【インタビュー】丸本莉子「すごく辛い、苦しい、でもこの感情は歌にしたい」

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知人の「死」をきっかけに生まれたシングル「誰にもわからない」を11月30日にリリース。12月21日には、この曲がタイトル曲になったミニアルバム『誰にもわからない~何が幸せ?~』をリリースする丸本莉子。今作では、難しいテーマに挑戦した新境地のタイトル曲を筆頭に、「幸せ」について問いかける。恋愛や人との出会い、故郷のことなど、人生の一部を切り取ったような楽曲がカラフルに並ぶ一枚だ。

◆丸本莉子~画像&映像~

■今までこういうシリアスな曲がシングルになることってなかったので
■そういう曲がシングルになったというのは、この曲に力があったんでしょうね


――まず、11月30日に先行シングルとして「誰にもわからない」が配信されていますね。その後、12月21日にミニアルバム『誰にもわからない~何が幸せ?~』がリリースとなりますが、どんなテーマで作っていったんですか?

丸本莉子(以下、丸本):最初にミニアルバムを制作することが決まっていて、そのメインの曲として「誰にもわからない」を作ったんです。ミニアルバムには、今まで作曲してきた中で、まだCD化されていない曲を入れようということで気持ちは固まっていて。だから、テーマというより、今までの私自身がいろんな感じで入っています。曲によってもいろんなテーマがあるので、聴いた人が自分が思う「幸せ」について考えるきっかけになるものになったらと思って1枚にまとめました。「誰にもわからない」以外はポップなんですけどね。


――確かにそうですけど、いろんな面があるということはわかります。シングルはバラードが多かったけど、今作はそういう部分だけじゃないというのもわかるし。「誰にもわからない」が一番最近作った楽曲なんですか?

丸本:はい。

――知人の「死」をきっかけに作ったとのことですが、「死」を扱うことって難しいですよね。ストーリー仕立ての楽曲で、曲中で人が亡くなってしまうものとか、亡くなった人のことを歌う曲はありますが、この楽曲はそういう楽曲とも違った視点から「死」を描いていると思いました。

丸本:この楽曲が生まれたきっかけは、知り合いのカメラマンさんが亡くなったことなんです。そのカメラマンさんとは「今度飲みに行こうよ」っていう約束をしていたり、「亜人」っていう漫画を借りていたりしていて。だから亡くなった時は、この間まで生きていた人にもう会えないということが、悲しいんだけど、悲しいだけじゃなくて、「なんでだろう?」って思ったんです。逆に、「人間のもろさ」を冷静に感じてしまって。

――突然いなくなってしまうとそうなりますよね。

丸本:このモヤモヤした気持ちを歌にしたいなと思ったんですけど、テーマとして難しくて。この気持ちをどう歌えばいいんだろうって。

――でもどうしても歌にしたかった?

丸本:はい。だけど、この気持ちを表現する方法がわからなくて、そのまま2年くらいが経って、これは曲にできないやって一旦そのままにしていたんですね。

――着地点が見つからないと難しいですよね。

丸本:はい。でも、寝かせていた曲を急に仕上げたくなって。つい最近も、以前、対バンしたことのあるミュージシャンの方に不幸があって。Facebookでも「絶対病気に負けない!」ってリアルタイムに更新していて。その頑張りや、苦しそうだった姿もずっと見ていて、頑張ったからって救われるという保証はないけど、かたや幸せな人はいて。その不平等さに「これってなんだろう!?」という思いがこみ上げて。様々な感情に答えを出すんじゃなく、これを吐き出そうと思って書き上げた楽曲です。

――最初は答えを見つけようと思ってたから書けなかったのかな。

丸本:そうかもしれないですね。答えを見つけるのは絶対に無理だと思って、答えを言うんじゃなく、気持ちを吐き出そうと思ったんです。もしかしたら、どこかで生きてるかもしれないとか、そういう妄想もして。この歌で、終わるんじゃなくて続けばいいなと思って、「すれ違ったような気がした」という締め方をしたんです。

――きっかけはカメラマンさんが亡くなったことでしたけど、今、生きている自分がいる場所の歌になっていますよね。もがいているような感じもあって。

丸本:そうですね。こんなことを言っておきながらなんですけど、生きていると、「生きてるのが辛い」って思うようなことも日常にはたくさんありますよね。そういういろんな感情を入れました。もともとこの曲をシングルにすることは想定していなかったんですけど、ファンクラブイベントで歌ったのを聴いていたビクターのスタッフさんが、「これはシングルにできるかもしれない」と。そこから作詞家の藤林聖子さんに入っていただいて。

