<MASH FIGHT! Vol.3>、グランプリは該当なし「2015年のMASH A&Rは、今まで以上にグランプリを意識することになる」

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MASH A&Rが11月24日に渋谷WWWにて<MASH FIGHT! Vol.3>を開催。3回目となった2014年度のファイナルオーディションだが、グランプリは「該当者なし」という結果になった。

◆<MASH FIGHT! Vol.3>選考結果について全文/画像

2012年の開催スタートから今年で3回目の開催となる<MASH FIGHT!>は、初年度のオーディションからは、THE ORAL CIGARETTESとフレデリック、2013年のオーディションからはLAMP IN TERRENを輩出。それぞれMASH A&R所属アーティストとして活躍を始めている。MASH A&Rが1年を通じて行ってきたオーディションには、2014年は過去最大の応募数となる総勢1000組超のアマチュアミュージシャンやバンドがエントリーした。そしてファイナルオーディションには、1月から6月にかけて開催されたマンスリーオーディションと8月に行われたセミファイナルイベントを勝ち抜いたshimmer、東京パピーズと、7月から10月までの後期マンスリーオーディションを勝ち抜いた、屋根の上のルーニー、アンテナ、Gifted Fool、クロナガスの計6組が登場。また、ゲストとして、LAMP IN TERRENが出演した。

そんな<MASH FIGHT! Vol.3>のレポートと、グランプリ「該当なし」という結論に至った経緯と真意がMASH A&Rから到着したので、お届けする。

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11月24日、MASH A&Rが1年間を通じて行ってきたオーディションプロジェクトのラストを締め括るファイナルイベント<MASH FIGHT! Vol.3>が開催された。3年目の開催となる今年、MCには8月のセミファイナル・東京公演に続き、藤田琢己が登場。プロジェクトの趣旨やオーディションバンドの紹介などを経て、オーディションは幕を開けた。 11月24日、MASH A&Rが1年間を通じて行ってきたオーディションプロジェクトのラストを締め括るファイナルイベント<MASH FIGHT! Vol.3>が開催された。3年目の開催となる今年、MCには8月のセミファイナル・東京公演に続き、藤田琢己が登場。プロジェクトの趣旨やオーディションバンドの紹介などを経て、オーディションは幕を開けた。

まずこの日のライヴオーディションの口火を切ったのは、都内を中心に活動をしているギターロックバンドGifted Fool。ステージ中央で威勢よく円陣を組んで演奏を始めると、ダンサブルなパーカッションとマニピュレーターのサポートを加えた6人編成の分厚い音で徐々にフロアを温めていく。メロディアスなヴォーカルとは裏腹に、ラテンも取り入れた陽性のリズム隊との対称性が面白く、独特の世界観を持ったバンドだった。

続いて登場したのは、セミファイナルの東京公演を勝ち上がった東京パピーズ。所々に拙さは残るが、ヒリヒリとしたギターと腹の底から噛みつき吠えるようなVo&G.木村太郎のヴォーカルが強く突き刺さる。セミファイナルでのライヴから3ヵ月、バンドのグルーヴも、ヴォーカルのカリスマ性も、より固く、強烈なものへと変化していた。毒づくような素振りとは裏腹に、真摯な想いとアツさが伝わるパフォーマンスで、今後さらなる成長を期待できるライヴだった。

3番目のバンドは、ミナミホイールやCOMIN’ KOBEにも出演歴があり、関西を中心に活躍中のクロナガス。安定感のあるリズム隊とみずみずしいギターのフレーズに衝動的で熱量のあるヴォーカルが映える演奏で、ロックバンドとしての完成度がとても高い。ステージ前方に出てきての煽り方やMCで見せた負けん気の強さにも頼もしさとバンドとしての基礎能力の高さが感じられた。

オーディションの後半戦、4番目に登場したのは、2月度と9月度の2回マンスリーに選出された屋根の上のルーニー。キレのあるギターと女性のリズム隊らしからぬ力強く躍動感のあるグルーヴの絡み合い、情報量の多いヴォーカルと解放感のあるコール&レスポンスが快感原則に忠実で、今のシーンの隆盛を確実につかんでいるバンドだった。華やかな女声コーラスと勢いのある男声コーラスが一体になった時のスケール感、会場を瞬間的に掴むことのできるキャッチーさ、その魅力を最大限に活かしたパフォーマンスを披露してくれた。

