【インタビュー】the peggies、1stアルバム完成「知る人ぞ知るバンドにはなりたくない」

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■私の“行ってきます”だし”ただいま”だから
■私にしか書けない東京の歌詞を書こう!って

──では、1stアルバム『goodmorning in TOKYO』からのお話を。1曲目から「アイラブユー」という真っ直ぐで等身大のラブソングで、しかもバラードを持ってくるthe peggiesになんだか驚いてしまって。

北澤:「アイラブユー」は絶対1曲目って決めてました。中学3年の時に生まれて初めて作った曲だから。相当想い入れもあるし、音源化するのはこれで最後って勢いで、このアルバムの一番最初に収めようと。私の始まりの曲だから、初めて聴いてくれるリスナーさんにも“the peggiesの一番最初の曲”っていう風に入ってもらえたら嬉しいなって。

──この歌詞はすごくリアルなのにリスナーが限定されるわけでもない不思議な魅力がありますね。

北澤:私が書く詩って自分のことではないんです。「アイラブユー」は、お友達の恋の話を聞いて、自分なりに“こういうことなのかな”って噛み砕いて作った。第三者の私が、いかに自分自身のことのように歌詞にできるかって。自分自身のことをリアルに歌えるのは当たり前だけど、そうじゃなくていろんな人の話を聞いて、それをひとつの歌詞にしたいなとは思ってました。だから聴く人が限定されないって感じてもらえるのかもしれない。

──中学3年生のときの曲なのに、深く考えられてますね(笑)。

北澤:だけど、やきもきしてる時にギターを弾きながら“アイラブユーアイラブユーアイラブユー”ってジャカジャカしてたら「あっ曲できた!」って(笑)。「曲を作ることができた! ちゃんと一曲仕上げよう」と思って考えるようになりました。メンバーに「どうかなあ」って聴いてもらったら「すごくいいね!」って言ってくれて、3人で合わせたのがthe peggiesの始まりですね。

──2曲目の「MOTTO」は、the peggiesの魅力が凝縮された一曲なんじゃないかなと感じます。万輝子さんのうねるベースに弥久さんのドラムの爽快なキック、佑扶さんの歌声の伸びやかさ、語りかける可愛さなど全て出し切っていて。さらにコーラスで“あ、これこれ”って納得させられてしまうというか。歌詞もまさに今前に進んでいくthe peggiesらしい。

北澤:でも自分的にはそんなに考えて作った曲ってわけでもないし、作り上げたときも目立って“いい!”と思ったわけでもなかったんです。歌詞も普通にパッと思いついたし、一切悩まずに作った曲。だけどライブで披露したらお客さんに「すごくいいよ、これ!」って好評で、「歌詞を教えてほしい」という声もあって。私たちも最初は自覚がなかったんですけど、やっていくうちに、たしかにいいなあって思いはじめて(笑)。自分が作る曲の中でもなかなかこういうのはないなって後から気付いてきた。

──意図を詰め込まずに作り上げた曲だからこそ、the peggiesが素のまま表せたのかも。

北澤:自分の自信にも繋がった曲でもあって。で、自信を持って演奏するときちんと伝わるから。そうやってどんどん育っていった曲ですね。

──「ATOM」は展開がすごく面白いですね。メロディーを聴いているだけで、歌詞に沿った情景がすごく浮かぶ。そもそも、the peggiesの楽曲は作詞作曲共に佑扶さんが担当していますが、アレンジの方法は?

北澤:アコースティックギターを弾きながら作曲するんですけど、その時点でふたりのパートもだいたい考えてます。で、スタジオとかで「ここはこういう感じで弾いてほしい」って。構成はまるまる私が考えてます。

──なるほど。佑扶さんの作る詩はリアルだったり物語のようだったりする中で、どこか文学的なところがありますが、もともと言葉を紡ぐことは得意でしたか?

北澤:そうですね、文章を書くのがすごい好きで。考えていることとか思っていることって、下手したら一時間後には変わっちゃっていることもあるじゃないですか。絶対それって一生ついてくるものじゃないから、その度その度に残しておきたいなって。自分自身何度も読み返しながら、一番分かりやすくて印象に残る文章にしようという気持ちがあるんです。なので歌詞を書くときも、一番みんなにとって馴染みやすい言葉でありながらも、組み合わせで新しくしていけたらなって思ってます。

──どういう時に歌詞を書いていますか?

