【短期集中連載】アヲイ「終奏物語」[vol.4]

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2013年6月2日、渋谷O-WESTでのツアーファイナル公演にて2014年1月12日にLIQUIDROOM edisuでのワンマン公演を発表したアヲイ。2013年10月20日に5th Mini Album 「終わりのメロディ」をリリースした彼らが行うリリースツアー<終奏>のファイナル公演に相応しい大舞台だ。そんなアヲイの内部を短期集中連載としてフィクション、ノンフィクションを交え、メンバーが執筆した小説をみなさんにお伝えしていく。第4回目はGuitarの慎だ。


 ◆  ◆  ◆


「はい!カットぉぉぉ!!!」

監督の声が響き渡る。

「いやー、OTGのあの透ける演技すごいねー」
「さすがにあんなに透けるとは思ってなかったわー」
迫真の演技を終えたメンバーが口々にオトギのCGを使わずに透けてみせるという特技を活用しての演技を褒める。

「2年前までは半透明くらいまでしかなれなかったんだけどね」
そう答えるオトギは嬉しそうにはにかむ。

そう、ここは大阪府下にある某撮影スタジオ。
渋谷O-WESTでのワンマンライブを終えた彼らは、活動の幅を広げ、より多くの人にこのバンドを知ってもらいたいという思いの下、自主制作映画の撮影に勤しんでいたのだ。

「でもサキくん、さっきのビンタめっちゃ痛かったわー、演技なんやからもうちょっと手加減してくれてもよかったやろ」
Ryoが言う。
「何言うてんねん!見てる人がこれは演技なんやって少しでも思ってしまったら一気に醒めてしまうんや!」
サキの演技に対する情熱は人一倍だ。
「翔。くんだって自分は待ち時間やからってうどん食べてたけど啜る音がマイクに入らんか冷や冷やしたし、慎ちゃんだって自慢のゴールデン千手観音像磨きだすから照明が反射して変なライティングになってしまったし、OTGも何だかんだ言って透けるのが速いねん、もっとこう、ジワージワーと透けてくれんと雰囲気ぶち壊しやで!」
「ご、ごめん…」

メンバーの演技や撮影に取り組む姿勢にダメ出しするサキだったが、実はこの映画制作に対して、当初は最後まで反対していたのだ。

………

あれはまだ肌寒い冬の終わり。
今後のアヲイについてのミーティングをする日。
春先に着る予定のコートに身を包み事務所に向かうオトギ。
ビーチサンダルを履き事務所に向かう慎。
全身ヒョウ柄の服で事務所に向かう翔。
マスクを3重にし風邪予防抜群で事務所に向かうサキ。
全身真っ黒の服で事務所に向かうRyo。
みな顔は真剣そのものだ。
事務所にてメンバーは集まった。
14時きっかりに始まったミーティング。


「SHIBUYA O-WESTワンマンが成功したらさ、次はもうちょっとだけ背伸びしてみない?」
「そうやね、このまま同じようなペースでやってても、俺らもファンのみんなも物足りなくなってしまうかもしれないしね」
「武道館とか?」
「ええやん!」
「武道館はさすがにやりすぎやろ。ウエスト7デイズとかどうよ?」
「ええやん!」
「一週間も体力持つかなー…ライブハウスでやるって概念を取っ払って、47都道府県駅前ゲリラライブとかは?」
「ええやん!」
「こうなってきたら、バンドがライブをやらなあかんっていう概念すら必要ないよな!よし!映画や!銀幕のスターや!ハリウッドやーーーーー!!!」
「ええやん!!!!!!!!!!」

最後の「ええやん」にサキの声はなかった。


「ほんまにそれでいいんか?」
ピリっとした空気の中、皆に問い掛けるサキ。

「やろーや、おもしろそうやん!」
Ryoは何にでも興味津々である。
「俺らが本気でやればそれはどんな形であれファンのみんなに伝わるよ!」
慎は熱意さえあれば何でもできると思い込んでいるようである。
「BGMどうしよ!俺のMac Proが大活躍するで!」
翔。はコンピューターミュージックが大好き。

口々にサキを説得しようと試みるメンバー。

黙ってその様子を見ていたオトギが神妙な面持ちで口を開く。


「サキくん…俺…透けられんねん…」


「ええやん!!!!!!!!!!」


5人の意志は固まった。


………


そんな経緯があったからこそサキの映画への思いはどのメンバーよりも強くなっていた。

「みんなが熱く説得してくれて俺を映画の道に導いてくれたんやからさ!今一度気合い入れ直してマジで最高にクールなムービーにしようぜ!」

「せやな!!!」

映画への情熱を再び共有した5人。
次のシーンの撮影を始めようとしたその時悲鳴が響き渡った。


辺りを見渡す5人。
声がしたのは「残された秘宝」というケータイゲームアプリをしていたはずのマネージャーの方からだ。
それに気付き全員が振り向く。
そして誰が言ったかは定かではないがこう聞こえた。


「悪魔だ…」


そこにはさっきまで「残された秘宝」をプレイしていたマネージャーの姿はなく、マネージャーの背中を引き裂いて現れた、人ではない何かが血に濡れたままの姿で笑っていた。


その笑い声はどこか悲しげで、すすり泣く声にも聞こえたという…


2013.10.23 5th Mini Album 「終わりのメロディ」 リリース
【初回限定盤A-type】
CD( 全5 曲)+DVD(PV) 2 枚組 ¥2,940-(tax in) BRA-028
【初回限定盤B-type】
CD( 全5 曲)+DVD 2 枚組 ¥2,940-(tax in) BRA-029
【通常盤】 CD 全6 曲 2,310-(tax in) BRA-030

アヲイ5th Mini Album 「終わりのメロディ」Release TOUR<終奏>
10 月30 日( 水) OSAKA BIG CAT
11 月01 日( 金) 名古屋Electric Lady Land
11 月02 日( 土) HEAVEN'S ROCK さいたま新都心VJ-3
11 月05 日( 火) 高田馬場AREA
11 月15 日( 金) 新横浜NEW SIDE BEACH!!
11 月17 日( 日) 柏PALOOZA
11 月23 日( 土) 秋田 Club SWINDLE
11 月24 日( 日) 盛岡Club Change
11 月26 日( 火) 青森Quarter
11 月28 日( 木) 仙台MACANA
11 月29 日( 金) 郡山CLUB♯9
11 月30 日( 土) 山形ミュージック昭和Session
12 月06 日( 金) 博多DRUM SON
12 月08 日( 日) 岡山CRAZYMAMA 2nd ROOM
12 月10 日( 火) 神戸VARIT.
12 月13 日( 金) OSAKA MUSE
12 月27 日( 金) 高田馬場AREA

TOUR FINAL ONEMAN
2014年1月12日(日) LIQUIDROOM
開場 16:00 / 開演 17:00 前売 3,990円(D別) / 4,500円(D別)
チケット一般発売:10/26(土)


◆アヲイオフィシャルサイト
◆BARKS ヴィジュアル系・V-RCOKチャンネル「VARKS」
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