【インタビュー】藤木直人、ギターに出会った17歳の少年のままの自分を出せた『1989』

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舞台に映画にドラマに、役者として多忙を極める日々の中、“ミュージシャン・藤木直人”が3年振りに始動する。8曲入りアルバム『1989』は、役者デビュー20周年の記念作であり、17歳で初めてギターを手にした“1989年の気持ちを忘れない”というテーマのもと、松下奈緒をはじめ様々なゲストが参加した躍動感あふれる作品だ。ライブではギターをバリバリ弾きまくる、永遠のギター小僧でもある藤木直人の世界を、存分に堪能してほしい。

◆藤木直人~画像~

■いまだに17歳でギターに出会った時の感覚を忘れてはいないので
■それでアルバムのタイトルを僕が17歳だった『1989』にしたんです


──CDリリースは3年振りですか。

藤木直人(以下、藤木):そうです。

──久々に作るとなると、“よしやるぞ!”という感じですか。

藤木:いや、“よっこらしょ”です(笑)。普段なかなか音楽をする環境にないので、“また一から始めるか”という感じのほうが強かったですね。

──でも、自宅でギターをポロンポロン、とかは?

藤木:いやあ、なかなか、ないですかね。ツアーになると“ギター練習しなきゃとか、曲作んなきゃ”とか、そんな感じですよ。そういう意味で、“よっこらしょ”です。

──3年前の前作が確か、40代突入記念という……。

藤木:そうですね。ツアーが40歳の誕生日から始まって、“-Forty-”というタイトルにしたんですけど。

──そして今回は、デビュー20年というテーマがあるという。

藤木:うーん、確かに区切りではあるんですけど、それは役者デビュー20年なので、音楽とはまた違いますし。ただ、ツアーをやるたびに来てくれるファンのために、ツアーはやりたいなと思っていて。本当だったら、2014年やりたいと思ってたんですよ。でも2014年は蜷川(幸雄)さんの『海辺のカフカ』という舞台のオファーが来て、それを頑張りたいなと思ったので。その時点で、次の年にロンドンとニューヨークでも公演があることが決まっていたんですよ。じゃあそれが終わった後に、ちょうど役者デビュー20周年でもあるし、ツアーをやりたいなということだったんです。

──はい。なるほど。

藤木:『海辺のカフカ』は15歳の少年が主人公で、原作の村上春樹さんがこの作品について、“僕はいつでも15歳の少年に戻れた”ということをおっしゃっていたので。そういえば僕も未だに、17歳でギターに出会った時の感覚を忘れてはいないので、それでアルバムのタイトルを、僕が17歳だった『1989』にして、ツアー・タイトルとして“17 Till I Die Tour”にしようと。だから“このアルバムの曲のどこが1989なんだ?”と言われても、“特にないです”と(笑)。もともとコンセプチュアルなアルバムを作るというのが、あんまり自分の中にないので、タイトルはタイトルということで(笑)。

──あえて言うなら、初心とか、原点とか、そういう気持ちがこもったアルバムですかね。

藤木:そうですね。かといって、そういう曲ばかりか?といったらそうでもなくて、ギターすら入っていない曲もあるし(笑)。それはそれで、今までいろんなタイミングで……デビュー当初はプロデューサーの(寺岡)呼人さんに作ってもらった世界観を、ライブでシライシ紗トリさんが広げてくれて、一緒に音源を作るようになって。それから、もっと可能性を探るということで、いろんな人に曲を書いてもらって……という紆余曲折がありながら、ここまでやってきて。今回も、また川村(結花)さんにも曲を書いてもらっているし、新しい人にも書いてもらっているし、そういう意味で、今までやってきたものの延長線上にあるアルバム、という感じですね。


▲「1989」

──内容の話に入る前に、このジャケットに写ってる白いレスポール。これ、ツアーでずっと使ってるものですよね。

藤木:そうなんですよ。音楽のデビューが決まった時に買ったものです。いつも僕の家にあるわけじゃなくて、倉庫にしまってあるから、ツアーをやるたびに出してくるんですけど、相当黄ばんでてビックリしました(笑)。黄ばんでるというか、色が褪せたというか。白いレスポールとして買ったはずなのに。それを見て、“俺も同じだけ劣化してるのかな~”と思って、ぞっとしましたけど(笑)。