北澤:常に頭の中にハテナがある人間なんです。たとえば10円玉をひっくり返して、もう一回ひっくり返したら元に戻るけど、でもそれって一回裏を通過してるから、一番最初の表の面とは意味が違うんだよな……とか考えながら電車に乗ってたり(笑)。そういう風にハテナを考えて浮かんだフレーズだったり、ニュースとかネットのつぶやきを見たときに思ったことをiphoneのメモにバーって起こすんですよ。私は“さあ曲つくるぞ!”というモードにならないとできない人なんで、書き溜めておいたフレーズメモの中からコンセプトを広げて書いていくスタイルです。

──では収録曲の話に戻りますが、6曲目の「メロディメーカー」は王道ロックナンバーですね。

北澤:「メロディメーカー」と「ボーイミーツガール」がこのアルバムを発表するにあたって制作した新曲です。とにかくシンプルに、“THE ガールズバンド!”みたいな曲をやりたくて。だから完全に3人だけの音で、歌詞も直球。今までにはない感じだったから、完成するまで結構時間がかかりました。王道の中にもthe peggiesらしさは残したくて、今回のアルバム制作でキーボードや編曲で参加してくれた鈴木秋則さん(ex. センチメンタルバス)に色々と相談したりして作りました。

──“どうしようもないくらいに 君の存在は僕のメロディになっていく”という歌詞は、そういう気持ちって少なからず創作をする人間みんなが持っているんじゃないかなと思うんですね。the peggiesの活動にとって大きな原動力になっているものはなんですか?

北澤:とにかく“周りにも自分にも負けたくないな”って思いが強くて。私の原動力は、リスナーの方たちにとって唯一の存在になりたいという気持ちだと思います。誰かと比べた時の良い存在は、選ばれなくなる時が絶対くる。そうではなくて、the peggiesはthe peggiesだからとっても好きなんだ!っていう人がどんどん増えてほしい。そうなるためにはたくさんの人に聴いてもらいたい。とにかく今は、the peggiesが私だし、私がthe peggiesだって思ってるから、いち早くみんなに気づいてほしいし、知ってほしいなって気持ちが原動力なんです。

──アルバムの最後を飾るのは表題曲でもある「goodmorning in TOKYO」。この歌詞やアルバムジャケットにも出てくる“歌舞伎町一番街”はなにか思い入れのある土地なんですか?

北澤:私、新宿からちょっとはずれたところに住んでいて、出かけるときに「歌舞伎町一番街」の看板の前を必ず通って駅に向かうから。それに、どこかから帰ってくるときも絶対に通る。私の“行ってきます”だし”ただいま”だから、この看板を見るとすごく安心するところがあるんです。そんな人なかなか居ないじゃないですか(笑)。本当に都会で生まれて都会で育ったので、それも武器にしていけたらなと。そんななかで「東京」ソングについても思うことがあって。「東京」ソングってたくさんあるけど基本的に上京してきた人の共感を誘うものが多い。これは私の武器を使えるんじゃないかなって思いついたんです。ちょっと前に六本木の展望台に行って見渡した東京は、何かが1発あったらすぐに壊れちゃいそうなくらいに凝縮されてて。偉そうな顔してるけど、すごく繊細な街なんだって感じたことを思い出しつつ、私にしか書けない東京の歌詞を書こう!って作りました。そうやってできた曲だから、「goodmorning in TOKYO」は本当にお気に入りです。

──では最後に、12月4日に渋谷WWWで行われるレコ初企画<宣戦フ告 vol.1>への想いをお願いします。

北澤:自分たちの企画や大きい会場でのライブって毎回緊張するんです。“ちゃんとできるかなあ”とかじゃなくて“本当にみんな来てくれるのかな”という意味で。ステージに出てみてお客さんが4人しか居なかったらどうしよう!とか、チケット売れてはいるけどみんな来なかったらどうしよう!とか本気で思っちゃうから。だから本当に、たくさんの人に来てほしい。高校時代から今までたくさんライブはやってきたけど、『goodmorning in TOKYO』のリリースでこうやって改めてスタートをきらせてもらったので。スタートして初めての自主企画イベントだし、せっかく場所も大きいところを選ばせてもらったから気合いもすごい入ってて。私たちが頑張るのは当然だけど、とにかく頑張っていいものを見せるから、本当にいろんな人に見に来てもらえたらいいなって思います。

取材・文◎北爪遥香 撮影◎浜井場寛也


1st Album 『goodmorning in TOKYO』

2014/11/19 Release
DDCZ-9039 \1,800 (tax in)
※全国のタワーレコード限定発売
1. アイラブユー
2. MOTTO
3. ボーイミーツガール
4. ATOM
5. 金曜日の夜
6. メロディメーカー
7. 人形のやつ
8. goodmorning in TOKYO

<the peggies presents 『宣戦フ告 vol.1』>

12月4日(木)渋谷WWW
Open 18:30 / Start 19:00
出演者:the peggies / ヒカシュー / アカシック
\2,300 / \2,800(税込 / ドリンク代別 / オールスタンディング)
ローソンチケット[L:76069] / e+
[問]thepeggies1995@gmail.com

◆the peggies オフィシャルサイト

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