続くバンドは、仙台からの参戦となるアンテナ。切なさと優しさが同居する、少しくぐもったヴォーカルが特徴的だ。「何か変わったことをしてるわけじゃないけど、今のロックシーンに言葉で切り込んでいきたい」というVo&G.渡辺 諒の言葉通り、丁寧に、実直に歌を届けようとするバンドで、綺麗にハーモニーを響かせるコーラスや、歌に寄り添うようなバンドのアレンジにも、トレンドやシーンの流行に惑わされず自分達のスタイルを貫こうとする真摯で強固な意志が感じられた。会場のお客さんやストリーミング中継でのSNS上の反応もとても高く、好感の持てるバンドだった。

この日最後に登場したオーディションバンドは、セミファイナル大阪公演から勝ち抜いたshimmer。幽玄なギターのディレイや伸びやかなヴォーカルと抜けのいいメロディ、地鳴りのようなドラムのタム回しなど、非常に大きなスケールの音を鳴らしていた。抑制の効いた平メロからサビへの昂揚やドライヴ感もとても気持ちがよく、激しくエモーショナルなサウンドで会場を熱狂させた夏のセミファイナルとはまた違った繊細さとタイトなキレのよさを印象づけてくれた。

ここでオーディション6組の演奏が終了し、会場とWEB上では投票・審査へ。歌とあたたかいメッセージを丁寧に届けてくれたバンド、メリハリの効いたサウンドや弾力のあるビートでフロアを湧かせてくれたバンド、思い思いのアクトに貴重な一票が投じられ、その間にステージではゲストアクトのLAMP IN TERRENのライヴが始まった。

 オープニングのVTRで1月14日にリリースされるメジャーデビューアルバム『sliver lining』の収録曲が発表されると、会場からはざわめきと歓声が上がり、1曲目で同作にも収録される“L-R”が鳴らされるとフロアでは何人もの拳が突き上げられた。荒々しい衝動とバンドのダイナミズム、松本 大(Vo&G)のソウルフルなヴォーカルが、オーディションバンドとしてこの舞台に立っていた1年前の姿からの成長を感じさせる。そっと寄り添って一緒に歩いてくれるようであり、背中を押しながら加速して走ってくれるようでもあり、ほとんどMCも挟まずに4曲目の“portrait”まで一気に駆け抜けていった。

“portrait”を終えてこの日唯一のMCで松本は改めてメジャーデビューアルバムの発表とタイトルの『silver lining』の意味を説明。未だリリースしていない自分達の自信作と挑戦の集大成として「希望の光」という想いを込めたことを伝えると、そのまま「僕らが去年このオーディションに応募して、僕らが去年このステージで歌った曲を最後にやります」と最後に“緑閃光”を披露。緩急のついたリズム隊と感情を露わにした松本のヴォーカルが観客の胸を突き、ある種の神々しさすら感じさせるライヴだった。

ゲストアクトの終了後、いよいよ結果発表へ。MCの藤田琢己が再びステージに登ってMASH A&R審査員4名を呼び込み、グランプリアーティストの発表を促すと、審査員の鹿野 淳から発表されたのは、まさかの「該当者なし」という結果だった。オーディションでグランプリを演出することが目的ではなく、あくまでも将来的な契約やメジャーレーベルへの進出を目指す上での判断だと趣旨が説明され、悔しさと無念さを滲ませながらの閉幕となった。

さらに新たな出会いを求めて、MASH A&Rでは2015年1月1日から4年目のオーディションが開催されることがアナウンス。この悔しい結果をバネに、ここから大きなプロジェクトへと広がっていくことを期待したくなる「MASH FIGHT Vol.3」だった。

Photo by 釘野孝宏

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MASH A&Rでは、さらなる新しい出会いを求め、2015年1月1日から4年目のオーディションが始まる。我こそは、というバンド、アーティストは奮ってエントリーしよう。

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