【JUNO REACTOR来日ライブ記念 SUGIZOインタビュー】Vol.2 JUNO REACTORの音楽編

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1990年代ロンドンでトランス・ムーヴメントを巻き起こし、今なおシーンの頂点に君臨し続けるJUNO REACTOR。彼らの2013年以来となる待望の来日公演が決定した。ギタリストとして加入8年目となるSUGIZO。現在、都内某所でスタジオ作業に没頭するSUGIZOに、これまで語られていなかった音楽遍歴から、JUNO REACTORとの出会い、これから向かう未来に至るまで、ロングインタビューを行った。
SUGIZOとベン・ワトキンスの相似形とも言える音楽的ルーツ。その流れからの必然的な出会いに至るまでが明かされた第1回。第2回では、JUNO REACTORの音楽について掘り下げる。

◆JUNO REACTOR 来日公演ティザー映像

◆僕のリミキサー達でもあり、
それは僕の音楽の質感でもあるんです


――先程の流れで言えば、ピンク・フロイドの最新アルバムは、(アンビエントのオリジネイターの一人である)Youthがプロデューサーなんですよね。

SUGIZO:面白いのが、ピンク・フロイドのニューアルバムのインタビューで、ドラマーのニック・メイソンが、彼は実はバンドの主なスポークスマン的存在なんだけど、こう言ってるんです。 「The Orbを筆頭とする、アンビエント・テクノやスピリチュアルな音楽シーンに、我々が影響を与えた事は自覚している。90年代初期のシーンでThe OrbやSYSTEM 7が出てきて、(SYSTEM 7の)スティーヴ・ヒレッジが新しい道を開拓していったけれど、あの役目はピンク・フロイドでも良かったかもしれない。スティーヴ達がシーンに出てきて、一方ピンク・フロイドは昔のフォーマットを守り続けたけど、もしかしたら僕らがSYSTEM 7の位置にいたかもしれないんだよ。」 ニック・メイソンはスティーヴ・ヒレッジのアルバム「Green」のプロデューサーでもあるんです。これは、彼のインタビューの言葉から感じた僕の予想ですが…スティーヴ達が90年代に新しいシーンに切り込んで成功した事、ピンク・フロイドはそこに乗り遅れた事から、彼はスティーヴ達へのジェラシーを微妙に感じていたのではないでしょうか。


▲SUGIZO&アレックス・パターソン(The Orb)


▲2001年Juno Reactorメンバーとして来日したアレックス・パターソン(The Orb)

――実は、彼らは同じ所を通ってきているんですよね。トランスのシーンで言えば、ピンク・フロイドが80年代にゴアでライヴを開催し、その時使われたサウンドシステムがそのままゴアに残って、ゴアのテクノ、トランスシーンに使われ続けている、という。

SUGIZO:そうですね。ゴアが盛り上がったのは、ある意味ピンク・フロイドのお陰かもしれない。

――ゴアはヒッピーの聖地にもなっていたので、ヒッピー達が作ったシーンなのかもしれないですね。

SUGIZO:面白いのが、ピンク・フロイドの最後のアルバム『永遠/TOWA』。あれは、完全にアンビエントのアルバムなんですよね。それまでのピンク・フロイドとは一線を画した、The Orb寄りのアルバム。Youthがサウンド全体をコーディネートし、ニック・メイソンやデヴィッド・ギルモアが、スティーヴ・ヒレッジ的に、アンビエントを意識して演奏している。スティーヴ、Youth、The Orbというと、僕のリミキサー達でもあり、それは僕の音楽の質感でもあるんです。つまり非常に不思議な感覚で、おこがましいのですが『永遠/TOWA』を聴いた時、僕の音楽に近い、と感じました。ピンク・フロイドが僕に近づいて来た、とも感じました。そこにはYouthがいますし、僕のリミックスと同じサンプルを使っていたりしますしね。繋がっているんですよね。テクノの観点で見ると、音の作り方には90年代的な若干の古さは感じます。しかし、ピンク・フロイドがこれをやった事により、このアンビエント的な音が世界的なものになり、一周して新しいものに生まれ変わった。あとは、The Orbとギルモアのコラボ・アルバム『Metallic Spheres』では、The Orbのサイケデリック・スペーシー・アンビエント・サウンドの中でギルモアがギターを弾きまくっている。これが非常に素晴らしくて、僕が近年一番聴いているお気に入りの一枚です。


