【インタビュー】androp、『period』が導く終止符からの未来「ギターの音だと気づかなくても構わないけど、分かる人が分かってくれるとすごく嬉しい(笑)」

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■出産というのはこういう気持ちなんだろうなということも感じた
■終止符を打てるような作品になったことでメンバー全員がより自由に

──続いて、アルバムのサウンドとプレイについてですが、『period』は緻密に構成された楽曲をライブ感やバンド感のあるサウンドで聴かせていることが特徴になっています。

内澤:それは結果的にそうなったというか。今回のアルバム収録曲は、2013年後半のライブハウス・ツアーと並行してレコーディングしている曲が多いんです。今まではライブと並行してレコーディングすることはなかったんですよ、ライブとレコーディングではモードが全く違うから。それぞれにしっかり集中したいというのがあったんですね。でも、今回はライブをした次の日がレコーディングで、レコーディングした翌日がライブ……みたいなサイクルがずっと続いたんです(笑)。ライブでお客さんとワァーッ!と盛り上がったままの状態でレコーディングしたり、ライブでお客さんと一緒に歌を歌った光景が目に焼きついた状態で歌入れしたりすると全然違うんですよ。気持ちが音になるというか。だから、自分達の気持ちが今までにないくらいこもった曲達になったなと。

──初めての体験がいい方向に出ましたね。それに、『period』を聴くと、個性の強いプレイヤーが集まっていることを改めて感じます。

内澤:そうですね(笑)。

──メンバーのプレイに対する印象も話していただけますか。

内澤:うちのメンバーはみんなそうですけど、直感で演奏しているようで、実はすごく頭を使って理論立てていることが多いんです。特にリズム隊がそう。ものすごい変拍子も感覚でやらずに、まず譜面を書く。ギターの佐藤君は、結構直感的な部分が大きいと思いますけど、リズム隊の2人はきっちりと分析して、そのうえでアグレッシヴに演奏することが多いですね。

──そういうところもandropに合っていますね。伊藤さんのドラムは、ただ単にビートを刻むだけではなくて、楽曲の場面作りを担うことが多くありませんか?

内澤:はい。andropでは場面転換だったり楽曲の抑揚だったりをドラムが担っていて。そういう意味ではドラムが肝で、ドラムが頑張ってくれないと、みたいなところはありますね。前田君はandropをやっていくうちに、どんどんベーシストとしての幅が広くなってきています。元々テクニックがあるベーシストで、ジャコパスとか渋いベーシストもメッチャ好きなんですよ。速弾きもできるし、スラップもできる。ただ、わりと保守的というか、出会った頃は「ベースの音を歪ませるのは嫌だ」と言っていたんです。ところが、今ではファズを使っていますからね(笑)。andropで活動することで、どんどん新しい扉が開いていく感じがあって。攻めるベーシストという印象がありますね。

──ギタリストとしての佐藤さんは?

内澤:僕と違ってギターらしい音が好きだし、さっきも言ったように、わりと直感を活かすことが多いです。爆音に包まれるとスイッチが入って、もうずっと弾いてる、みたいな(笑)。そういう風に、王道的なロックのフィーリングを持っているけど、「Neko」とかを聴くと分かるように、ジャジーなフレーズも弾ける。彼は元々ピアノもやっていたから耳がいいし、理論的なことも分かっているんです。そのうえで感覚を活かすタイプです。

──4人のバランスは絶妙ですね。『period』に関して、ご自身を分析すると?

内澤:歌に関しては、うまく歌おうという意識はあまりなくて。どう伝えるかということを一番重視しました。結果的に、今まで以上にいろいろな表情を見せることができたんじゃないかなと思います。

──たしかに。ギターはエフェクターを使ったトリッキーなアプローチが多いわけですが、それをヴィンテージのストラトでやっているんですよね。

内澤:ははは。そうなんです(笑)。メインは1959年製ストラトで、ヴィンテージギターで、変な音を出すという(笑)。僕の中には、古い楽器を使ってエレクトロなものをやるという楽しみもあるんです。レコーディングではもっと古いギターも使ってて、1954年製のストラトにワーミーを通すみたいな(笑)。ドラムもヴィンテージのラディックを使って、打ち込みみたいな音を作ったり。そういうことがすごく楽しいんです。

──すごい(笑)。ぜひBARKSでレコーディング現場の取材をさせていただきたいものです。では、『period』という良質なアルバムを完成させて、今はどんなことを感じていますか?

内澤:バンドを結成した頃に描いていた夢が現実になって。それは本当に嬉しいことだし、出産というのはこういう気持ちなんだろうな、ということも感じた。これがandropです、という終止符を打てるような作品になったことで、メンバー全員がより自由になっている気がします。で、今後のandropがどこに行くのか、もう僕自身もサッパリ分からない……今は、本当に想像がつかないですね(笑)。いろんな意味で、このアルバムを作れてよかったと思います。

──今後のandropは、3月23日に開催される代々木第一体育館公演で見えてくるものがあるような気がします。

内澤:たしかにそうですね。代々木第一体育館のステージに立って、なにが見えるか、なにを感じるか。それが大きいかもしれないと自分でも思っています。そのためにも今は、代々木に向けて『period』というアルバムの曲を1曲1曲分解して、もう一度向き合うことをメンバー全員でしています。僕らの場合、それぞれの楽曲に託した想いを100%の力で伝えるということは、大きい場所でやろうが、小さい場所でやろうが変わらないことで。代々木でもそこに変わりはないけれど、物理的に大きな会場だから、客席との距離的な問題が出てくる。一番後ろで観ているお客さんにも満足して帰ってほしいから、そうするためにどうしたらいいかということをしっかり考えてます。大きな場所だからこそできる演出だったり、照明、音響といったことにも、ものすごくこだわりたいし、自分達の見せ方や表現の仕方も突き詰めたい。代々木のライブも「これがandropだ!」と言えるものにしたいと思っています。

取材・文◎村上孝之




■3rd full album『period』
2014.03.05 release
【初回限定盤(CD+DVD) 】WPZL-30785/6 ¥3,600(without tax)
【通常盤(CD) 】WPCL-11709 ¥3,000(without tax)
01.Singer
02.Voice(日本テレビ系水曜夜10時ドラマ「Woman」主題歌)
03.Lit
04.RDM
05.One
06.Light along
07.Six
08.Sensei
09.Melody Line
10.Neko
11.Time Machine
12.Under The Sun
13.Missing(映画「ルームメイト」主題歌 -2013年11月公開)
14.Stardust
<DVD>
・documentary
・studio live
01.One
02.Lit
03.Voice

■<CDデビュー5周年『period』発売記念カタログキャンペーン実施>
対象過去アルバム作品購入で、オリジナル・クリアファイルが先着特典となる。
(対象過去アルバム作品:『anew』『note』『door』『relight』『one and zero』)
*一部取り扱いのない店舗もございますので、詳しくは店頭にてお問い合わせ下さい。
*キャンペーン期間:3/4~特典終了まで

■<one-man live 2014 at 国立代々木競技場・第一体育館>
2014.03.23(日)  国立代々木競技場・第一体育館
開場:17:00 開演:18:00
Ticket:¥5,800

■<TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2014>
2014.5.25(日)  新木場・若洲公園

■<andropオフィシャル会員ページ>
3/5(水)にリニューアルオープン
前田恭介(b)と伊藤彬彦(d)のリズム隊によるセッション&演奏解説動画コーナーは、バンドマン必見のスペシャルコンテンツ


◆androp オフィシャルサイト
◆androp レーベルサイト
◆androp“One” スペシャルサイト

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