【座談会】<SATANIC CARNIVAL>、「ムーブメントの始まりは“爆発”と“つながり”だった」

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■何もないところに道を作って、今も第一線で
■音楽やバンドを続けているっていうのは本当にすごい──庵原将平(SHANK)

──そのムーブメントは今のフェス文化につながることになったわけで。現在までどのように形づくられていったんでしょう。

YOSHIYA:フロアのお客たちも、どんどん新しいことを採り入れていってさ。今じゃ当たり前になったけど、国内でダイブやモッシュ出てきたのもやっぱり20年前くらいからだと思う。最初は“なんだ、あの飛んでるやつ!?”っていう(笑)。「あれ、ダイブっていうんだ」とか「クラウドサーフっていうんだ、マジで? むちゃくちゃヤバイ!」って。そこから、カッコよく飛ぶ方法や、ケガをさせないでうまく飛ぶ方法なんかも考えたり。モッシュもいい意味で誰よりも目立つようにやっていたしね。それをライブハウスからクラブに持ち込んだりしてさ。本当にカッコいいものと、カッコよくキメられるものを作っていた感覚があるな。自分が出演者でも、“出演者です”って構えてるんじゃなくて、平気で客席で遊んでたしね。イベントに出ても、客で来たんじゃないか?ってくらい暴れてた。

伊藤:そうかもしれないね(笑)。みんなで成長していった感じがあった。

YOSHIYA:現場でマナーも知っていったよね。自分がヤンチャしてたから、これはやっちゃダメだな、やりすぎたなとか、マジ痛えよな、ってわかるんだよ。だって、自分もダイブを支える方にも入るわけだからさ。盛り上げたいし、ハジけてほしい。だけどケガだけは気をつけてほしいっていうのは、その頃からライヴで言ってたよね。

U-tan:たしかに僕らもライブの場でいろいろ学んできたんです。

YOSHIYA:世の中のバンドマンも、もともとはみんなフロアの側にいたはずだからね。そこを身体張って知ってる以上は、ほんとの意味での楽しさを、今でもずっと続けていきたいし、それを伝えたい。そういうことは自然と浸透していくのがいちばんカッコいいと思うんだよね。それがいちばん早いじゃん。だってメンバーのことが好きだったら、誰よりも聞く耳もてるでしょ。よくわかんないやつに言われても、“なんだこいつ?”ってなるけど。バンドのこと好きだったらメンバーの言ってることは信じられるっていうか。特に不良なんかそうだからさ。

伊藤:ほんとそうだよね。

YOSHIYA:それがいい形で定着している日本ってやっぱ凄いと思うよ。

──2015年現在、日本では年々フェスやイベントがますます増えている状況ですよね。それも、バンド主催のものや、レーベルや事務所主催のもの、媒体主催のもの。ジャンルに特化したものもあれば、クロスオーバーしたイベントもありで、フェス環境としては実に豊かですね。

U-tan:僕らも地元で自分たちのイベントを始めているんです。

YOSHIYA:<SAKAI MEETING>ね。

U-tan:はい。実際に自分たちで運営してみて、改めて何もないところから試行錯誤しながらやってきた先輩たちって本当にすごいなと感じました。今こうやって俺らがやりやすいような道筋を作ってくれてるんやなっていうことを。

庵原:まさにそうですね。そうしながら今も第一線で音楽やバンドを続けているっていうのは本当にすごい。

YOSHIYA:ここまでやってきて、今も飽きずに続いてるっていうことは、そもそも日本人自体がこういうことが好きだったんだなって思うんだよね。日本には全国に祭りがいっぱいあるじゃん。オーバーグラウンドもアンダーグラウンドも巻き込んで、規模のデカさだけじゃなくて、内容の濃さでもわかってもらえているというのは、バンドマンとしても表現者としても嬉しいことで。ずっと続いてってほしいなって、ほんと思うよ。

──健全ですしね、フェスやイベントで遊ぶっていうのは。

YOSHIYA:そうだよ。学校のガラスを割るより、絶対いいと思うよ。

伊藤:YOSHIYA君はガラスも割ってたんでしょ(笑)?

U-tan:はははは。

YOSHIYA:割ってない割ってない(笑)。いじめなんかするより絶対いいし、ドラッグなんかやるより絶対いい。

──フェス出演者として、これはいいフェスだなと思えるのは?

伊藤:いろんなイベントやフェスティバルがあるけど、出てよかったなと思うのは志向が似てるっていうか、この人たちは音楽を聴く耳を持ってるんだろうなっていうことが感じられるものですよね。そういうイベントは、出ている側もやっぱり嬉しい。あとは、特定のジャンルに偏ったようなフェスももっと増えるといいなとも思うね。

YOSHIYA:そうだね。ジャンルで統一されたものも、ジャンルレスなものもどっちもあっていいよね。ジャンルに特化したイベントにはコアな楽しみ方が当然あってさ。その一方で、全然知らないジャンルのバンドをたまたま観て“うわ、むちゃくちゃかっこいいじゃん!”って発見があるのは多ジャンルのイベントだったりするわけだしさ。バンド側としては、その両方を行き来できるようにやっていたいよね。で、ここに居る4バンドはそれができるんだよ。どうしてかと言えば、みんなどこに出ても自分のバンドらしく出来るわけでさ。RADIOTSはどこでやっても絶対にRADIOTSだし、SHANKはSHANK。誰かの空気に飲みこまれないから。それができる人はどんどんいろんなイベントに出たほうがいい。

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