――「ガーベラの空」に続いて二度目の共作ですね。

丸本:より多くの人に共感してもらうんだったら、彼がいなくなったことを歌にするんじゃなくて、いなくなったことによってどんな気持ちだったのかということをもっと表現しなきゃいけないというところで、藤林さんには入っていただいたんです。最初、私は「彼」っていう表現をしていたんですけど、その「彼」が「あの子」になったり、少し手を加えていただきました。いろんな人がいろんな状況で感じてもらえる楽曲にするお手伝いをしていただいたという感じでした。

――確実に、亡くなった方の存在感はあるから、拭きれない切なさも曲の中に流れているけど、聴いた時の印象は、「死」というよりも「生」が強い気がします。それは力強いサウンドアレンジのパワーの結果でもありますね。

丸本:楽器のレコーディングは一発録りだったので、私もブースに入って一緒に歌わせてもらったんです。ドラムとかもすごい力強くて。ヴォーカルを収録したのは別の日だったんですけど、楽器のレコーディングに参加させてもらった経験が、歌にもすごく反映されています。でも、今考えると、もっと歌えたんじゃないかとも思うんです。

――どこらへんが?

丸本:歌はすごく練習したんです。ボイストレーニングの先生にも「悲しそうに歌ったら、逆に明るめのトーンに聞こえちゃうから、怒りを込めた歌声で歌いなさい」って言われて。それで何度も練習したんです。歌い終わった時は「しっかり怒りを込められた!」って思ったんですけど、あとから聴くと、もっと出来る気がして。何度も練習したからこそ自分ではそう思えてしまうだけで、聴いてくれる人はいままでの私の歌い方とはまったく違うと感じてくれると思うんですが

――思いました。

丸本:またライヴでその激しさはさらに育てていきたいなと思います。

――歌えば歌うほど味が出て来そうな曲ですもんね。

丸本:はい。今までにない曲だねって言われるんですけど、私としては、こういう曲も作っているんです。ただ、今までこういうシリアスな曲をシングルにすることってなかったので、そういう曲がシングルになったというのは、この曲の持つ力というか、何かがあったんでしょうね(笑)。

――2曲目からは世界観がガラっと変わって。シングルにもなっている「ガーベラの空」ですね。ライヴでももうたくさん歌った曲でしょう?

丸本:だいぶ歌いました。最初は、共作した歌詞ということもあって、どこか不思議な感覚だったんですけど、もう自分のものになりました。こんな女性になりたいという思いで歌っております!

――「糸」は中島みゆきさんのカバーですが、この曲もずっとライヴで歌って来た楽曲なんですって?

丸本:はい。父と母がカラオケ好きで、小さい頃から連れられて行っていました。当時は、子供の曲とか流行ってるアイドルの歌を歌っていたんです。でも、ちょうど物心着いた時に、中島みゆきさんの「糸」が主題歌になっている「聖者の行進」というドラマを見て、すごく衝撃的なドラマだったのを今でも覚えていて。そこで初めてアイドルや子供の曲ではなく、ニューミュージックである「糸」がいい楽曲だなと思って、カラオケでも歌うようになったんです。その時からずっと好きな楽曲だったのでストリートライヴでも歌うようになって。ストリートライヴって、普段出会わない人と出会えるっていう素晴らしさがあるんですけど、この「糸」という楽曲とすごくリンクするんです。「糸」は、みんなに愛されている曲なので、ストリートライヴで歌うと、お客さんとの距離をより近づけてくれるんです。だから今回収録できて嬉しいです。

――しかも一発録りでレコーディングしたんですよね。

丸本:はい!全員でブースに入って、せーので録りました。今回の「糸」は、普段弾き語りで歌っている「糸」ともまた違います。結婚式で流れるような感動的な「糸」ではなくて、すーっと染み込んでいくような「糸」になったなぁと思っていて。それはやっぱり、ウッドベースとガットギター、パーカッションっていう生音でみんなで一斉に録ったから出た雰囲気なのかなと思います。

――結婚式の「糸」はもっと「運命の!」とか「永遠の!」みたいなスケールの大きい感じがするもんね。この「糸」はもっと日常ですもんね。

丸本:そうです、そうです!

――最初に出会ったのは子供の頃ってさっき話してましたけど、当時は歌詞の意味をわかっていましたか?

丸本:わかってなかったです(笑)。ただ感動する主題歌っていう感じで、歌っていて気持ちいい曲だな、とは思っていて。声が通るというか。でも意味は全然わかってなかった(笑)。だんだん大人になるにつれて、いい歌詞だなぁって。

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