【インタビュー】LM.C、8年たった答えが音の佇まいや箱庭的世界観にすべて入った『PERFECT RAINBOW』

■「キミヨサラバ」ってタイトルを見た瞬間、語感も含めて“キタな”と思いました
■とにかく漢字が多い詞なので、読めねーなっていうのはあったけど（笑）

▲『PERFECT RAINBOW』初回限定盤

▲『PERFECT RAINBOW』通常盤

──8才のLM.Cの深みが出ているわけですね。ロックンロール「Minor Leaguers’Song」と「LADY TALK」は、このアルバムの中の癒しゾーンになっていると思いました。

maya：こういう曲ができるのはステキだなと思いました。動物シリーズは定着してきているんですけど、今回、スポーツシリーズが始まってしまったっていう（笑）。

──負けてばっかりいる少年野球チームの話ですからね。

maya：もともと曲調が映画『メジャーリーグ』的な雰囲気だったんですよ。昔のアメリカ感というか。

──mayaくんの少年性が爆発してますね。

Aiji：「Minor Leagurs’Song」こそ、今までのLM.C的な雰囲気がありますね。「一昨日、食べたものが思い出せない」って歌ったあとに野球の試合に負けて芝生に寝転んでるっていう、この振り幅ですよね（笑）。

──歌詞の最後が“明日は明日の向い風　オーマイガー”で終わるのも笑えるし。

maya：そこは発明に近いですね（笑）。“明日は明日の風が吹く”で終わらせないっていう。

──この曲にだけ“虹”という日本語が出てきますよね。涙が流れて虹になるって。

maya：ね。“虹の向こうには何が在る”ですからね。アルバムの真ん中の曲ですけど、次に繋がるイメージで書いてますね。

──あと、「LADY TALK」はLM.Cを聴いてきた人ならニヤッとすること間違いなしですね。

Aiji：いちばんわかりやすくニヤッとするでしょうね。

──アルバム『STRONG POP』に収録されていた「BABY TALK」は年上の女性に恋する少年の目線だったけれど、「LADY TALK」は女性目線のストーリー。

maya：よく出来ていますね（笑）。作ったときは普通のバンドアレンジだったんですけど、そこからアレンジが変わってーー。アンサー的役割の曲ですね。

──いちばん歌謡なメロの曲でもありますね。

Aiji：バンドサウンドだと歌詞やメロディーもあいまって悲壮感が漂っちゃったというか、切ないなと思ったんです。で、もうちょっとファニー感を出せないかなとニューウェーブ的なアプローチにしてみた曲です。

──「キミヨサラバ」は歌詞も今までと違う手法だし、これまでなかった日本的な情緒感がありますよね。

Aiji：アレンジは4年前と全く変わってないんです。さっき話したように時を待っていた曲で。

──今で良かったかもしれないですよね。

Aiji：4年前ならここまで深みのある歌詞は出てこなかったでしょうね。

maya：あの頃はハードルが高いというか、この曲をどうしてあげたらいいのかわからなかったんです。でも、あらためて向き合ったら、書けたっていう。

Aiji：送られてきたデータファイルに「キミヨサラバ」って書いてあったんですが、タイトルを見た瞬間、語感も含めて“キタな”と思いましたね。とにかく漢字が多い詞なので、読めねーなっていうのはあったけど（笑）。

──ここまで侘び寂びのある曲は初めてでは？

Aiji：そうですね。芝生に寝転んでる人が書いた歌詞とは思えないですね（笑）。

──ラストの「Brand New Rainbow」は次に繋がるLM.Cの夢というかロマンが感じられる。

Aiji：どこかエキゾティックな雰囲気の出だしから始まって、サビに移行するジャンプ感、開放感は意識して作りました。最後の曲にしたいなと思いながら書いていたので、前作の最後の曲「DIVE TO FANTASY」とは違う解き放たれた感じ、先に希望があってそこに向かう力強さと疾走感は意識しました。

──“幻想を越えて出逢う僕らだけの伝説”というフレーズが『PERFECT RAINBOW』に繋がっている？

maya：そうなっちゃってますね（笑）。詞に関してはわかりやすくLM.Cらしさが出てると思います。

──エンディングの音はベルですか？　あれがまたいいですね。

Aiji：トライアングルです。入れるかどうか迷ったんですよ。入れてよかった。

maya：虹の余韻みたいな感じですね。

──LM.Cらしいです。それと初回限定盤が豪華でMVとメイキングを収録したDVDに加えて80Pのスペシャルブックレットが付いているんですね。

Aiji：セルフライナーノーツ付きです。

maya：写真も撮りおろしでインタビューも読めるし、アルバムの世界がより深く感じられて、みんな幸せになれます。

Aiji：いちばん聴いてもらいたいのは曲ですけどね。全部、ふくめて夢が詰まっています。

──では、今後の予定と2015年の展望を。12月30日には渋谷公会堂でライヴを行いますよね。

maya：そうですね。『PERFECT RAINBOW』のRelease Partyにはなるんですが、年末ということもあるし、新曲たちを持ってみんなではしゃぎたいと思っています。渋谷公会堂はLM.Cが何度も立ってきた会場ですけど、来年、建て替えになると聞いたので寂しさもありつつ、歴史ある渋公での最後のライヴということでお祭り的に楽しみたいですね。

Aiji：2015年は3月からツアーがあるので、それもお楽しみに。あと、今までLM.Cは名盤ばかり出してこれているので、2015年は色んな意味でそろそろ突き抜けたいですね（笑）。

取材・文●山本弘子





◆インタビュー（１）へ
◆インタビュー（２）へ