが激しくリズムを打ちつける。“楽しむだけが全て 楽しむだけが人生やから ぶっ飛んで楽しもう”吉田田タカシの言葉がオーディエンスをより解放する。高速のスカのリズムが繰り広げられる「Moonstruck drunker」、原賢ニはすでに良い感じに酔いが回っているのか!? 紙一重の絶妙なバランスでキーボードの上でパフォーマンスを繰り広げる。

今回のイベントでは東北ライブハウス大作戦のブースが展開されていた。MCではオーディエンスへ再度協力を仰ぎ、被災地を訪れた時に作り上げたという「メメントモリ」を披露。ギターの音が淡々と世界を紡ぎ、鼓動のように響くリズムがオーディエンスへ届いていくのが伝わる。タイトルのままに大人のどうしようもないくらい愛しい人間臭さが詰まった「ロマンチックにいかないオレたち」、伊達男たちのセクシーさが光る「Bella Ciao」…DOBERMANが作り上げる人間臭さが音になって飛び出していく。

本編ラスト、再び「朱い太陽」で締める。同曲ながらメンバー自身の気持ちの入り方がガラリと変わり、“今”をとにかく楽しんでいるのがひしひしと伝わる。アンコール、会場全員が一緒になって“かんぱ~い”と声を出し「マシジャ」へ。酔いどれたちの祭りの終焉を祝うべく、思う存分に踊りまくり酒を飲み7時間近いステージが終了。

音楽のパワーに魅了され楽しむことに全力を尽くした彼らのお祭りは絶対にここでしか完成しない。彼らにしか出せない味の染み込んだ出演者と音楽、会場の雰囲気、すべてひっくるめて“JUMBOREE”な一日、とにかく“楽しい”の一言だった。

取材・文●黒田奈保子

<MOONSTRUCK JUMBOREE>
7月20日(土)大阪・服部緑地野外音楽堂

◆ドーベルマン オフィシャルサイト
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