【インタビュー】LEGO BIG MORL、新作『RAINBOW』と復活、新たな始まりを語る

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タナカヒロキ(G)の事故から1年の活動休止を経て、4月11日には、<LEGO BIG MORL Spring Tour 2014 “Something New”〜雪辱編〜>と題したツアーで見事、雪辱を果たしたLEGO BIG MORL。そんな彼らに4月30日にリリースするニューシングル「RAINBOW」について、そして復活までの道のりを語ってもらった。

1年間ライブが出来なかったこともあって、逆に
すごい音楽に向き合えた時間が持てたなって思うんです


――2013年の2月にタナカくんが交通事故にあってそこから約1年、活動がストップしていた訳だけど。正直、手首が折れてたことを知ったとき、“終わった”と思ったでしょ……。

タナカヒロキ/G(以下 タナカ):思いましたね。ギタリストとしてももちろんなんですけど、事故をした瞬間は人生が終わったと思いましたからね。なので、まず、命があったことに感謝したんです。手首の骨折を知ったのは、それから少ししてからのことだったので、そのときに改めてギタリスト生命が終わったな……と感じましたね。でも、先生に怪我の様子を聞いて、“全然大丈夫”って言ってもらったこともあり、もうそこからは必死でリハビリに取り組もうと気持ちを切り換えたんです。

――そんな心中は、前作の「Wait?」(2014年1月22日発売 配信&ライブ会場限定シングル)で赤裸裸に吐き出しているよね。

タナカ:そうですね。まさに「Wait?」は、その時のリアルな言葉とリアルな感情があいまった楽曲で表現した1曲でしたね。

カナタタケヒロ/Vo&G)(以下 カナタ):この1年は、本当にいろんなことを考えさせられた1年でしたからね。単なるリスタートではないし、新たな幕開けという訳でもないし、自分たち的には、この1年という時間があっての今を、どう表現したらいいのか正直解らないんですけど、でも、僕たちにとってこの1年は、いろんなことを考えることができた時間になったことは確かですね。

アサカワヒロ/Dr(以下 アサカワ):見つめ返せたという言葉でいいのかどうかも解らないんですけど、ヒロキが事故にあってから表立った活動がストップしている中で、キンタ(カナタ)とシンタロウ(ヤマモト)が作ってくるサウンドに少し変化を感じるようになったんです。今までは、8ビートだったり16ビートだったり、ややこしいことが多かったんですけど、「RAINBOW」はどっしりとした4つ打ちで、ビートもフレーズもループしてて、昔とは違う新しいサウンドを感じたんです。Pro Toolsで貼付けて作っている分、個人個人の役割りがハッキリと見えて、スッキリとしているんですけど、サビではすごく音圧が上がるというか広がっているというか、昔以上に音が厚くなったんです。

――サウンドの変化は、少し自分たちを俯瞰して 見られる時間を持てたから?

ヤマモトシンタロウ/B(以下 ヤマモト):そうですね。事故をきっかけにそういう時間を改めて持てたというか。自分たちのサウンドを一度見直そうという話しが持ち上がって。1つ“トランス感”というワードが出て、曲作りに向っていったんです。自分的には、1年間ライブが出来なかったこともあって、逆にすごい音楽に向き合えた時間が持てたなって思うんです。インプットもアウトプットも出来た感じ。いろんな人のライブもめちゃめちゃ見に行ったし。ただ見に行くだけじゃなく、お客さんたちはどういう曲をどんな表情で見ているんだろう? っていうところをじっくり観察したりしましたしね。行くことによって、やっぱり自分も早くライブをしたいって思えていたし。とにかくすべてが刺激になっていたんです。その他にも、同じ事務所のAMIAYAのサポートでベースを弾かせてもらったりもしていたので、そこでも多くを学びましたしね。すごくフレキシブルに音楽に向き合えてたこともあって、そんな刺激のすべてが自分たちの曲作りに活かされていったんだと思います。なくてはならない1年になったなと。

――たしかにね。2006年に結成して以来、ずっと走り続けてきただろうから、そういう時間ってなかなかなかったんだろうし。

カナタ:そうなんですよ。1年ライブをしないなんて、初めての経験でしたからね。僕は曲を作るのが好きやから、この1年はゆっくりと曲作りをしてましたね。ホントにめっちゃいっぱい曲作りましたよ。

