【インタビュー】AKANE LIV、ナチュラルな魅力を最大限に感じさせるクラシックの名曲をモチーフにしたアルバム『LIV』

■レコーディングのときには何度も高い声を出して
■それが久しぶりだったのでけっこう大変でした

▲『LIV』初回限定盤

▲『LIV』通常盤

――「HIKARI」はベートーヴェンの「悲愴」がモチーフですが、この曲はAKANE LIVの魅力満載。リズムがテクノっぽかったり、超高音のヴォーカルとか、すごく色々なところが楽しめる曲ですよね。

AKANE LIV：やっぱりプロデュースのKAZSINさんが私のことをホントによくわかってくださっているし、前向きな応援ソングがどうしても作りたかったんですけど、zoppさんもそれがとっても合う歌詞を書いてくれました。作曲家のみなさんには、自分が使いたいクラシック曲を全部出して、そこから選んでもらったんですけど、その中からこれを選んで、しかも中間のオリジナルメロディを挟むっていうのは驚きました。もうブラボー！でした（笑）。レコーディングのときには何度も高い声を出して、それが久しぶりだったのでけっこう大変でしたね。

――これは「FIAフォーミュラE選手権」のTV中継のテーマ曲になってるんですよね。

AKANE LIV：そうなんです。すごく前向きでみんなが乗っていける楽曲ですよね。前向きっていっても戦闘態勢だけじゃなくて、柔らかさと広がりがあって、勝利の女神が歌ってるような雰囲気があるといいなと思っていて。私ってどうしても、ドラクロワみたいな戦うイメージがあるだろうけど（笑）、自分が戦うというより、戦ってる人を見守る楽曲が欲しかったんですね。そういう意味ですごくいいなと。

――曲の並びも絶妙ですよね。ここで明るくなったのに、次の「BUTTERFLY」で…。

AKANE LIV：「そうはいかないわよ」って（笑）。この曲は「ドラマチックな曲をください」ってお願いしてできた曲です。これ、けっこう難しかったんですよ。イントロで歌う声とサビで持っていく声が全然違うので、ノドのどこを使えばいいのかわからないくらい。最初はかなり低いんですけど、あのくらい低くしないとサビが気持ちいいところに来なくて。

――キーの設定っていつも苦労するんですか？

AKANE LIV：そうですね。高い声が私の持ち味だというイメージがある作曲家の方は、ずっと高いところしか歌わない曲をくださることもあるし。でも作曲家さんによって私の声の好きなところが違うっていうのは面白かったですね。「高いところをもっと聴かせてっ」ていう人もいるし、私の低音が好きっていう人もいて。その中ではこの曲は上から下までホントに広く歌う曲ですね。歌詞も女性らしくて新鮮でした。

――LIV MOONの世界観に一番近いイメージの曲じゃないですか？

AKANE LIV：私もそう思います。これは“羽を傷つけて…”っていうところも、最初はけっこうきれいな声だったんですけど、それじゃかえってリアリティがないかもしれないと思って、エンジニアさんとも色々とチャレンジして。恋愛って、きれいなだけじゃない部分もあるので、この歌詞だったら、きれいだけじゃ終わらないという、こういう声が面白いかなと。

――「Close Your Eyes」は地声の迫力がすごい曲ですね。どうしてこの曲を取り上げたんですか？

AKANE LIV：2013年「ロックオペラ モーツァルト」っていうミュージカルに出て、それがきっかけでモーツァルトをたくさん聴いてたんですが、その中ですごくインパクトがあったのがここで使った「レクイエム」でした。ミュージカルに出演させていただくときには、演じたキャラクターとか、そこで聴いた楽曲にインスパイアされることも多いし、開演前とか幕間にかかってる曲とかも、舞台の照明の動きとかも含めて、舞台に出たら必ず何かを得て帰ろうと意識しています。舞台とライヴを並行してやっているからこそ、そこから曲が生まれることもあるんですね。舞台と並行といえば、「Raindrop」は「CHESS」というミュージカルに出ていたときに録った曲。東京公演と大阪公演の間の2日間の休みにレコーディングしたんですけど、そのときJeffさんには「声が疲労していい具合に枯れて哀しみがすごく出てる」と言われました。ミュージカルでは夫がほかの女の人に走っちゃうという悲しい役柄だったんですけど、舞台で演じるキャラクターと曲がとても合っていたんですね。

