【クロスビート特別コラム】パラモア×フォール・アウト・ボーイの全米ツアーを観た!

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クロスビートの(元)編集部員、中嶋がアメリカからお届けする、現地での公演やヒットに関する不定期コラム。第1回は、パラモアとフォール・アウト・ボーイのダブル・ヘッドライナー全米ツアー『MONUMENTOUR』のテキサス州ウッドランド公演についてお届けする。

◆フォール・アウト・ボーイ画像

オープニング・アクトのニュー・ポリティクスに続き、まず登場したのはパラモア。前面がLEDスクリーンになった大型のサブ・ステージの上にサポート3人が位置し、手前の下段でボーカルのヘイリー、ギターのテイラー、ベースのジェレミーが暴れまわるというステージ構成だ。長年のトレードマークだったオレンジ色の髪を最近になって緑がかった青に染め変えたボーカルのヘイリーは、真夏の半屋外の会場をビキニ・トップスにタイツとホットパンツという格好で煽りまくる。「Still Into You」で幕を開け、「That's What You Get」や「Ignorance」といった代表的な人気曲で会場はますますヒートアップ。そして前半のハイライトはやはり「Decode」だ。この日の観客は10代前半~20代前半が中心で、やはり映画『トワイライト』の主題歌という人気と知名度は今でも強力なのだろう、イントロが鳴った瞬間の女の子たちの悲鳴と大合唱は凄まじかった。元アンダーオースのアーロン・ギレスピーによるズシンと重たいドラムが、曲の重厚感を一層引き立てる。

この日ヘイリーが語っていたように、長年のレーベルメイトでありながらパラモアとFOBが一緒にツアーするのは今回が初めて。特にパラモアにとってはバンド結成10周年を記念する意味も強く、2013年11月にニューオーリンズで観た時よりもベスト・ヒット的な選曲を意識していたようだ。パフォーマンス自体は2013年の方が緊張感とクールさが感じられたものの(何しろその日、彼らの後にはナイン・インチ・ネイルズが控えていて、NIN待ちの観客の前でやることをパラモアは相当意識していた。ちなみに『パラモア』でドラマーを務めているのは現NINのアイラン・ルービン)、旧知の仲であるFOBとの共演というホーム感溢れる環境での、リラックスしたパフォーマンスもまた良かった。しかしながら、『ライオット!』収録の「Let The Flames Begin」と、その歌詞をベースに全く違う曲をつけた『パラモア』収録の「Part 2」を連続して演奏したシーンでは、凄絶な色気とヘヴィネスに思わず息を飲む。ZEDDのシングル「Stay The Night」(『Clarity』デラックス・エディションに収録)でも、一皮剥けた大人の女としての魅力を見せつけたヘイリーだが、改めてティーン・アイコン・キャラから脱皮した彼女の輝きに、ため息がこぼれる。

パラモアのラスト・ナンバーは最新作からのシングル「Ain't It Fun」。後半にはゴスペル・クワイアによるコーラスも入るこのファンク・ナンバーはこれまでのパラモアとは完全に毛色の違う曲だが、実はギタリストのテイラー・ヨークは最初、パラモアの曲にするつもりはなくこの曲を書いていた。しかしデモを聴いたヘイリーとジェレミーがこれを大変気に入り、パラモアの曲として仕上げたという経緯がある。その結果はバンド史上最大のヒット・シングル(全米シングル・チャート最高10位)となり、今なお連日TVの音楽チャンネルやラジオで繰り返しオンエアされている。実際、この日どの曲よりも大きな合唱となったのはこの曲であり、演奏が終わった時には思わず耳を手で覆うほどの大歓声が会場を包んだ。結成メンバー2人が脱退した時にはバンド存続も危ぶまれたが、結果的にソングライティングの中心となったテイラーの曲がこれまで以上にヴォーカリストとしてのヘイリーの魅力を引き出し、バンドをネクスト・レベルに導いたのは明らかだ。

セット・チェンジの間にステージは白い幕で覆われ、中の様子はわからなくなる。30分ほどして場内が再び暗転し、幕が切って落とされると共にステージ後方のせり出しからFOBのメンバー3人が現われ、アンディがドラムに座り「The Phoenix」でライブはスタートした。筆者は2013年9月に同会場で『セイヴ・ロックンロール』のツアーを観ているが、その時よりもセットはさらに大がかりになり、サビではステージの至るところから火柱がボンボン上がる。そして「The Take Over~」「A Little Less Sixteen Candles~」「This Ain't A Scene」と、いきなり定番曲の3連打に悶絶! ステージ上方では吊り下げられたモニターが曲により次々と配置を変え、各メンバーの表情や楽曲に合わせたイメージ、過去のMVなどをカオティックに流し続けている。

中盤には一度ステージが暗転したと思ったら、ドラマーのアンディとボーカルのパトリックがそれぞれドラムに座って登場。パトリックは元々はシンガーではなくドラマーとしてバンドに加入した経緯があり、ソロ・アルバムでも多くの曲のドラムを自身でプレイしている。ハードコア畑出身のアンディと、パワーは劣るがソウルやR&B趣味を持つパトリックの独特のタメがあるプレイの対比はなかなか興味深い。今までパトリックがドラムをプレイする姿を目にすることはそう多くなかったので、このドラム・セッションを目撃できたのはなかなかにラッキーだった。

それが終わると同時に、突如ギターのジョーとベースのピートが会場客席中程にあるPAブースに出没!そのまま「Dance, Dance」の演奏がスタートし、突然間近にメンバーがやってきた観客たちは大喜びだ。そして合唱必至の大アンセム「Young Volcano」になだれこむと、火山を思わせるように会場が真っ赤な照明で染め上げられる。後半にはパトリックがピアノを担当し、クイーン「We Are The Champion」のカヴァーを披露する一幕も。2013年のツアーでは演出として数々のロック・レジェンドの姿をスクリーンに映していたが、その中にはもちろんフレディ・マーキュリーの姿もあった。「We Are The Champion」の後に「Save Rock And Roll」を続けて演奏したのは、レジェンドたちに敬礼しつつ自分達がロックの明日を担うんだという心意気の現われだったような気がする。

本編最後は「My Songs What You Did In The Dark」。2015年にはメジャー・デビュー作『From Under The Coke Tree』がリリース10周年を迎えるわけだが、活動休止期間があったとはいえ、アルバムを出すごとに前作のアンセムを超える曲を生み出し続けているんだから、本当にこのバンドのソングライティング力には底がない。パラモアとフォール・アウト・ボーイ、両バンドとも一度は失速を経験したが、見事復活を果たした彼らはきっとこの先も更なる成長を遂げるだろうと、嬉しくなった夜だった。

◆クロスビート・チャンネル
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