▲SUGIZO

◆先ずは、ロック・アティテュードの
切り込み隊長的役割を果たす事


――今回は、LUNA SEA/X JAPANを軸にSUGIZOさんを見ている人達に向けて、JUNO REACTORの魅力を伝える企画でした。しかし、こうして話を聞いていると、表裏が一体に繋がる感じがありますよね。JUNO REACTORが、何故ダンス・ミュージックではなくライヴとして、ライヴの時間帯に演奏するのか。ダンス・ミュージック・シーンの人達にも説得力を持ったものにもなるのではないでしょうか。

SUGIZO:実はテクノ・シーンには、ライヴの時間帯で演りたいアーティストは多いんです。例えばベンやDJ TSUYOSHI君のように、ロックに影響を受けてテクノで成功したアーティスト達には、フロアの時間帯のみに客が存在する事が不満で、ちゃんとライヴの時間帯に音楽を聴いてもらいたいと考えている人が多い。ここまで色々なアーティストの名前を挙げてきましたが、是非皆さんにも、これらの音楽に触れていただけたら素晴らしいと思います。例えば、僕のアンビエントのルーツはPrimal Screamですが、元々彼らはオルタナティヴなバンドでしたよね。エイドリアン・シャーウッド等が手掛けている、リミックス・アルバムの『Echo Dek』も非常に良いんですよ。

――是非、これを切っ掛けに新しい音楽に触れていただきたいですね。

SUGIZO:はい。これまでの話で、何故SUGIZOがJUNO REACTORなのか?という事が理解していただけたのではないかと思います。

――ここでJUNOにフォーカスしていければと思います。ベンを筆頭に多種多様なスキル・経験・国籍を持ったメンバーの中で、SUGIZOさんにとってご自身の位置付けとはどのようなものでしょうか?

SUGIZO:やはり、ロック・ギターとして切り込む事ですね。あの問答無用のテクノ・サウンドの中で、ロック・ギターの最も純粋なサウンドを掻き鳴らしたい。それによって良い化学反応が生まれていますし、ベンもそれを求めています。中にはファンキーにプレイする曲もありますし、シーケンサーのような正確なプレイが求められる曲もあり、多種多様な対応が必要ですが、先ずは、ロック・アティテュードの切り込み隊長的役割を果たす事。そして、もう一つは、僕がリズムを弾く事によって無機質な打ち込みのグルーヴに「揺らぎ」を与え、躍動感を持たせる事です。


▲ベン・ワトキンス

◆彼らの出来る事は僕には出来ないのと同時に
僕に出来る事も彼らには出来ない


――メンバーとの、印象深いエピソードはありますか?

SUGIZO:僕にとって最も目から鱗だったというか、メンバーとして一皮剥けたエピソードがあります。メンバーにマビというパーカッショニストがいます。「アマンポンド」という南アフリカを代表するパーカッション集団がいまして、大統領のネルソン・マンデラが、ラグビーのワールドカップ開催時に指名した素晴らしいアーティストです。マビはそのメンバーではないのですが、彼らに師匠として慕われている存在です。年齢的にはデヴィッド・ボウイと同じ1947年生まれで、70年代のマイルス・デイヴィスのバンドのメンバーでもあります。年代的には、先程話に挙がったマイルスの名盤『On the Corner』の時期ですね。僕は子供の頃からブラック・ミュージックに影響を受けてきて、黒人のグルーヴを研究し、できるなら黒人になりたい程だった。プリンスやマイルスが好きで、その後はマーヴィン・ゲイやカーティス・メイフィールドが好きになり、ナイル・ロジャースも好きでした。10代の頃から憧れていたマイルス・バンドのメンバーだったマビが、「ドス黒い」グルーヴを生み出していた本物中の本物が、JUNOでは僕の目の前にいるわけです。南アフリカの国民的英雄のパーカッショニストである彼の、本物のグルーヴを目の前にしてギターを掻き鳴らす、彼とグルーヴをシンクロさせる。本物と触れ合い溶け合う事への、言葉では言い表せない程の感動を覚えました。


▲アマンポンド&マビ

――なるほど。素晴らしいですね。

SUGIZO:同時に、マビも僕のグルーヴを賞賛してくれるわけです。「お前のギターはアジア的で、グルーヴが最高だ」と。彼らには僕のアジア的なグルーヴは生み出せないですし、ミステリアスなものなんだと思います。そこで、学んだことがあります。僕は黒人になりたいとずっと願っていましたが、マビやマイルスのようになれるわけはなく、長い間そこに負い目やジェラシーがありました。しかし、彼らの出来る事は僕には出来ないのと同時に、僕に出来る事も彼らには出来ない。僕は日本人の、アジア人のままで良いんだと。自分の出来る事を誠意を込めて追及すれば良いんだと。僕は自分のアジア人としてのグルーヴを極め、彼らはアフリカの本物の黒いグルーヴを極めればいい。そうすれば極めた者同士が出会った時に、最高の化学反応が生まれる。彼らがアジア人になる必要はないですし、僕が黒人になる必要もない。マビからは「お前は今のままがいいんだ」「お前と一緒にいられて最高だ」と。衝撃でした。それを切っ掛けに、僕にはコンプレックスや負い目が一切なくなりました。日本人のままでいいんだ、と。僕にとって非常に大きい事でしたね。それが2007~2008年頃です。

