【イベントレポート】<ワールドハピネス2014>怒涛の盛り上がり、ゲストは台風11号

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8月10日(日)東京・夢の島陸上競技場で<ワールドハピネス2014>が開催された。

◆<ワールドハピネス2014>画像

▲PUFFY
▲ねごと
▲真心ブラザーズ
▲赤い公園
▲高橋幸宏 with In Phase
▲ヒトリエ
▲きゃりーぱみゅぱみゅ
▲ポカスカジャン
▲くるり
▲cero
▲細野晴臣
▲No Lie-Sense(鈴木慶一&KERA)
▲電気グルーヴ
▲奇妙礼太郎
▲高橋幸宏 & METAFIVE
<ワーハピ>は2008年の第1回開催以来、小雨こそぱらつく事はあったが、ほとんど雨が降る事がなかった希有な野外フェス。しかし、この日は台風11号が本土に接近。開演前は晴れ間すら見える天気模様であったが、ちょうど1組目のPUFFYがステージに登場した頃には雨が降り出した。ヒット曲を次々に歌っていくうち、雨は激しさを増し豪雨状態に。ステージにも雨や風が吹き込み、髪や衣装もずぶ濡れになる劣悪な環境の中、前に立ち向かう根性パフォーマンスを披露。間違いなくワーハピ史上に残る名演。

まさに波乱の幕開けとなった2014年の<ワーハピ>、次のねごとのステージではウソのように雨は止み、真心ブラザーズがPUFFYの豪雨パフォーマンスを羨むMCをした途端に再び降り出し、赤い公園では激しい雨と、きまぐれ過ぎる天候に悩まされながら進行していく。

中盤には<ワーハピ>のキュレーターでもある高橋幸宏がIn Phaseと共に登場。究極の晴れ男という異名を持つ高橋幸宏だけに。見事に雨を止め、パフォーマンスがスタート。今回、高橋は形態の異なる二つのバンドで出演してるが、まずはこのIn Phase。メンバーは2013年リリースしたアルバム『LIFE ANEW』のレコーディング・メンバーを中心に構成。つい先日もこのメンバーで<FUJI ROCK>に出演したばかりなので演奏の息はぴったり。壮大なスケールの中、ゆったりと進むサウンドは身体にじんわりと響いてくる。このグループが醸し出すグルーヴや雰囲気、佇まいはまさにロック。AORというと違った解釈をされるかもしれないが、本来の意味はAdult Oriented Rock。そう考えればin Phaseは幸宏流のAORだと言えよう。

続いてLEFT STAGEには4ピース・ロックバンドのヒトリエ。圧倒的な熱量をもつ楽器群に怒濤のボーカルが絡み20分のステージを披露。15時30分を過ぎた頃の曇天の中、CENTER STAGE中央には後光が差し込むようにきゃりーぱみゅぱみゅが降臨すると、集まった12000人は総立ち。総勢8人になるダンサーを従え、お馴染みのヒット曲を怒濤のごとく歌っていく。「2年前にはじめてここに出させてもらった時は、オトナの雰囲気がしてアウェーでした!」と当時の心境を告白すると、ワーハピ・オーディエンスが暖かい声援をおくる一幕も。

あっという間のきゃりーの40分のパフォーマンスが終わると、LEFT STAGEに現れたのはお笑い芸人のポカスカジャンの3人。彼らの出演は事前にアナウンスされておらず、このシークレット・ゲストに観客も大喜び。ガリガリ君のCMソングや音楽を絡めた持ちネタを次々に披露し場内は大爆笑の渦に包まれる。

続いてCENTER STAGEでは<ワーハピ>初登場のくるり。どこかノスタルジックで退廃的な香りもする「ハヴェルカ」でライブはスタート。「三日月」「Morning Paper」と続けじわりじわり、くるりサウンドの連射がボディブローが会場内に効き始め、4曲目の「WORLD'S END SUPERNOVA」で噴火するように一挙に爆発。広い会場が巨大なダンスフロアに変わる。続く5曲目には9月17日にリリースされる新アルバム『THE PIER』収録の「Liberty & Gravity」を演奏し「東京」でステージを締めた。LEFT STAGEでは、こちらも初参加のceroの3人。4人のサポートメンバーを加えた大所帯で、どこか懐かしいのに新しい東京発のシティ・ポップスを奏でる。