――「Libertango」は衝撃でした。リズムはタンゴじゃなくなってるし、中音域から低音の声もすごい。

AKANE LIV：私も大好きな曲だったのでいつかカヴァーしたいと思っていたんですけど、まさかこういうアレンジになるとは（笑）。でもその中に懐かしい感じもあるんですよね。東欧の昔の音楽を聴いているような。力強くてずっと低音で歌うんですけど、そこにこの切ない歌詞がくるところも気に入っています。

――ここまでこれだけ攻めておいて、最後に一転して「Nostalgia」が来るんですね。

AKANE LIV：曲を聴いて最初にブースに入ったとき、突然自分がチベットの自然の中で歌っているイメージが浮かんだんですよね。山々から下に谷を見下ろしていて、一人の祈りからどんどん歌になっていくようなイメージで。最初は言葉も少ないけどどんどん増えて、想いをもっと高く届けたい、神に届けたいと思ったときに、高い声になるんです。

――ここのヴォカリーゼも、“アーアー”だけじゃないのも面白いところですね。

AKANE LIV：“アー”だけだとそれじゃ普通すぎて面白くないねって話になって。言葉にも祈りにも聴こえるようなものにしたいと。きれいすぎると耳に残らないので、その場で言葉に聴こえるような造語を作ったりしました。そんな作業もこういう曲じゃないとできないことだから、すごく楽しかったですね。私は「シルク・ドゥ・ソレイユ」も大好きなんですけど、彼らは独自の言葉を使っていたりするから、イマジネーションが広がるんですね。歌詞が大事な曲ももちろんあるけど、造語だけだからこそなにかを訴えられる音楽ってあるんだなと思います。

――アルバムは一応これで幕を閉じるんですが、ボーナストラックもあるんですよね。

AKANE LIV：KAZSINさん、私のヴォカリーゼを気に入ってくださっていて、これにもヴォカリーゼをぜひ使おうということに。私、ヴォカリーゼ好きなんですよね。言葉を使う以上に感情を伝えられる気がします。

――クラシックの名曲を歌うというアルバムですが、原曲のいいところをとってはいるけど、カヴァーというよりほとんどオリジナルみたいな感じですよね。

AKANE LIV：そうですね。クラシックのいい曲のエッセンスだけをいただいて、あとはこちらでまた違うものを作るという感じだったので。原曲がわかりずらいものもありますけど、そのほうが面白いんじゃないかと思いますね。

――1年かけてクラシックの名曲を歌ったアルバムを完成させた、今の気持ちは？

AKANE LIV：ようやくみんなに聴いてもらえるなって。素の自分も含めて色々な自分をお見せできると思うので、ぜひジャンル問わず色々な人に聴いてほしいと思います。2015年にはライヴもやる予定ですので、そちらもぜひ見てください。




『LIV』

2014.10.22リリース
（初回限定盤）CD＋DVD / VIZL-724 / \3,800+税
（通常盤）CD / VICL-64234 / \3,000+税
CD
01.Sunrise Over Sea
02.NIGHT PARADE
03.Raindrop
04.HIKARI
05.BUTTERFLY
06.～月の歌う夜～
07.Close Your Eyes
08.Interlude
09.Summer Shadow
10.Libertango
11.Nostalgia
12.E-MOTION
DVD
「Sunrise Over Sea」ミュージックビデオ
「Sunrise Over Sea」メイキング

＜『LIV』発売記念　フリーライブ＞
■大阪会場
日時：2014年10月25日（土）12:30集合/13:00スタート
場所：タワーレコード梅田NU茶屋町店
対象店舗：タワーレコード梅田NU茶屋町店/梅田大阪マルビル店/難波店/神戸店/京都店
お問い合わせ先：タワーレコード梅田NU茶屋町店06-6373-2951
■名古屋会場
日時：2014年10月25日（土）18:30スタート
場所：名古屋パルコ西館1Fイベントスペース
対象店舗：タワーレコード名古屋パルコ店/タワーレコード名古屋近鉄パッセ店
お問い合わせ先：タワーレコード名古屋パルコ店052-264-8545
■東京会場
日時：2014年11月2日（日）14:30集合/15:00スタート
場所：タワーレコード新宿店　7F イベントスペース
対象店舗：タワーレコード新宿店/渋谷店/池袋店/秋葉原店
お問い合わせ先：タワーレコード新宿店03-5360-7811

◆AKANE LIVオフィシャルブログ

◆インタビュー（１）へ