【対談】逹瑯(MUCC) × 松岡充(MICHAEL)、異種格闘技対談-Ring 番外編「「Believe」歌いますからね」

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■予期しない瞬発的なことにも対応していかないといけない
■それこそライヴの醍醐味でもあると思う──松岡充

逹瑯:松岡さんは何歳の頃からSOPHIAなんですか?

松岡:SOPHIAはね、さっき話してた、そのルナティックモードっていうバンドが終わったあとに、ロゼノアールってバンドで活躍してて。って、活躍って(笑)。自分で活躍しててって言うのはおかしいよね(笑)。

逹瑯:あははは(爆笑)。

松岡:言い直そ。活動してて(笑)。その後ですぐにSOPHIAを結成して、上京して1年でデビューしちゃったからね。だから、SOPHIAはインディーズ時代が1年くらいしかないんだよ。

逹瑯:そうなんですね。いやぁでも、俺、いまだにカラオケ行くと「Believe」歌いますからね。

松岡:え!? ホント!? 嬉しいな、それ。本当ありがとう。

逹瑯:いえいえいえ。あのミュージックビデオも衝撃的だったんですよね。透明なステージがライブハウスの天井に吊られてて、その下が客席で、その上を松岡さんが青色のモジャモジャのジャケット着て歌いながら歩くっていうのが!

松岡:あぁ、そうだったね(笑)、懐かしいよね!

逹瑯:あれって場所どこですか?

松岡:あれね、CLUB CITTA‘(CLUB CITTA’川崎)。

逹瑯:え!? あれCITTA’なんですか!? もっと広い場所に見える!

松岡:そう? あれCLUB CITTA’川崎なんだよね。SOPHIAが、上京して初めてステージに立ったのが、CLUB CITTA’川崎のイベントなの。

──思い出の場所でもあるんですね。

松岡:そうそう。そうなんだよね。

逹瑯:そうなんだぁ~。あ~なんかちょっと悔しいな。

──ん? 何が?

逹瑯:俺さ、これからカラオケで「Believe」歌うとき、一緒に行ったヤツに“知ってる? この「Believe」のミュージックビデオ撮ったのCLUB CITTA’川崎なんだぜ!”って自慢出来ると思ったけど、みんなこのインタビューで知ってしまう! 悔しい!

松岡:あははは。でも、きっと今じゃあのセットで撮影は出来ないと思うから、すごく貴重なモノになってるかもね。透明なアクリルで作ったステージを客席の上に作るなんて、危ないってなって、たぶん今だとやらせてもらえないと思うんだよね。そう思うと、最近はすごくそのへんも厳しいし、音楽業界も変わったよね!

逹瑯:ホントですよね! 消防法やらなんやらで、すごく厳しくなってて、おもしろいことが出来なくなっちゃってる気はしますね。これやっちゃダメ、あれやっちゃダメって。

松岡:うんうん。厳しいよね、最近。

逹瑯:ウチら、それこそ昔、LIGHT HOUSEで客席とステージの間がまったくないところ全面にフラッシュペーパー引いて、それを一気に燃やして、そこからライヴがスタートするっていう演出をやったことがあったんですよ。

松岡:え!? それ結構燃え上がるんじゃない?

逹瑯:そうなんですよ! 今だったら絶対に消防法で無理なんですけど、やったら予想以上に燃え上がって。ライヴ終ってから2階で見てた関係者に、「命の危険を感じた」って言われましたからね(笑)。で、写真が上がって見てみたら、メンバーも、とても今からライヴをする人の顔じゃないっていうくらい唖然とした表情してて(笑)。

松岡:あはははは。かなり燃えたんだね。

逹瑯:そうなんです。あれは、今の時代じゃなくてもアウトだったんじゃないかなと(笑)。

松岡:火事にならなくて良かったね。でも、そう思うと昔は無茶が出来てたよね。SOPHIAは、2013年で武道館10回目のステージだったんだけど、いままでやってたステージセットは今だと無理だからね。申請が通らないセットとか演出ばっかりなんだよ。それくらい厳しい。年々厳しくなって来てる。だからもう普通のセットしか組めなくなっちゃってるんだよね、時代的に。

逹瑯:ですよね。7年か8年前くらいにMUCCがAXでライヴやったときのあたりって、同世代のバンドが、何処の小屋で、何人入れたってさ、それ無茶だね!っていうのが流行ってたんですよ。MUCCが最高渋谷のAXってハコで、キャパ1,500くらいのところを、1,800くらい入れて、パッツンパッツンでライヴして、どうだ、すげぇだろ!ってことをやってたんですけど、今じゃそれ出来ないですからね。定員以上は絶対に入れられないですから。

松岡:なるほどね。MUCCは音楽そのものの戦略はもちろん、そういう見せ方的な戦略もすごくちゃんと考えてやってきたバンドなんだね。

逹瑯:そうですね、いろいろと変わったことやってきたバンドだと思いますね。みんながこれをやるなら、オレ達は逆にそれはやりたくないっていう。人とは違うこと違うことを選んでやってきたバンドですね。