天候が不安定のおかげで既に周囲が暗くなり始めた17時40分過ぎ、御大・細野晴臣がステージに現れる。ワーハピの第1回から欠かさず参加してるが、ソロ名義での出演はこれが初めて。最近のツアーにも同行している高田漣(G)、伊賀航(B)、伊藤大地(Dr)、野村卓史(Key)に加え、はっぴいえんど時代からの盟友、鈴木茂(G)がゲストで参加する盤石のサポート・メンバーのもと、自身が愛してやまない往年のスタンダード曲のカバー、アルバム「HoSoNoVa(2011)」や「Heavenly Music(2013)」収録曲など10曲を歌う。何と言っても細野の低音を生かした"Heavenly Voice"が素晴らしく、渋さと華やかさが不思議に同居するステージであった。

続くLEFT STAGEにはワーハピ・レギュラー・メンバーの鈴木慶一とKERAが昨年結成した新ユニット、No Lie-Sense。折しも天候は再び暗転。この大粒の雨と強風が借景となって、アバンギャルドとポップが混沌とした彼らのサウンドに視覚的なロックな要素も加わり、なんともシアトリカルなパフォーマンスとなった。セットリストは昨秋リリースしたデビュー・アルバム『FIRST SUICIDE NOTE』から。ムーンライダーズのセルフカバーとなる「だるい人」が演奏されると会場内のライダーズ・ファンは大喜び。

そしてCENTER STAGEのトリ前は結成25周年を迎えた電気グルーヴ。ピエール瀧が「本日のスペシャル・ゲストは台風11号です!」と叫び、豪雨の中でライブはスタート。ステージ左右の巨大モニターには演奏とシンクロした映像が映し出され、ピエール瀧が煽ると12000人が揺れる。広大な夢の島・陸上競技場が一挙にダンス・フロアとなり興奮の坩堝と化す。そんな勢いが天に届いたのか雨もいつしか晴れ、雲間に大きな満月が見え隠れする程に回復。この日のステージで圧巻だったのは「Denki's Techtropolis」。2000年にリリースされた『YMO-REMIXES』に収められた電気グルーヴによる「テクノポリス」のリミックスで、モニターには赤い人民服などYMOを想起させる映像が次々に映し出される。2014年のワーハピは坂本龍一が欠席の為、YMOの3人が揃っての出場が叶わなかった初めての年。そんなファンのもやもやとしたフラストレーションを瞬時に解消させたのは、電気グルーヴのYMOに対する愛とリスペクトが満ち溢れたこのパフォーマンスであった。

いよいよLEFT STAGEもトリとなる。オオトリへと繋ぐ最重要コーナーだ。過去にはレキシ(2013)、GRAPVINE(2012)やTOWA TEI(2011)が出演し記憶に残る名演を見せた。そんな重責コーナーを担うのは奇妙礼太郎 トラベルスイング楽団。RCの「よォーこそ」を彷彿させるようなご機嫌なナンバー『どばどばどかん』で始まり、笠置シヅ子から松田聖子のカバーと縦横無尽な雑種ぶりを発揮。奇妙礼太郎の自在に飛び回るボーカルに12人の大編成バンドが放つ豪快なサウンドが被さり、さながら昭和時代のキャバレー音楽のような世界を繰り広げる。電気グルーヴの勢いをそのまま受け継いで会場を盛り上げ、オオトリに繋ぐ。

最後は本日2度目の出場となる高橋幸宏。In Phaseが生音を中心としたロックであるのに対し、METAFIVEは1980年代のサウンドを忠実に再現する原理主義テクノ。1曲目と2曲目に「KEY/テクノデリック(1981)収録」、「BALLET/BGM(1981)収録」とYMOナンバーを続けて演奏。30年以上前の音が、当時と同じサウンドで聴けたとあってファンにとっては感涙モノのオープニングだ。そして3曲目は、このユニットでのよもやの新曲。この曲は、9月6日より劇場公開される映画『攻殻機動隊ARISE border:4 Ghost Stands Alone』のエンディングテーマになるそう。サウンドは典型的なあの頃のテクノにも関わらず、2014年のエッセンスが違和感なく溶け込んでいる。続いてテイ・トウワの「Radio/ LUCKY(2013)収録」にスケッチ・ショウ時代の「Turn Turn/AUDIO SPONGE(2002)収録」等を演奏。最後は高橋幸宏が1981年にリリースした『NEUROMANTIC』収録の「Something In The Air」で本編を締める。