◆彼のような本物と一緒にいて、
ライヴを出来るのは最高です


――素敵な話ですね。

SUGIZO:当初のドラマーだったグレッグはアメリカ人で、生粋のパワーヒッター。彼とは意気投合しまして、僕のソロでも彼に叩いてもらいました。あとは、当時のシンガー/パフォーマーだったスクイッド(ゲットー・プリースト)も凄かった。僕と同時期の2006年からJUNOに参加し、3年前の新木場ageHa公演まで在籍していたんですが、彼は典型的なジャマイカンで、パフォーマンスは本当に凄い。歌も凄い。しかし、調子が出ない時は全然駄目だった。


▲SUGIZO&スクイッド(ゲットー・プリースト)


▲スクイッド(ゲットー・プリースト)

――生粋のジャマイカンですね(笑)。

SUGIZO:彼のような本物と一緒にいて、ライヴを出来るのは最高です。そして、彼も僕の事を良いと言ってくれる。彼は元々エイジアン・ダブ・ファウンデイションのシンガーでもありました。彼らの天然性や生粋のグルーヴには、決して日本人は敵わない。僕達は僕達の出来る事をやるしかないんです。彼は性格はとてもかわいいんですが、本能で生きている野獣なので(笑)感情をそのまま出しますし、本能のままに行動するんですよね。彼もマビも地球上で最強のグルーヴを演奏できるメンバーですが、生粋の天然なので、曲の細かい構成は覚えられないんです。マビは、15年JUNOをやっていても未だにブレイクで止まれないですし(笑)。

――ステージで、よくベンに合図出しを叫ばれていましたよね(笑)。

SUGIZO:ある時期から、僕が彼を止めるようになるわけです。気が付けば、僕はJUNOの指揮者のようになっていました(笑)ベンも「SUGIZO、頼む」と。一方、ベンも近年ステージで頻繁にギターを弾くんですが「SUGIZO、この曲のキーは何だ?」等と僕に聞いてくるんです。自分の曲なのに…(笑)。皆、本能で生きていますよね。

――本能ですね。そんなJUNOでは、SUGIZOさんが頼られる中心的な存在に。

SUGIZO:いやいや、滅相も無いです。音楽的な面以外で得たことで大きいのが、世界中をツアー出来た事ですね。自分達の手で楽器を運び、セッティングし、演奏して、撤収する。そして次の土地へ向かう。ヨーロッパをバスで旅し、アメリカはバンで旅しました。北米、メキシコ、ヨーロッパ、中でもスロヴェニアやブルガリア、そしてギリシャなど。ギリシャと言っても、アテネだけじゃなくテッサロニキとか。ウクライナやロシアにも何度も行きましたね。

――東ヨーロッパが多かったんでしょうか。


▲バッジー

SUGIZO:そうですね。もちろんイギリスやドイツでもやりましたし、ハンガリーでも。でも、 日本以外のアジアにはまだ行ってないんですよ。あとは、JUNOとしてはイスラエルでは何度もやっていますが、僕がタイミングが悪くまだイスラエルでは参加できていません。そんな様々な国での様々な環境に音楽的に対応し、オーディエンスを湧かせる、というのは自分にとって非常に大きな経験になりましたね。

――タフな環境ですね。

SUGIZO:スケジュール面でも、北米やメキシコのツアーの時にはダラスの空港で現地集合だったり、ブルガリアのツアーの時は僕が一人で向かって、チューリッヒで一泊して現地集合、とか。無茶苦茶です。

――メンバーが世界各地から集まってくるとそうなりますよね。

SUGIZO:最初の何本かはイギリス・ブライトンのベンのスタジオでリハをやってから向かったり、ヨーロッパツアーではベンの家集合で、そこからバスで移動したりもしました。ツアーでは楽器は自身で運び、マルチ・エフェクターのGT-10という最小限の環境で周ります。GT-10はベンの家に置いてあるので、僕はギターを持っていくだけ、みたいなスタイルですね。

◆JUNOの音楽が世界を一周する、
という壮大な構成になっています


――他のシーンを含めて見ても、そこまで世界各地からメンバーが集まる事は珍しいですよね。

SUGIZO:そうですね。イギリスのShpongleなどが比較的近いイメージでしょうか。


▲SUGIZO

――加入前からJUNOのリスナーだったSUGIZOさんからお勧めする、JUNOの作品はありますか?

