【インタビュー】家入レオ「間違えたりすることって実はとても重要なことなんだなと思った」

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揺れ動く季節を過ごし、2014年の12月に20才の誕生日を迎えた家入レオのニューアルバム『20』が完成した。最新シングル「miss you」やTBS系ドラマ『Nのために』の主題歌「Silly」、「純情」を含む全12曲。声だけで聴く人の心をわしづかみにしてしまうシンガーは、正体がわからないものだからこそ“愛”にこだわり、歌い続ける。そんな彼女が20才を迎えて感じていることとは? 人間は傷ついて、間違えてしまう生き物だからこそ、初めて愛がしみると言う家入レオの“今”に迫る。

◆家入レオ~画像&映像~

■グレーゾーンを認められるようになってからは
■伝えたいことがあるっていう曲を歌えるようになった


▲『20』初回限定盤

▲『20』通常盤

──まず2014年の12月に20才の誕生日を迎えて10代に別れを告げた感想は?

家入レオ(以下、家入):あらためて10代はホントに悔いのない日々だったと思います。正直、デビューした頃からの記憶しかないんですよ。人間の記憶には容量があるのか、充実しすぎていると過去がどんどん消去されていくみたいで(笑)。なので、私の10代は16才からの思い出ですが、音楽に関していうと悔いなく駆け抜けてこられたと思います。

──それだけ情熱を傾けてきたから?

家入:というのもあると思うし、1日1日が濃密でした。もう一度、戻れって言われたらキツいですけどね(笑)。

──20才になって例えば“これでお酒が飲める!”みたいな解放感を感じているのか、それとも責任感を感じているのか。

家入:20代は絶対に楽しいものにします! それだけは決めているんです。誰かがこう言ったとか、そういうしがらみは全部ナシにして、自分のことは自分で責任がとれる年齢になったので、1つ1つ自分で決めて人生を進んでいきたいと思っています。

──それは覚悟ですか? 解放感ですか?

家入:解放感だと思います。ありがたいことなんですが、今まではすごく守られていたんです。歌がない日常はなかったし、人前に出させていただく仕事なので、誰かの模範にならないといけないという気持ちもあって、普通の18才や19才の人ができることがなかなかできなかったり……。それは当たり前のことなんですが、今はお酒も飲めるし、ナイトショーに行きたいと思ったら行ける。ただ単に自由になりたいというわけではなく当たり前のことを当たり前にできる日々がいいですね。

──お酒、強そうですね。

家入:まだあまり飲む機会がないのでわかりませんが、2014年、誕生日のワンマンライヴで、いろいろな方にプレゼントでお酒をいただいたんです。次回、お会いしたときに感想を伝えようと思って、スタッフみんなと少しずつ飲んで試しました。

──ちなみに気に入ったお酒は?

家入:うーん。まだ勉強中です。

──いろいろと未来に向けて夢が広がっている感じですね。3rdアルバムのタイトルも最初から『20』にしようと決めていたんですか?

家入:候補として挙げたタイトルがすべて“20才”を意識していたものだったので、シンプルでわかりやすいもの、響きがいいものにしようって。曲はほとんど19才のときに作っているんですが、いちばん20才を意識した1年間だったんです。しょっちゅう“20才になったら”という言葉を口にしていて、まわりからは“そんなに20才にこだわらなくても、今やりたいことをやればいいじゃん”って言われていたんですが、デビューしてから頭で理解できても気持ちがついていかないことが多かったんです。そういうときに呪文みたいに“今、がんばっていれば20才になってから絶対にステキな未来があるはずだ”って繰り返していたこともあって、『20』というタイトルに決めました。

──家入さんにとって第二章の始まりだということですが、第一章との違いは?

家入:向き合い方が変わったかもしれないです。今までは家入レオという家のドアを誰かがトントンってノックしたら、番犬並みの勢いでワンワン吠えて警戒していた部分があったのが、このアルバムではせっかく叩いてくれる人がいるなら、“お茶でもどうですか?”って。私の心の階段を一段ずつ登ってきてほしかったのかもしれない。伝えたいメッセージや歌っている内容は変わっていないけれど、私自身が予防線を張っていたら相手に届かないから、少し自分から歩み寄ってみようと思えたアルバムでもあります。

──自分から開かないとって思ったキッカケは?

家入:やっぱりライヴですね。3000人の人の前で歌うとすると6000個の目で見られるから、ステージの袖から歩いていくときに“この人たち、私のことを傷つけに来ているんじゃないかな”と思うぐらいの圧力を感じるんです。でも、歌い出した瞬間に手拍子してくれたり、名前を呼んでくれると“そうか。この人たちは私を受け止めてくれるんだ”って。お客さんは自分の鏡だと思うようになったんです。みんなが笑っていたら笑顔になるし、泣いていたら泣きたくなる。両手を広げてくれるんだったら、私もちょっとがんばってみようかなと思ったのは大きいかもしれないですね。

──ファンの存在が家入さんを変えたんですね。実際、アルバムは切なくもあるけれど、やわらかさや優しさも感じられて、色に例えると原色というよりは……。

家入:淡い色ですよね。以前といちばん違うのは自分がグレーゾーンを認められるようになったことだと思うんです。「純情」をリリースした頃は、がんばれば絶対に結果はついてくるものだと思っていたし、探せば絶対に答えはあると思っていた。曖昧な態度をとるオトナに対しても当たりが強かったし。

──オトナなんか信用できないって?

家入:“どうして?”っていう疑問があったんです。でも、ドラマ『Nのために』(TBS系)の主題歌のお話を頂いて、「Silly」を書いたときに原作を読みこんだのと同時に、人間とか愛についてじっくり考えたんです。で、以前の私は“人間ってなんで失敗しちゃうんだろう、間違えてしまうんだろう?”と思っていたけれど、もし人が完璧だったら愛に気づいたり、優しさに触れて感じることもないんじゃないかって……。傷つくこともないけれど、喜ぶこともない。それは果たして良いことなんだろうかと思ったんです。傷ついたときに愛は初めて傷にしみこんでくる。間違えたりすることって実はとても重要なことなんだなと思った。それから悩んで答えが見つからなくて途方に暮れて曖昧な態度をとっている人に対して“がんばってもダメなことってあるんだな”と素直に思えるようになった。そういうグレーゾーンを認められるようになってからは答えは出さないけれど、伝えたいことがあるっていう曲を歌えるようになったし、そういう歌詞を書けるようになって……だから、淡い色だと私自身も感じているし、聴いてくださる方もそう思ってくれるのかなって。

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