【インタビュー】Angelo、アルバム『PSYCHE』完成「残酷に響くかもしれない」

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■最大の矛盾をひとりの人間が抱えながら生きていくから
■面白いし、ドラマになるんですよ

──深層心理をテーマにしたのが『PSYCHE』というアルバムですが、個人的には曲を聴き進めていく内にどんどんキリト自身の深層意識も浮き彫りにされていく印象を受けたんです。

キリト:歌詞は一人称や二人称が出てくる以上、その行動原理や発想が第三者をモチーフにしていたとしても、僕自身の価値観やモノサシで作るしかないんです。深層心理がテーマということもあり、自分がどう感じるのかが基盤にはなってますが、ただ、これは決して僕の独白ではないし、パーソナルなアルバムでもない。誰もが感じうるだろうことを描こうと思ってはいますけど、しかしそこにどうしても隠せないキリトという人間が根っこに出てきちゃう。ただ、基本的には普遍なことを書いているんです。

──なぜ、こういう質問をしたかというと、後半に収録されている曲の歌詞が気になったからなんですね。9曲目のバラード「PRAY」には“辛くて苦しくて哀しいこの世界だからこそ意味があると伝えたくて”と歌っている。リードトラック「報いの虹」でも“絶望はいつまでも続きはしない”という表現が出てきますが、同じ意味のことを表現していたとしても、ここまでストレートというか素直な表現はしてなかったんじゃないかと感じたからなんです。

キリト:さっき話したように、普遍的なことを描こうとしているし、今までにない手法もどんどん取り入れていくものだから。心境の変化があったというわけではないし、作品は作品なんですよ。例えば「THE CROCK OF ULTIMATE」という曲は廃人寸前の中毒者の曲ですけど、僕は変なものやってませんから(笑)。作品が自分の実体験に終始しているわけではない。それに遡って聴いたら、今、やっとやさしい曲が書けたのかというと、決してそうじゃないんですよ。

──なるほど。アルバムのタイトル『PSYCHE』は“精神”という意味で、1曲目の疾走感たっぷりのアグレッシヴなナンバー「Deep Psyche」は“深層心理”という意味ですよね。自分の奥にある感情や疑問に気づくことが覚醒のヒントになるという受け取り方もできる曲ですが。

キリト:深層意識と顕在意識がこのアルバムのテーマになっているんです。ただ、その2つの意識で考えていることは実は真逆なことが多い。例えば、今、やるべきことを無我夢中でやっている状態がその人にとって辛くて仕方ないんだとしたら、深層意識では実は自分がやっていることが苦痛だと思っている。でも、自分は目の前のことを好きだからやっているって一生懸命に思い込むんです。その相反する感情、最大の矛盾をひとりの人間が抱えながら生きていくから面白いし、ドラマになるんですよ。

──矛盾しているけど、表裏一体となっているような。

キリト:好きなはずなんだけど無意識の領域では嫌っている。嫌っているはずなのに、なぜか離れられない。こういう矛盾を感じているから人間は弱いし、同時に強くもある。どちらかに振り切れたら、ヘタしたら犯罪者になるか、悟りを開くか。それが自我と無我なんです。

──今、話していることがアルバム全体のモチーフになって、ストーリーが展開するという。「声にならない声」という曲はまさに矛盾を抱えて人間が生きる姿を歌っていますね。

キリト:そうですね。

──では、自分が作った曲の歌詞がイメージ通りだったという曲はありますか?

Karyu:曲を作るときは自分でもコンセプトを立てるんですけど、最後の「A new story」はリンクしたなと思いましたね。ここから何かを始める、羽ばたいていくイメージがあったので。

キリト:曲として魅力を感じたので、浮かぶ言葉を書いていったんですけどね。

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