【インタビュー】ピエール中野「イヤホンスパイラル…もうキリがない(笑)」

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覚えている人もいることだろうが、2014年11月下旬、凛として時雨のピエール中野がいきなり変なツイートを3連発した。「イヤーマフみたいなこの季節にぴったりな可愛いヘッドホンがあることを音楽好きな人みんなに知って欲しい。(以下略)」「来年中にナカノヘッドホン作ります。」「熱でフィット感変わるイヤモニが開発、実用化されているので、作って試してレポしますね。」

イヤホン/ヘッドホン好きのミュージシャンはたくさんいるし、最近は富にイヤモニに関する需要も高まっているので、イヤホンに関するつぶやき自体はなんら珍しいことではない。とはいえ、ピエール中野のこの3連発はちょっと異常である。とにかく中身が濃すぎる。熱すぎる。暑すぎる。どこを見て誰に向かって何のためにツイートしているのか?シラフなのか?本気なのか?気になり始めたら気になって仕方がない。我慢できずピエール中野にコンタクト、直接話を聞く機会を得た。

■いいヘッドホンとかイヤホンは
■絶対知られたほうがいい

──いきなりの3連続ツイート、あれは何だったんですか?「イヤーマフいいよ!」とか。

中野:ああ、オーディオテクニカのやつですよね。あれすごく良くてびっくりしたんです。あの時ちょうどeイヤホンというイヤホン販売の日本最大級のショップの人と会ってたんですよ。店でイヤーマフのヘッドホンを見つけてすごくいいと思って。「これ、知らない人は知ったほうがいいんでツイートしていいですか?」ってツイートした。そしたら、めちゃくちゃリツイートとかふぁぼされて、“すげえいい商品だから、やっぱり知られたほうがいいよ”と思って。

──やってることがまるでショップの店員じゃないですか(笑)。

中野:いいヘッドホンとかイヤホンは絶対知られたほうがいいって、けっこう何年も前から言ってるんですけどね。最近でこそようやく注目されてきましたけど、まだまだ浸透するべきだと思ってて。

──イヤホン/ヘッドホンに注目し始めたきっかけって何ですか?

中野:基本的に誰でも音楽はいい音で聴きたいっていう想いはあると思うんですけど、そこから先に踏み込む機会ってなかなかないですよね。イヤホンを買うといっても頑張って予算は3~4千円じゃないですか。5千円もするイヤホンはなかなか買わないよって。でも待てよ、よくよく考えたら「自分が高校生の時コンポとかを買ったら普通に4~5万円とかしていたよな」とか思って。いい音のするコンポを探して家電量販店で試聴したりしていたから、「その金額をそのままイヤホンとかにつぎ込んだらすごいことになるんじゃないか」と思って、実際そういうイヤホンってあるのかな?と思って調べたのが最初だったんです。そしたらあって。Ultimate Ears(アルティメットイヤーズ 以下UE)のTripleFi 10(通称テンプロ、以下10pro)が最初だったんですけど。

──何年ぐらい前の話ですか。

中野:3~4年かな。で、調べたらやっぱりイヤホンスパイラルっていう現象が起こって、もうキリがない。これがいいと思ったらあれも良くなって…みたいな。言ったらイヤーチップだけでも音が変わるし、ケーブルでも音が変わるし、あと聴く音楽でも変わるしとか、エイジングがどうだ何だみたいなのがいっぱい出てきちゃって。“これおもしろいぞ、この世界”ってなっちゃって。

──あー、重篤なイヤホンスパイラル患者ですね(笑)。

中野:そのUEの10proは、これを買っとけばいったんイヤホンスパイラルは収まるっていうぐらい優秀なイヤホンで、まずはこれを知っとけ的な感じだったんです。でも4万5千円とか5万ぐらいしたかな。それを思い切って買ったのが最初でしたね。

──その頃、イヤホンスパイラルにハマっている人って、周りにもいたんですか?

中野:いや、あんまりイヤホンの話してる人、いなかったですね。

──中野さんはドラマーとオーディエンスの2つの顔を持っているわけですが、イヤホンの使いこなしに違いはあるんですか?

中野:ないですよ。いちリスナーとしてどれだけいい音で音が聴けるかということにしか興味なかったですね。

──イヤモニに関してはいかがですか?

中野:あ、それはあります。演奏する時に使うイヤホンと、聴く時のイヤホンは全然別モノとしてとらえてるので。

──具体的にはどういうことですか。

中野:ドラムモニター用は全体の音がクリアで、解像度がとにかく高いもの。

──じゃないと困る?

中野:まあ困るっていうか、そのほうがいいっていうレベルですけど。今はUEのリファレンス・モニター(UERM)を使ってるんですけど、それはやっぱり解像度が高くて、演奏がきちんとしっかりした速度で聴こえる。

──スピード感がある音ということですね。

中野:スピード感がちゃんとわかるやつを選んで使っています。普段使いのやつは、もうちょっと色付けされていたりするものを選んで使ってますね。

──普段リスニング用として使っているイヤホンをドラム叩く時のイヤモニとして使ったら、どんな感じになっちゃうんですか?

中野:まあ、別に演奏はできますけど、ちょっと不明瞭な部分が出てくるというか。

──シャープさに欠ける?

中野:そうですね。なので、普通に聴くぶんには楽しいんですけど、モニター環境としてはちょっともっと聴き取りやすいものがあるのでそっちを使いたいっていう。

──求めてる方向が違うのかな。

中野:そうですね。比較すればですけど、でもそういうことです。

──そもそも素朴な疑問なのですが、ドラムって生音大きいでしょ?「イヤモニを使ってわざわざそこからドラムの音を聞くのはどうして?」と、多くの人が疑問に思う気がするんですが。

中野:ああなるほど。聴くのは自分のドラムの音だけではないので。まずギターとかベースとかボーカルの音を聞きます。もともとはスピーカーから返していたりとかするんですけど、それをモニターする為にイヤホンをつけるわけです。あと、自分のドラムの音がデカいので、イヤホンを耳栓の代わりにしているんです。とりあえずこのイヤモニをつけただけだとほんとにただの耳栓なんですよ。で、ドラムの音とかもすごい小さくできるんです。

──なるほど、爆音で聞くのではなく、むしろ生音より小さなバランスでドラムの音も適切な音量で聞いているんですね。

中野:そうです。あとは同期音源を流したりする時のクリックとかね。同期音源をモニターする用に…外には流さない音を耳元で聴こえるように。あと、いろんな人がいて、その同期音源に展開の合図を自分の言葉で入れたりとかしている人もいますよ。「次、早いやつ」とか。

──セリフが入っているの?

中野:「次、こういうリズム」とか、入れる人もいるって聞きます。

──メモ?(笑)。

中野:そう、メモ。メモを音で入れて展開をわかるようにする。

──それはおもしろい。初めて聞きました。

中野:知らないですよね。「ここはちょっと突っ込み気味で」とか、そういうメモを入力したりとか。それは外には流せないですからね(笑)、イヤモニはすごい便利ですよ。あとPA側から指示を出したりとかもできますから。

──ライブ中の業務連絡にも使われますよね。「チューニングしているんでMC引っ張って…」みたいな。

中野:ありますね。逆にPAにしか届かないマイクも設置してやり取りするとかね。

──そういった意味ではイヤモニはもう欠かせない?

中野:欠かせないというか、僕はそういった使い方はしないですが、便利ですよね。

──周りのミュージシャンたちのイヤモニ事情はいかがですか?

中野:やっぱり使っている人の方が多いです。アマチュアの人でも使っているという話は聞きますし。カスタム作ってる人はミュージシャンに限らず多いですよね。

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