──何を言ってるんですか(笑)。

藤木:でも、大切な相棒ですよ。

──ちなみに、ギター、何本ぐらい持ってるんですか。

藤木:全然持ってないですよ。ツアーをやるたびに、新しいギターを作ってもらって、使うギター自体は増えていきますけど、僕自身はコレクターじゃないですし。家に1本あればいいやというタイプ。いまライブで一緒にやっているギタリストの円山天使さんにつきあってもらって、楽器屋さんへ行って買ったストラトと、あとはアコギが1本と。押入れの中には何本かありますけど、その2本があれば十分です。そのストラトがまた、弾きやすいんですよ。

──ステージを拝見すると、本当に楽しそうな顔でギター弾いてますよね。永遠のギター小僧という感じで。

藤木:それこそ17歳の時に夢中になって、夏休みに1日8時間ぐらい練習して。未だにその時のままなんですよ。いろんな仕事をしているし、たとえばラジオとか、素に近い仕事もありますけど、ギターを弾いてる瞬間は、本当にギターを楽しんでる自分が一番素なんだろうなと思います。ラジオでしゃべる時は、自分の考えは出ますけど、“こういうことを言ったら誤解されるかな”とか、いろんな思いがあるわけじゃないですか。それも自分の思考だし、自分そのままなんですけど、そうじゃなくて、ギターは……いや、でもギターも、少しでもうまいと思われたくて弾いてるのかも(笑)。

──そんなふうには見えないですけどね(笑)。

藤木:純粋な気持ちだけじゃないかもしれないですけど(笑)。でも一番自分の素に近いと思います。だからライブでギターを弾かせてもらうようになった、その場所はすごくありがたいし、途中から“もっとギター練習しなきゃ”と思って、メトロノームを使って運指練習とか、するようになったんですよ。それまでは、“ギタリストになりたい”と思って始めたんですけど、そこまで熱心にギタリストへの道を探っていたわけでもないですし、役者の仕事のほうがうまく回り始めた中で、やっていたことだったから。それでも、一生懸命昔から弾いていたから、自信もあったんだけど。でも、やっぱりライブでミスタッチをすると、来てくれた人に申し訳ないなと思うじゃないですか。これは、“ちゃんと弾かないとまずいぞ”と。だから高校の時に夢中になってた時よりも、今のほうがギターうまいな俺、という思いはあります。

──最高ですね。

藤木:やっぱり表現できる場所、発表できる場所があるというのが、ありがたいなと思うんですよ。

──アルバム『1989』について聞いていきます。1曲目「Go for it!」は、派手なギターリフでぶっ飛ばすロック・チューン。どんなふうに作った曲ですか。

藤木:これは2014年の4月から、スポーツに関する番組をTOKYO FMでやるようになって、スタッフから“番組のために曲を書いてほしい”というお話をいただいて作った曲です。アルバムの中で最初に手がけた曲ですけど、コンセプトがはっきりしていたので、意外とすんなりできました。最初に思いついたのが、イントロのコーラス部分で、サッカーの応援みたいになったらいいなというイメージで。それと、運動する時の最大心拍数が188という数字をたまたま何かで見つけて、じゃあテンポ(BPM)は188で行こうと。その中で、テンポをハーフに落とす部分もあったりして、というところから作っていった曲です。

──心拍数がヒントになって?

藤木:そうですね。イントロに入っているのは、自分の心音です。番組自体が、「TOYOTA Athlete Beat」という番組なので、自分の心音から始めたら面白いかな?と。どうやったら録れるの?って相談したら、エンジニアの人が持ってきたのが、ヘッドホンなんですよ。マイクとヘッドホンって、理屈は一緒じゃないですか。ヘッドホンを胸に当てて、それを録音しています。

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