【インタビュー】Loe、EP三部作のド真ん中「Lという名の衝動」発表「3枚通して1枚のフルアルバムだとしたら、中盤のダウンする部分」

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驚愕必至のエネルギーに満ちたソングライター=山口篤のドラム&ヴォーカル・スタイル。大浦史記のクラシックの素養あふれる鮮烈なピアノ・サウンド。硬質なヘヴィネスから鋭利なエッジ感まで多彩なサウンドを操るヘヴィ・メタル系ギタリスト=安井剛志。その3つの音の接点から生まれる燃え盛る衝動とクリアな純度に満ちたロックの音世界。
2013年10月、12月、2014年2月、と立て続けにEP三部作を発表する3ピース・ピアノ・ロックの異才がLoeだ。10月23日発売の1st PIECE『放つ音』に続き、12月18日にリリースされる2nd PIECE『Lという名の衝動』は、まさにそんなLoeの音楽の核心を凝縮したような作品に仕上がっている。彼らの透徹した楽曲とサウンドはいかにして生まれているのか? 3回連続インタビューの2回目となる今回は、そのアンサンブルから確かに滲む“Loeっぽさ”の正体を、山口単独インタビューで探ってみることにした。

◆Loe 拡大画像

■「Lという名の衝動」には物語があるんですけど……
■ヒントを言うならば、僕と“L”っていうヤツの話

──前回の『放つ音』は、“Loeっていうバンドにはいろんな可能性がありますよ”ということを4曲のバリエーションで示していく、みたいな作品でしたけど、今回の『Lという名の衝動』はもっとソリッドなロックにフォーカスしたサウンドになってますよね。

山口:そうですね。この前は“これがLoeだ!”っていうものにしたくて、あの選曲にしたんですけど。この三部作が、3枚全部通して1枚のフルアルバムだとしたら、中盤のちょっとダウンする部分、っていう形にしたかったんですよ。逆に3枚目はすごく明るくしようと思っていて、実際にそうやって作ってます。

──そういう展開はどういう流れで生まれていったんですか。

山口:最初に決めてたのは、2曲目の「Brand New Way」ですね。この4曲の中ではこれが唯一明るいんですけど……。

──この中ではいちばん光が見える曲でもあるし、ドラムを叩きながら歌うのがいちばん想像しづらい曲でもあるんですが(笑)。この狂騒感をドラムで作り出しつつ歌う、っていうのは難しくないですか?

山口:意外とそんなことなくて。これはライブで結構やってたりもするんですけど、気持ちよくできてますね。いちばんしんどいのは最後の曲(「東の空が見る夢に僕等は何が出来るだろう」)なんですけど。ずっと歌いっ放し、叩きっ放しなんです(笑)。「Brand New Way」は制作の時からすごくスムーズだったんですよね。歌詞もスッと出てきたし。“解き放て”というフレーズが最初に出てきてて。前の「放つ音」もそうなんですけど、そういう歌が好きで。内から出るものを人に見せたい、っていうか……カッコいいものばっかりじゃないし、嫌なこともあるけど、毎日頑張ってるよ、っていう曲ですね。

──確かに、“解き放つ”というのは、Loeの音楽の大きな機能のひとつかもしれないですね。リアルなことを歌いつつ、聴いてる人が囚われている現実から解き放って、光のある場所へ連れて行く、みたいな。

山口:そうですね。常にそういう気持ちではあるかもしれないですね。現実はいろいろあるので、いいことばっかり書いても仕方ないと思うし。でもいいことだってあるし。この曲で気に入ってるのが、最後サビの“解き放て 未知なる可能性”っていうところで。しかもここ、ブレイクの部分なんですよね。ボーカルオンリーになるところで。ライブとかでもお客さんに届きやすいと思うんですよね。言葉通りの気持ちで受け取ってくれ!っていう感じで歌ってますね、いつも。

──タイトル曲の「Lという名の衝動」、このタイトルの“L”にはいろんな謎がかけてある気がするんですけど?

山口:歌詞に関しては想像させるものだと思ってるんですよ。受け取り方なんて自由にやってくれっていう感じなんで(笑)。この曲は物語があるんですけど……ヒントとして言うならば、僕と“L”っていうヤツの話なんですよ。

──“L”っていうのは、タイトルだけ見ればLoeの“L”にも思えるし、LOVEの“L”かもしれないし、LONELINESSの“L”かもしれないし……っていろんな聴き取り方ができますけど。その“L”が何なのか、あるいは誰なのか、っていうのは、聴き手に委ねてしまうっていうこと?

山口:そういうことです(笑)。曲を作った時に、Aメロ、Bメロの3拍子の構成と雰囲気、サビで開けていく感じっていうのがピッタリだなと思って、先にタイトルだけ付けてしまって。後から思ったことを全部書き起こした感じで……とはいっても、これはもともと僕の話ですからね。

──歌詞を書く時に、自分の中の何かを掘り下げていくことは多い?

山口:多いです。もちろん、全部が全部自分の経験からっていうわけではなくて、映画を観た後に“こういうストーリーもいいな”ってインスパイアされたような歌詞を書くこともありますけど。でも、普段使ってるような言葉とか、自分の言葉で書いてる時が、いちばんスムーズに書けてる気はしますね。たまに行き詰まって、言葉が全然出てこないっていう時に、誰か他の人の歌詞の言い回しを参考にして勉強しようと思っていろいろ聴いてみたりするんですけど……そうやって取り入れたものよりは、鼻歌から発展して、自分の中から出てきたもののほうが、リズムもいいし、内容のハマりもいいし、歌ってても気持ちいいし。

◆インタビュー(2)へ
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