【ライブレポート】GEMが3周年ライブ。留学前の武田舞彩に金澤有希「私たち9人がずっとGEMを守るから。」

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伊山摩穂が、「3年でブログの内容が変わった人TOP3」を発表して会場を笑いに包んだところからスタートした2部。こちらも1部と同様に、GEMを作った楽曲が並んだライブコーナーと、ストリート生時代から披露されてきた「りあるマテリアル」「オネガイMoonlight」も飛び出した“テッパン楽曲”によるライブコーナーの間に、メンバーひとりひとりがプロデュースしたトークコーナーが差し込まれる構成となっていた。

中でも見どころだったのは、村上来渚プロデュースによる“Talk Mixture”。3周年ライブで村上は、アコースティックギターを抱えてステージへ。彼女は、「GEMのことを想って、歌を作りました。」と、自作曲を用意。これを10人で披露したのだ。

本人曰く、初心者が思いつきで作ったというこの曲。緊張もあって村上のギターはたどたどしく、弾き直す個所もあった。純粋にパフォーマンスとして判断してしまうと、ステージで披露するレベルにはまだ達していなかった、と言われても仕方がない。

しかし、だからこそよかった。

全国各地のスクールからエースクラスのメンバーが集められて結成されたGEM。そんなグループであるがゆえに、グループ全体というよりも、個々の魅力にフォーカスされがちだったのも確かだろう。そんなGEMの中でも、負けず嫌いで向上心の塊というべきストイックさと高いスキルを持つのが村上来渚。そんな彼女が、我々の前で、不慣れなギターと必死に格闘する姿。弾き終わったあとには、ギターを抱えて涙も見せた。そこにはいろんな感情が混ざっていたとは思うが、きっと上手く弾けなかった悔しさが大きかったのではないだろうか。現に本人もライブ後のブログで「ちょっと悔しくて泣いてしまったけど」と綴っている。

ただ、それよりもこのパフォーマンスは、“あまり目にすることができなかったグループとしてのGEMの姿”を描き出していた。それは、ひとりひとりが、村上のギターに寄り添うように笑顔で歌い合う姿。誰かが出しゃばってパフォーマンスを牽引したりせず、ただ、懸命にギターを弾き、想いを伝えようとする村上を信頼して、彼女が初めて作った曲に自信をもって、音に寄り添い、歌詞に寄り添い、歌を届ける姿。

“KIZUNA10”という裏テーマだった3周年ライブ。村上来渚のコーナーは、まさに10人の絆を象徴したワンシーンだった。

「思い通りにいかんこといっぱいあって、自分が思っていた自分にはなれてなかったりして、自分も悩むこともいっぱいあるけど、ひとりじゃないし、この10人でどんなことがあっても乗り越えていこうねって気持ちを書いた歌でした。ありがとうございました。」── 村上来渚

その想いは水紋のようにフロアにやさしく広がっていき、すべての観客から村上来渚とGEMに鳴り止まないほどの喝采が送られた。

“Talk Mixture”のラストは武田舞彩。ロサンゼルス留学まで残された時間もわずかとなった舞彩は、メンバーに宛てて書いた手紙を披露する。だがしかし、単なるお手紙に終わらないのが彼女のすごいところ。先日行なわれた武田舞彩ソロイベントの記事でも書いたが、“一筋縄ではいかないのが武田舞彩”なのである。

「ひとつだけちょっと申し訳ないことがあって……」と、舞彩は“学校のお便りを入れている茶封筒”の中から手紙を取り出す。「封筒と便箋がなかった」と舞彩は話していたが、しかし個人的に渡すものではなく、ステージ上で披露する手紙に茶封筒。しかも、多分A3サイズ。昨今、便箋と封筒なんてコンビニでいつでも購入できるにも関わらず、だ。恐るべし武田舞彩。……しかし、同時に誰もが確信したはずだ。

「ああ、武田舞彩はロサンゼルスでもたくましくやっていけるわ。」と(笑)。

「今日は、10人一旦ラストの単独イベントで、GEM結成3周年の記念日です。結成された時は、こんな未来になるなんて予想もしてなかったです。」

「We're GEM!」のオルゴールサウンドが流れる中で、手紙を読み上げる舞彩。各地方のセンターやエース級が集まったGEMのメンバーになれて嬉しかったこと。しかしその中で、歌もダンスもまだまだ未熟だった自分がセンターに任命され、みんな納得できなかったんじゃないか、という思い。GEMになって楽しいこと、苦しいこと、辛いこと、メンバーとうまく行かない日や毎日泣いていた日もあった。正直辞めたいと思った時もあった。留学を決めた時、舞彩がメンバーに自分の想いをなかなか伝えられなかったこともあって、その決断を受け入れてくれるメンバーのほうが少なかったこと。最悪な雰囲気の中で留学することになるかと思うと、辛くて悲しかったこと。留学を決めてからも、たくさん悩んだこと。でも、ちゃんと気持ちを伝えたら、みんな応援してくれたこと。

「10人という言葉を大事にしてきたのに、私が一旦いなくなるから、10じゃなくなるっていうのがすっごい悔しくて。でも、絶対に戻ってくるから。みんなで武道館目指そう。GEMなら絶対立てるって信じてます。」

涙まじりでの舞彩の告白に、会場は静まり返る。

「ほかの誰でもないGEMの最高のリーダー、ゆうきりん。すごくやさしくて真面目な千咲美。的確なアドバイスをくれる、私のお姉ちゃんなちゃんまん。人柄が大好きで、人として尊敬してるなっちー。どんな時も隣りにいてくれる最高なパートナーの珠琳ちゃん。一緒にいて笑顔になれる、楽しい気持ちになれるかこちん。負けず嫌いで競い合えるパートナーのらなちん。喧嘩もしたけど一番愛を感じたまほち。同級生でとっても頼りになる、素直なさららん。Best 10ct Forever. 絶対に、みんなで夢を掴もうね。」

この10人だったからこそやってこれたという舞彩。涙ぐむ9人に向けて「私が留学から帰ってきて、約2年後は、GEMが一番輝けるグループになれると思う。GEMはそういうグループだと信じているので、絶対にみんなで上を目指して、下を向かないで頑張っていけたらいいなって思います。」と決意を語る。ところがここで「離れていてもずっとGEMなので、これからも……辞めないで。はい。辞めないでほしいです。」と、いきなり辞める辞めないの話を持ちだす。

ワンマンライブの品川ステラボールでの「スーパーサイヤ人になる」宣言と同じ微妙な空気感にしてしまうところまでを含めて、どこまでも武田舞彩クオリティーであった。

なお、ここで金澤から、武田舞彩ロサンゼルス留学発表後の定期公演からスタートした“Talk Mixture”の順番が、実は3年前の日本武道館でGEMの正式メンバーとして名前が呼ばれた逆順だった、というタネ明かしも行なわれた。
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365日、アイドルが作るアイドルメディア Pop'n'Roll 準備号創刊

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