アンコールからはスペシャル・ゲストとして細野晴臣と土屋昌巳が参加。このふたりが高橋幸宏とステージで共演するのは<YUKIHIRO TAKHASHI TOUR '82 WHAT ME WORRY>ツアー以来、32年振り。幸宏が細野を紹介する際に「ひとり足りないけど…」と呟いた一言が多くのYMOファンの目を潤ませた。それぞれの頭の中で来年のワーハピに3人が揃う姿を思い描いてるに難くない。アンコール1曲目はYMOの「中国女(1978)」。お馴染みのボコーダー・ボイスが場内に響き渡るや、12000人のオーディエンスが怒濤のリアクション。かつて高中正義、渡辺香津美、大村憲司らが担ってきたパートを土屋昌巳が弾き、小山田圭吾のギターと絶妙に絡み合う。そして最後に演奏されたのは1981年のアルバム『BGM』に収録された「CUE」。この曲、スタジオ盤では坂本龍一は録音に参加しておらず、自身のパートがない為、ライブではドラムを担当していた。つまり「CUE」は教授が居ないYMOナンバー。これが意図された選曲かは不明だが、多くのファンはふたりからのメッセージとして受け取った。「来年は3人で一緒に演ろう!」と。

こうして全15組のアーティストが参加し8時間以上に及んだ長い1日は終了。7年目にして初の荒天に見舞われたが、結果としては記憶に残るイベントとなった。2015年も是非、開催して欲しいものだ。

PHOTO:Taem LIGHTSOME 三浦憲治

<WORLD HAPPINESS 2014>
出演アーティスト/演奏時間/☆:CENTER STAGE、表記なし:LEFT STAGE
1.PUFFY /40min.☆
Basket Case/サーキットの娘/愛のしるし/これが私の生きる道/DOKI DOKI/渚にまつわるエトセトラ/アジアの純真
2.ねごと /20min.
ループ /メルシールー /アンモナイト!/カロン
3.真心ブラザーズ /40min.☆
空にまいあがれ/Sometime 時々/ふっきれてる/マイ・リズム/どか~ん /I'M SO GREAT! /ENDLESS SUMMER NUDE
4.赤い公園 /20min.
今更/絶対的な関係/サイダー/風が知ってる/ふやける
5.高橋幸宏 with In Phase /40min.☆
(James Iha×高桑圭[Curly Giraffe]×堀江博久×ゴンドウトモヒコ×鈴木俊治)
Looking For Words /Last Summer /Follow You Down /Where Are You Heading To?
To Who Knows Where /Shadow /All That We Know /World In A Maze
6.ヒトリエ /20min.
センスレス・ワンダー/アンチテーゼ・ジャンクガール/るらるら/カラノワレモノ
7.きゃりーぱみゅぱみゅ /40min.☆
ピカピカふぁんたじん /きらきらキラー Extended Intro Ver- /みんなのうた
KPP シングルメドレー:CANDY CANDY~PON PON PON~つけまつける
にんじゃりばんばん /インベーダーインベーダー/ファッションモンスター -Extended Mix-
8.ポカスカジャン /15min.
ポカスカジャンのテーマ/ドラえもん絵描き歌/ガリガリ君のうた/森のメリーアン~星空の下のマジンガーZ
アリスの少女ハイジ/Let it be かくれんぼ/ポカスカジャンのテーマ
9.くるり /40min.☆
ハヴェルカ/三日月/Morning Paper/WORLD'S END SUPERNOVA/Liberty & Gravity/ブレーメン/東京
10.cero /20min.
マウンテン/CTC/Elephant Ghost/Yellow Magus
11.細野晴臣 /40min.☆
Angel On My Shoulder/Dear Prudence/Chinese Skater/バナナ追分/A Cheat
Ain't Nobody Here But Us Chickens/Body Snatchers/29 Ways/Tutti Frutti/House Of Blue Lights
12.No Lie-Sense(鈴木慶一&KERA)/20min.
けっけらけ/だるい人/DEAD OR ALIVE(FINE,FINE)/大通はメインストリート
13.電気グルーヴ /40min.☆
Hello! Mr.Monkey Magic Orchestra/Shame/Shameful/Zoo Desire/ガリガリ君
FlashBackDisco/Shangri-La/Denki's Techtropolis/あすなろサンシャイン
14.奇妙礼太郎 トラベルスイング楽団 /20min.
どばどばどかん/タンバリア/東京ブギウギ/赤いスィートピー/ビールの歌
15.高橋幸宏 & METAFIVE /50min.☆
(小山田圭吾 × 砂原良徳 × TOWA TEI × ゴンドウトモヒコ × LEO今井)/スペシャル・ゲスト:細野晴臣、土屋昌巳
OPENING~Key/Ballet/Split Spirit/Radio/Turn Turn/Still Walking To The Beat/Something In The Air
ENCORE.中国女/CUE

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