松岡:なるほどね。人とは同じことをしたくないっていう感覚、すごくわかるよ。SOPHIAもずっとそうだったからね。ある意味そういうバンドって謎なんだよね。外から見ると、すっごい謎の多いバンドだと思うなぁ。そういうバンドって、ファンがすごく長いと思うんだけど、MUCCのファンも長いでしょ? SOPHIAのファンは本当にすごく長いからね。

逹瑯:そうですね。ずっと長く見続けてくれてるファンもすごく多いと思いますね。

松岡:そうだろうね。すごくわかるな、それ。

逹瑯:ウチらは、直系の先輩にcali≠gariっていう変わったことばっかやるバンドが居て、そのバンドの背中を見て育ってきたこともあったんで、当たり前のことを魅力に感じない体になってたんですよね。普通じゃ面白みを感じなくなってしまってたんですよね。だから、常に変わったことをしてやろうしてやろうって。

松岡:今もそういうスタンスで?

逹瑯:そうですね。誰も見てないようなところを一生懸命やる、みたいなとこはありますね。

松岡:なるほどね。まさに、今回の対バンツアーもおもしろいもんね。

逹瑯:そうですね、今回のこのライヴ企画は、半年の中で3回対バンツアーがあったんですよ。4月にやった最初の対バンは、まったくジャンルの違うバンドとの異種格闘技な対バンで、そこでどんな化学変化が起こるかみてみたいっていうモノで。6月は、同じジャンルの仲のいいバンドと、全然絡んだことのないバンドとの3マンで対バンして、楽しみながら対バンライヴをしていこうっていうモノで。今回の松岡さんたちを誘わせていただいた8月の対バンは、1バンド70分でのガチンコ勝負で、憧れたり、この人たちとやってみたいって思えるバンドとの対バンになっているんです。なので、今月の対バンはかなり痺れるって感じですね(笑)。

松岡:すごいね!っていうか、タフだよね。

逹瑯:そうですね、ワーカーホリックというか(笑)。でも、すごく楽しんでやれているんで、そこはすごく幸せだなって思いますね。いまだに、刺激を求めながらバンドが出来てるっていうか。

松岡:それすごく素敵なことだと思うよ。

逹瑯:演出面でも、SOPHIAからはすごく刺激をもらってるというか、いまだに心に残っている演出があるんですよ。

松岡:へぇ、なになに?

逹瑯:俺、初めてプロの人のライヴをお金払って観に行ったのって、水戸の大学の学園祭のSOPHIAのライヴなんですよ。

松岡:え!? そうなの!? いつ頃だろう?

逹瑯:「little cloud」(1997年2月19日リリースの4thシングル)がリリースされる直前のツアーでしたね。

松岡:おぉ~っ、すっげぇな! 本当に嬉しい。

逹瑯:俺、そんときの演出が忘れられなくて、自分たちのライヴでパクッてやったことがあったんですけど、上手くいかなかったっていう(苦笑)。

──どんな演出だったの?

逹瑯:松岡さんが両手を前に真っ直ぐ伸ばして、右から左にグイッと大きく振ると、その振りに合わせてライトがグイッと大きく動いて、その逆をやるとまたライトが大きく動くっていう。センターのボーカリストが照明を操ってる感じががすごくカッコ良くて衝撃で。

松岡:へぇ。すごい嬉しいなぁそれ。でも忘れた。

──あはははは(爆笑)。

逹瑯:……………俺、ライヴの演出で1番影響を受けた瞬間だったと思います、それ。

松岡:ごめんね……でも覚えてないや。そんなに逹瑯くんが絶賛してくれてる演出を忘れててごめん(笑)。

逹瑯:いえいえいえ、随分昔の話しですからね(笑)。でも、それはいまだにすごく印象深く残ってますね。あと、hideさんのステージのオープニング。

松岡:それはどういう演出だったの?

逹瑯:それは、まずオープニングで、ステージに十字架にはり付けになってるhideさんが現れて、みんながそのhideさんに向って「hide~!」って叫んでるんですよ。そんな中、客席で1人の老婆がずっと彷徨いながら歩いてて。その老婆がやがてステージに辿り着くんですけど、ステージの上に着いたところでマントを脱ぐんです。そうしたら、その老婆こそがhideさんだったっていう。それすごいなって。やっぱり、ライヴってそこでしか起きないミラクルを体感出来るっていう、それなんだなって。この2つで学んだ気がしますね。

松岡:素敵な考え方だね、逹瑯くん。本当にそこだと思うよ。その日、そのとき、その瞬間に、どれだけ真剣に向き合えるかってとこだもんね。それが大事だよね。もちろん、その他に、その場で予期しない瞬発的なことが生まれることにも対応していかないといけないし、それこそもライヴの醍醐味でもあると思うけどね。

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