【対談】横山健×MINORxU監督、「横山健だからできるんじゃなくて、やるから横山健なんだ」

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■生意気ですけど、“面白いおじさんだな”って(笑)
■お仕事みたいな撮影だったら無理だったでしょうね──MINORxU

──ドキュメンタリーといっても、ある種の目的というか到達点を決めた上で、その過程を撮ることも多いですよね。

MINORxU:最初に作ったモノに関しては、もしかしたらそういうところがあったかもしれないです。<DEAD AT BAY AREA>っていう目標があったんで。だけど、震災以降、そういうことは一切なくなりました。

横山:僕としては、そこは、監督とPIZZA OF DEATHのスタッフに任せてて、“どうするんだろう?”って思ってたぐらいでしたね。だから、出てるのは僕で横山健っていう名前でDVDにしてるけど、監督の作品だって凄く思いますよ。まあ、もちろん僕の作品でもあるんですけど。

MINORxU:実際、横山さんとかPIZZA OF DEATHのスタッフの方からは、細かい指示は一切なかったです。僕のやりたいようにやらせてもらえました。

横山:監督とは一緒にいる時間がとにかく濃密だったから、信頼関係っていうと平たく聞こえるかもしれないけど……ファミリーになってたんですよね。だから、撮影がなくて来なくなると「距離、感じてるんじゃねえよ!」って、ずっと嫌味を言ってて(笑)。

MINORxU:毎回のように言われるんですけど、毎回のようにその返しが上手くできなくて(笑)。

横山:で、その次に来たときは、特に撮影がなくてもなんとなく撮ってるんだけど、結果、作品には使われないことも多いっていう(笑)。

MINORxU:はははは(笑)。でも、「距離、感じてるんじゃねえよ!」って言われて嬉しかったですよ。僕のほうでも横山さんが伝えたいことを受けて使う素材のジャッジをさせてもらったし。こういうことを伝えたいっていうのは共有できたかなと思ってますね。

──編集という意味で、いろんなジャッジをする中でのプレッシャーはありましたか?

MINORxU:プレッシャーとは違うかもしれないですけど、横山さんが誤解されてほしくないという気持ちはずっとありましたね。自分のフィルターを通したもので誤解されるのはちょっと違うっていうか、僕が感じたそのものをちゃんと自分の切り口で伝えられるものを作りたいと。だから、プレッシャーというより緊張感ですかね。

──最初に健さんがおっしゃった、赤裸々に語った部分を監督がちゃんと補完してくれて、意図が伝わるようにしてくれたという言葉と繋がるところですよね。

MINORxU:最初のボヤキだって、人によっては面白がって撮ると思うんですよ。

横山:エキセントリックにね。

MINORxU:それだとゴシップ誌と変わらなくなってしまうし。そこの違いっていうのは、自分の中で意識してたかもしれないです。ちゃんとしたジャーナリズムでありたいじゃないですけど。

──しかしながら、ミュージシャンのドキュメンタリーとしては異質ですよね。音楽的なシーンが少ないというか、ここまで人にクローズアップすることはほとんどないでしょうし。

横山:そうなんですよ。改めて観て思ったけど、音楽の話をほとんどしてないから(笑)。大部分が自分の思考回路だったり、どうやって生きていけばいいかみたいな話ばっかりで。

MINORxU:こういったアプローチは、横山さんだからこそ、できた手法なのかなと。そういう意味では、被写体に恵まれてああいう形になったんだと思ってます。

横山:あと、ちょっと話は変わっちゃうけど、僕ね、監督と話をするのがホントに楽しいんですよ。カメラが回ってても回ってなくても。聞き上手なんですよね。例えば、それがどっかの飯屋でも車の中でも、話してるうちにこっちもノッてエキサイトする。お互いに熱をすぐ持てるっていうか、人の相性もよかったのかなと。ホントにいろんな話をしたよね。

MINORxU:しましたね。

横山:政治から音楽まで、家族もそうだし、あそこに立ってた女の子が可愛かったみたいなくだらないことまで、それぞれ話をする。出会う機会はこれまでなかったけど、大きくみたら近いところにいたもんで、パンクロックだったり、パンクを通して知った世の中の対する切り取りだったりも凄く近いんです。

──年齢はいくつ離れてるんですか?

MINORxU:僕が2014年で36歳なんで、9コですね。

横山:1コじゃない? オレ、2014年で37だよ!

MINORxU:あっ、間違えました(笑)。高校時代はあまり見かけなかったですけどね(笑)。

横山:はい、45です(笑)。もしかしたら、歳が離れてるから話しやすかったのかもね。僕自身、若い人と話すのは結構好きだし。

MINORxU:ちょっと前の話に戻っちゃいますけど、ざっくばらんに話せるというか、ああいうインタビューをできる関係性になりたいなっていうのは撮影を始めた当初から思ってて。普段から話してることに嘘はないんですけど、そういった関係性を築いていきたいとずっと考えてたんですよね。

横山:なるほどね。

MINORxU:そうするために大切だったのは、同じ時間を過ごすということもありますし、あとは、もともと僕自身が横山さんに凄く興味を持ていたっていうのがデカいと思うんです。生意気ですけど、“面白いおじさんだな”って(笑)。横山さんが受け入れてくれる人だからこそ、それがなかったら関係性は築けなかったし、お仕事みたいな撮影だったら無理だったでしょうね。

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