【インタビュー】PENICILLIN、3年振りのシングル「幻想カタルシス」発表「“激しくてメロが切なくてカッコいいバンド”という意味ではドンズバ曲」

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■当時の時代背景を踏まえた上で作られた曲たちを
■分解して再構築するのがこんなに面白いと思わなかった──O-JIRO

千聖:ただ、「シルエット・ロマンス」と「桃色吐息」は最初、ハマるかわからなくて、特に「桃色吐息」は“こんなに声に合うんだ”ってビックリしましたね。

O-JIRO:プロデューサーめちゃくちゃ押してて。

千聖:メーカーの人もHAKUEIくんが歌っているのを目を閉じて聴いて酔いしれてましたからね(笑)。さっき、HAKUEIくんも言ってたけど、オレら、小さい頃、こういう曲を聴いて育ってるでしょ? O-JIROくんだけ「シルエット・ロマンス」を知らなかったことがさっき発覚したけど(笑)。

O-JIRO:リアルタイムで聴けてなかったけど、曲は知っていましたよ。きっとHAKUEIさんたちが音楽聴いてた頃、僕はまだ外で走りまわってたんだと思う(笑)。

千聖:HAKUEIくんが小学校5年生でオレが4年生でクラスの女のコたちがTVの「ザ・ベストテン」を見て騒いでた時代。3年生のJIROくんはまだ色気づいてなかった(笑)。でも、今回、カバーしてみて勉強になりましたね。‘80年代初頭から半ばにかけてのアーティストの曲を作った作詞者や作曲者、アレンジャーの音楽のバックグラウンドが見えてきた。オレたちのアプローチは完全にロックが母体なんだけど、彼らはジャズとかクラシックとか民族音楽だったりファンクなんだろうなって。

──なるほど。哀愁がありつつ洗練されていた「シルエット・ロマンス」が、こんなにゴシックでダークなアプローチになるとは想像もできませんでした。

千聖:オリジナルと聴き比べてほしいですね(笑)。

HAKUEI:この曲に限らず、テンポはほとんど変えてないんですよ。例えば速くしてパンクアレンジにしちゃったりしたら、別の曲みたいになって、原曲の良さが活かせないと思ったから。「シルエット・ロマンス」のメロウな感じや雰囲気を損なわないようにして、あとは楽器陣にまかせようと。太い音でギターが歪んでても、そのミスマッチが絶対にいい方向にいくだろうなっていう確信はありましたね。

──HAKUEIさんが歌うと、こんなに淫糜なニュアンスが出るのかっていうのも発見でした(笑)。

千聖:ドラムからして淫糜です(笑)。

O-JIRO:HAKUEIさんが歌うので、アレンジでは安心してガッツリ攻めることができるなって。リズムパターンは原曲のものとはかなり変わった構成にしました。

HAKUEI:アレンジは“こう来るのか!?”って。ワンコードぶち抜きの構成なので難しくて、歌入れのときはガイドのキーボードを入れてもらって歌いましたね。

──パーカッシブなアプローチの「桃色吐息」は?

O-JIRO:この曲がいちばん異端な感じかもしれないですね。原曲にはドラムが入ってないので、いろいろ模索したんですけど、カホンを使うのも違うかなと思ったので、どうしようかなと。リズム自体ループっぽい感じのアレンジだったので、いろいろと試した末にボンゴやジャンベがやりそうなリズムパターンをドラムで叩いてます。

千聖:ギターはアコースティックで若干フラメンコ的なオーソドックスなアプローチ。エレキギターを入れると中途半端になると思ったから、全部アコギで弾こうって。ちょっとジプシー的なイメージ。

O-JIRO:わかる。間奏にジプシー感が出てる!

千聖:アコギのザクザクしたアプローチですね。3曲どれも違うカラーにしたかったので。

──「飾りじゃないのよ涙」はさっき千聖さんも言ってたようにバンドにピッタリだし、ヘヴィなシャッフルアレンジで、ライブ感があるバージョンになっている。

千聖:この曲は最初からアレンジも見えてたし、歌詞もカッコいいし、自分のスタイルで攻められましたね。JIROさんは、こういうリズムは久々なのかな。

O-JIRO:原曲自体、3連符なのでロックにしやすいのかもしれないですね。こういうリズムってアレンジが広げにくいんですけど、ちょっとメタリックにしたかった曲。予測できない感じでノリが変わっていく、いちばんバンドっぽいんですけどね。

千聖:陽水さんの曲だから、職業的というより感性のプロフェッショナル。こういう曲を中森明菜さんにぶつけたっていうのはスゴイと思いますね。

HAKUEI:歌詞はホントに明菜さんのために書いたんだろうなって思いました。普通のアイドルより、ちょっとクールで色っぽかったりするイメージだから。

──斜にかまえたアイドルでしたもんね。

HAKUEI:そう。そのイメージをさらに際立たせてる。“私は泣いたことがない”って強がってるんだけど、後半ではほんとの恋をしたら、きっと泣いたりするのかなって歌っていて、心の奥の淋しさを表現しているというか。当時の彼女のイメージに合っているし、改めて素晴らしい曲だなって。

O-JIRO:クオリティの高さを再認識だね。

──21年目で新たな試みをしたことによって?

O-JIRO:そうですね。カバーをするって聞いたとき、僕的にはそんなに特別な想いはなかったんですけど、当時の時代背景を踏まえた上で作られた曲たちを、僕たちが分解して再構築するのがこんなに面白いと思わなかった。今後、自分たちの意識がまた変わる部分もあるだろうし、挑戦してみて良かったですね。

取材・文◎山本弘子


■ニューシングル「幻想カタルシス」
2013年10月9日(水)
全3タイプ同時発売 各\1,300(税込)
【Type-A(CD3曲入) 】XNBG-20004
M1.幻想カタルシス
M2.シルエット・ロマンス-PENICILLIN ver.-
M3.シルエット・ロマンス-PENICILLIN ver.- (Instrumental)

【Type-B(CD3曲入)】XNBG-20005
M1.幻想カタルシス
M2.桃色吐息-PENICILLIN ver.-
M3.桃色吐息-PENICILLIN ver.- (Instrumental)

【Type-C(CD3曲入) 】XNBG-20006
M1.幻想カタルシス
M2.飾りじゃないのよ涙は-PENICILLIN ver.-
M3.飾りじゃないのよ涙は-PENICILLIN ver.- (Instrumental)

■<HAKUEI BIRTDAY LIVE「SUPER HEART CORE ‘13」>
12月15日(日) SHIBUYA AX
[問]サイレン・エンタープライズ TEL.03-3447-8822(平日12:00~18:00)

■<stylish wave GENERATION Vol.5 世代の壁を突き破れ!>
11月30日(土) 赤坂BLITZ
出演:PENICILLIN / Plastic Tree / LM.C / DaizyStripper / 己龍
[問]HOT STUFF TEL. 03-5720-9999

◆PENICILLIN オフィシャルサイト

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