【インタビュー】織田哲郎、ソロ・デビュー30周年記念インタビューPART1

ツイート

■駄目っぷりをナルシシズムで飾るという女から見たらどうしようもないよね
■でもね、そこが男なんですよ。本当にすみません(笑)

──そしてもう1枚、メロディアス・サイドの「Blue」のほうですが、こっちは…。

織田:だって2枚に分けないとさ、「月の涙」と「馬鹿なんです」が同じアルバムに入ってたら、おかしいなと思うでしょ(笑)。分けてスッキリしたんですよ。

──かなり前のシングル曲ですけど、あらためて「月の涙」はいい曲ですよね。あの特徴ある音色はバンドネオンですか。

織田:そう。小松亮太さんが弾いてる。本当に面白い楽器で、人間の呼吸みたいな音が出るんですよ。バンドネオンでしか出せない情感というものがあって、すごく良かった。

──この「Blue」は織田さんの弾くアコースティック・ギターを中心に、ボサノヴァぽかったり、ストリングスを入れたバラードであったり、メロディと歌中心の音作りになってます。

織田:そう。全体的に、メロディを聴かせるためのアレンジということで。オレがアコギで影響を受けてるのはジェームス・テイラーとポール・サイモンなんです。基本はサムピックで、アルペジオの中に和音として必要な構成音が入っているアレンジを考えたらこうなっちゃいました、というフレーズが好きだから。

──あと、ソナーポケットに提供した「あなたのうた」のセルフカヴァーは、もともとラップっぽい歌い方だった曲を織田さんが歌っているのがすごく新鮮でした。

織田:自分でも新鮮だった。自分で歌うつもりはまったくなかったんだけど、ひょうたんから駒みたいな話で、CM(「アリナミン」)で“織田さんが歌ったバージョンも作りましょうよ”と言われ、“そうですか?”って、その時だいぶ躊躇したんだけど。せっかく言ってくれたから、やってみようかと。あれが2年ぐらい前かな。

──そして、8分近い物語風の大作バラード「チャイナタウン・ララバイ」。これは本当にしみじみ泣ける曲だと思いますよ。特に男性のリスナーには。

織田:これは自分の、飲んだくれの日々のすべてを込めた曲ですね(笑)。長い飲んだくれ人生でしたからね。これは相当、駄目な男には訴えかけるものがあると思いますよ。

──しまった(笑)。めちゃくちゃ沁みちゃいました。

マネージャー女史:これをいいっていう人、男の人が多いよね。女から見たら、本当にもう…っていう感じ。

織田:どうしようもないよね(笑)。しかもさ、そんな駄目男の駄目っぷりを、センチメンタルなメロディときれいな弦で飾ってるんじゃねぇよ!っていう歌じゃない?(笑)。駄目っぷりをナルシシズムで飾るという、女から見たらどうしようもないよね。でもね、そこが男ということで。本当にすみません(笑)。

──でもですね、こういう歌を聴くと、演歌というとアレですけど、日本人男性の琴線に触れるせつなさみたいなものを強く感じるんですよ。

織田:うん、そうね。だってオレはもともと、陽の当たる場所があんまり好きじゃないから(笑)。“ポップス”というカタカナにした途端に、どいつもこいつも日向ばっかり向きやがって、というところがあるじゃない? 日陰を歌う、オーバーグラウンドな音楽が非常に少なくなっちゃってるわけ。昔はそこに演歌というものがあったし、オレは小学校の時から青江美奈が好きだからさ。Tレックスと青江美奈はオレの中で同じなの。何か妖しい、子供にはわからない世界がそこにあるという意味で。

──ああ、確かに。

織田:最近は飲むと体の調子が悪くなるんで、本当に飲まなくなっちゃったんだけど、みんなに迷惑かけた長い飲んだくれ人生のまとめがこの曲です(笑)。駄目男の駄目っぷりをきれいに飾って、あたかもいい思い出のようなまとめ方してんじゃねぇよ!って、わかってんだよ、それは全部。わかってます。わかってるんだけど、ある程度以上トシを食った男が共感できる歌自体が、今はないからね。酒飲むシチュエーションで、アゲアゲじゃないところに焦点を当てる歌自体が世の中から消えちゃったじゃない? 恐ろしいことに。どこもかしこも酒飲んでアゲアゲでさ、そんなわけないじゃんって思うんだけどね。何なら演歌も書きますよって思ってるんだけど。

──聴きたいですよ! 織田さんのポップス演歌。絶対受けると思います。

織田:ゴールデン街あたりでは、相当みんなに気に入ってもらえると思うな(笑)。そういう意味じゃ、自分が酒飲んでる時に聴きたい音楽って、今作っても売れないから作れないところがあって、難しい時代なんですよ。

──すみません、最後に1曲だけで盛り上がりすぎました(笑)。

織田:いやー、でもうれしいな。

──でも本当に、いろんな世代の人に聴いてほしいアルバムです。そして次回作は6年もかからないですよね?

織田:そう思います。今はどんどん作りたい気になってるから。でもわかんないな、こればっかりは、その時の衝動次第だから。来年になってもう一回『One Night』みたいにじっくり作りたいとか言い出すかもしれないし(笑)。わかんないです。

──急かしませんので、いい曲をまた聴かせてください。ありがとうございました。

取材・文●宮本英夫


『W FACE』
KICS-1977~8 ¥3,150(tax in)
発売中
【DISC1 アルバム】
1.天啓 ver.3
2.FIRE OF LIFE
3.馬鹿なんです
4.背中には今もブルースが張りついたまま
5.Winter Song
6.Just Another Day
7.After Midnight
8.R&R is my friend(W FACE ver.)
【DISC2 アルバム】
1.月ノ涙
2.伝言
3.あなたのうた(W FACE Ver.)
4.砂の城
5.aino uta
6.チャイナタウン・ララバイ
7.You've Got A Friend
8.いつまでも変わらぬ愛を(21st century ver.)

<TETSURO ODA LIVE TOUR 2013 ソロデビュー三十周年大感謝!されどいまだ未熟者、先は長いっす。>
11月08日(金) 福岡DRUM LOGOS
メンバー:古村敏比古(Sax)、佐治宣英(Dr)、櫻井陸来(B)、宮崎裕介(Key)、奈良悠樹(G)
[問]TSUKUSU 092-771-9009

11月09日(土) 大阪BIG CAT
メンバー:古村敏比古(Sax)、佐治宣英(Dr)、櫻井陸来(B)、宮崎裕介(Key)、奈良悠樹(G)
[問]サウンドクリエーター 06-6357-4400(平日12~19時)

11月17日(日) 東京SHIBUYA-AX
メンバー:古村敏比古(Sax)、佐治宣英(Dr)、櫻井陸来(B)、宮崎裕介(Key)、奈良悠樹(G)
[問]ディズクガレージ 050-5533-0888(平日12~19時)

<ミニ・ライヴ&握手会>
11月23日(土)14:00 ~
■場所:たまプラーザテラス ゲートプラザ1Fフェスティバルコート
[問]山野楽器たまプラーザテラス店 TEL: 045-905-0823

◆織田哲郎 オフィシャルサイト
この記事をツイート

この記事の関連情報