【インタビュー】黒夢「もっと自由であっていいと思うし、僕ら自身が黒夢に縛られる必要もない。形式としての黒夢がいつまでも続くとは思ってない」
■「ゲルニカ」は黒夢とsadsの合体形すら見えてる
■ホントにこの両者の中間にあると思う
――「ゲルニカ」も色調としては黒。映画の主人公は物語のなかで“もう1人の自分”に翻弄されるようですけど、そこにもまた『黒と影』というタイトルに重なるものを感じさせられます。
清春:すごいですね、その解釈。偶然なのかもしれないけど、「I HATE YOUR POPSTAR LIFE」で歌われてるのも、同じように“別の自分”なのかもしれない。僕らにとっては今回の2枚同時リリースについても、単純に激しい曲とメロウでノスタルジックな曲をいっぺんに出すということでしかなかったんだけど……。ただ、「ゲルニカ」については自分でもよくできた曲だなと思ってます。
▲「I HATE YOUR POPSTAR」[CD+DVD] AVCD-48883
▲「I HATE YOUR POPSTAR」[CD+DVD] AVCD-48884
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清春:黒夢とsadsの合体、みたいな。僕は両方やってるわけですけど、ある意味、今の自分が思う理想の形というか。完全に黒夢ではないかもしれないし、完全にsadsでもないかもしれない。でもそこで「分ける必要あるのかな?」とたまに思うんですよ。もちろん同じような時期にツアーをしたりアルバムを出すようなことにでもなれば分けたほうがいいと思うけど、1曲という単位で何かをやろうとするとき、そこに縛られる必要はないと思うんです。この「ゲルニカ」については、映画がホラー・テイストのものということもあって、まずK-A-Z君がイメージできたし、実際、この曲をsadsでやってもおかしくないですよね。黒夢の曲として出すと「ヘヴィだな」と思われるだろうけど、ヘヴィな曲の多いsadsでやれば普通に「いい曲だな」と言ってもらえるかもしれない。それを承知のうえでやってはいる。手っ取り早いからK-A-Z君を使ってるというわけじゃなくて、純粋にキャスティングの自由が広がってるというか。だからポピュラリティを求めたい曲では例えば是永(巧一/g)さんに声をかけるし。要するにその曲のジャンル感における最高峰の人たちを、どの曲でも使いたいわけです。それができないのは、おかしいと思うんですよね。特に黒夢という、ヴォーカルとベースしかいないグループの場合は。逆にこれは、『CORKSCREW』までの黒夢にはできなかった発想でもあるわけだけど、今は幸運にも適任者がたくさん身のまわりにいるわけだから。人時もそこについては同じように感じてくれてると思うけど。
――人時さんがミュージシャンとして際立ったものを持っていることを、清春さんも認識している。だからこそ、最高峰たちとぶつかりあう楽しみを求められるわけですよね?
清春:そうなんです。なにしろこうして黒夢とsadsの合体形すらすでに見えてるわけですよ。ホントにこの「ゲルニカ」のサウンドは、両者の中間にあると思う。どっちにも極端に寄ることもなく、各々の色も出てるというか。
――さきほど名前があがった是永さんは「ゲルニカ」のカップリング曲、「CALLING」に参加しています。他にも今回は面白い顔ぶれが名前を連ねていますよね。「I HATE YOUR POPSTAR LIFE」にはdownyの青木裕(g)さんが参加していたり。
清春:普通じゃないですよね、彼は(笑)。MORRIEさんのソロ・ライヴでサポートをやられてるんで、そこで(清春自身がゲスト出演した際に)共演したこともあるんですけど、今回は「果たしてどうなるんだろう?」という発想での実験でもありました。実際、本当に天才的というか、捻じ曲がってるというか。ものすごく上手いというよりは、かなりの感覚派ですよね。ただ、彼にとってもこれまで経験してきたレコーディングとは勝手が違ってったはずだと思うんですよ。だからそれなりに戸惑いもあったみたいだけど、僕としては面白かったですね。
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