タナカ:自分は病院にいて、何も出来ない状態やったんで、不安になることも焦ることもあったんですけど、メンバーから曲が届いたときに、めちゃめちゃテンションが上がったんです。これまでは、鼻歌だけの状態のデモとかだったりしたこともあったんですけど、病院に送られてきたデモは、“え!? これスタジオで録音したん!?”っていうくらいちゃんと仕上がったモノだったんです。

カナタ:そうそう(笑)。すごく良質なデモだったんですよ(笑)。そこには、「Wait?」もあったし、今回のカップリングの曲たちもあったんかな? とにかく、1曲だけじゃなくて、結構な曲数を送って来てくれたんです。いっきに負のスパイラルが吹っ飛んだ瞬間でしたね。

この曲も事故があったからこそ描けた曲なのかなって思いますが、
「Wait?」に比べると、少し光りを感じる歌詞ではありますね


――すごい励みになっただろうね。

タナカ:なりましたね。そこにまた、新たなLEGO BIG MORLを見つけようとしてる“何か”を感じたこともあって、そこにもすごくテンションが上がって。“これに乗る歌詞を書かなくちゃ!”って、すごく前向きになれたんです。そんな中でピカ1やったんがシングルの表題曲「RAINBOW」だったんです。

――「RAINBOW」の原曲は誰が?

カナタ:僕です。この曲は、僕がディレイという機材を初めて使って作った曲でもあるんです。

――え!? そうなの!? でも、LEGO BIG MORLの曲の中にはディレイを使ったモノも多くあるよね?

カナタ:そう。バンドとしては、上モノでそういう空間系のエフェクターを使ってたりはしていたんです。でも、僕としては初めてのことだったんですよ。

タナカ:そうだね。曲全体にそういう空気感を漂わせたのが初というかね。

――なるほど! だからかな? ちょっと初々しい感じがしたのは。

カナタ:あ、そうそう! ホントにその感覚です! 初々しい感じ。本当にその言葉どおりやと思いますね。初期衝動が詰まった1曲になったんです。

――初めて触ったオモチャで遊んだみたいな感覚?

カナタ:そうそう! 子供心が詰まった1曲というかね。ギターフレーズだけで成り立ってしまった曲だったんですよ。だから、もぉそこさえあったら、他のパートは自由にやってくれたらいいや! みたいな。

――なるほどね。アサカワくんのシンバル使いもすごく良かった。

カナタ:うん。無駄にクラッシュは打ってないし、無駄にスネアも打ってないしね。

アサカワ:そう。デモの段階ではまったくスネアがなかったんです。

カナタ:まず、スネアを打たなくちゃダメっていう概念を捨てようと思って、「スネアはいらん!」って言ったんですよ。

アサカワ:16だけで全然大丈夫だったんですよ。

カナタ:でも、シンタロウに、“さすがにココだけはスネア入れようよ”って言われて(笑)。

ヤマモト:そう(笑)。成り立ってたんだけども、4拍目だけに入れた方がより良くなるんじゃないか? と思ったんですよね。どうしても欲しくなって(笑)。1つのアクセントとしてね。

アサカワ:結果すごくしまった感じになったんで、良かったかなと。

――そうだね。この曲は歌詞の乗り方もすごく特徴的だなって思ったの。英詩部分が日本語的な譜割りで乗ってるなと。

タナカ:なるほどなるほど。言われてみたらそうかも。そこの部分がファーストインプレッションだったんですよ。そこからこの歌詞を広げていった感じやったんです。この曲も事故があったからこそ描けた曲なのかなって思いますが、「Wait?」に比べると、少し光りを感じる歌詞ではありますね。

――楽曲的にもすごく透き通った印象を受けるよね。一方、「絶望は希望よりも美しい」は、闇を感じるヘヴィさがある。個人的に、この暗さはかなり好きだったな。

ヤマモト:これは僕の原曲なんですけど、事故後の曲作り期間で作った曲でしたね。LEGO BIG MORLっぽいループフレーズを考えてみようかなぁと思って作り始めた曲でもあったんです。そこで、このベースフレーズを考えて、キンタ(カナタ)とダイちゃん(アサカワ)に聴かせたんです。その時点でシンプルなリズムを乗っけてくれて、そこにキンタがギターフレーズを付けてくれて、一気に1サビまで出来上がった曲でした。“この感じいいねぇ”ってなって。そういう意味では、新たなLEGO色の皮切りになった1曲でもあったと言えると思いますね。

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