SUGIZO:『Bible of Dreams』ですね。あとは『Beyond the Infinite』。その後、一般的に知れ渡ったのは『Shango』かな?

――『Shango』以降はユニバーサル・ミュージックからのメジャーリリースですね。

SUGIZO:『マトリックス』のテーマが入っている『Labyrinth』も有名ですね。『Shango』ぐらいからサウンドがトランスではなくなってくるんですね。4つ打ちで聴きたい往年のファンに対する分岐点になった。

――ダンス・ミュージックのファンが往年のJUNOから離れていく切っ掛けになったのと同時に、JUNOが世の中に広く知れ渡るようになりましたね。

SUGIZO:そうですね。「レジェンド・オブ・メキシコ」に採用された「Pistolero」も、同じく広く知れ渡りました。

――まだJUNOを知らない方にSUGIZOさんがお勧めする「これぞJUNO」という作品は何でしょうか?

SUGIZO:『Labyrinth』の最後に収録されている「Navras」ですね。これにはJUNOの全ての要素が入っています。壮大なクワイア(声楽)から始まって、サイケデリック・トランスに突入し、ヨーロピアン・ゴシックで教会的なダークな雰囲気を孕みながら中近東の音楽に変化し、最後はハードなトランスに戻りヨーロッパに帰る。JUNOの音楽が世界を一周する、という壮大な構成になっています。JUNOが凄いのが、例えば「Navras」ではヨーロッパの声楽や中近東の民族楽器が使われていたり、同じ「Labyrinth」の中のフラメンコを取り入れている曲では、本場スペインの国宝級ギタリストが演奏していたり。


▲ハムシカ

――前回のツアーに参加していたヴォーカリストのハムシカも、母国インドではボリウッド映画の昨年度最優秀シンガーを受賞していましたしね。

SUGIZO:そうですね。JUNO REACTORは、世界各地での最高レベルのミュージシャンが参加している、圧倒的音楽集団ですよね。


Vol.3 JUNO REACTORのパフォーマンス編に続く――



<JUNO REACTOR Japan Tour 2015>

2015年5月19日(火) ミナミアメリカ村 BIGCAT
開場 19:00/開演 20:00
¥5,800(税込/スタンディング・整理番号付き)
※ドリンク代別途¥600 ※当日券¥6,500
opening:Djmukai(leapGAzoom)
チケット一般発売:2月13日(金)
プレイガイド
チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード:254-235)
ローソンチケット 0570-084-005(Lコード:54565)
イープラス http://eplus.jp/
後援:FM802
[問]:BIGCAT 06-6258-5008
http://bigcat-live.com

2015年5月21日(木) 名古屋 BOTTOM LINE
開場 19:00/開演 20:00
¥5,800(税込/スタンディング・整理番号付き)
※ドリンク代別途¥500 ※当日券¥6,500
opening: DJ KAGIWO(Landscape Music)
チケット一般発売:2月13日(金)
プレイガイド
チケットぴあ 0570-02-999(Pコード:254-777)
ローソンチケット 0570-084-004(Lコード:45673)
イープラス http://eplus.jp/
後援:InterFM
特別協力:ZIP-FM
[問]:BOTTOM LINE 052-741-1620
http://www.bottomline.co.jp

2015年5月22日(金) 渋谷 TSUTAYA O-EAST
開場 19:00/開演 20:00
¥5,800(税込・スタンディング・整理番号付き)
※ドリンク代別途¥500 ※当日券¥6,500
チケット一般発売:2月13日(金)
Opening : FUNKY GONG [DJ] ✕VISIBLEX [VJ]
プレイガイド
チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード:253-839)
ローソンチケット 0570-084-003(Lコード:78240)
イープラスhttp://eplus.jp/
主催:J-WAVE 後援:InterFM
[問]:M&Iカンパニー 03-5453-8899
http://www.mandicompany.co.jp

New Album『The Golden Sun Remix』

2015年4月15日発売
FAMC-178 ¥2,592(税込)
発売元:Wakyo Records
販売元:株式会社KADOKAWA
12cmデジパック仕様
収録曲
1.Final Frontier (Extrawelt Remix)
2.Zombi (GMS Remix)
3.Guillotine (Bliss Remix)
4.Invisible (Ritmo Remix)
5.Tempest (Zeologic Remix)
6.Trans Siberian (Cylon Remix)
7.Shine (Modus Remix)
8.Byculla (Tortured Brain Remix)
9.Play With Fire (Jitter Remix)

◆JUNO RECTOR オフィシャルサイト
◆SUGIZO オフィシャルサイト
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