【インタビュー】minus(-)、1stフルアルバム完成「2人でつくりあげてきた作品の最終盤」

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■これからもminus(-)でやっていく以上
■『O』で打ち止めというわけじゃない

──歌詞はこれまでminus(-)というクレジット表記になっていましたけれども、今回はいかがでしたか? 言葉を綴っておられるのは森岡さんなんでしょうか?

藤井:新曲はそうですね。本人の歌い回しとかがあるので……とは言っても別に、あの人は最初から英語で書いてるわけじゃないんですが。新曲の歌詞は全部森岡です。翻訳してみると分かるんですけど、言ってることは100曲書いたら100曲全部一緒なので、ま、いつもの感じです(笑)。

──「LIVE」に関しては、聴いていてとても複雑な気持ちに襲われました。「生きよ!」と歌っている当人の森岡さんが、今ここにいないと思うと、どう受け止めていいのか分からない気持ちになってしまって……。でも、もがきながら、常にその先の光を求めている歌詞ばかりですよね。

藤井:光、求めてます?

──はい、どんなに暗く塞ぎ込むことがあっても前を向こう、一人じゃないよというメッセージを、森岡さんは20年ぐらい前から一貫して放ち続けて来られたのではないかな?と思うんです。

藤井:一貫してというか、一つの道しかないんで(笑)。まあ、“森岡節”な歌詞ですよね。

──これまでのミニアルバム2作品は、完璧につくり込むのではなく、ライヴで進化していくことを想定して余白を残した状態でリリースしてこられた、とお話しされていましたが、今回は、お2人の形での最終形なので、また事情が違いますでしょうか?

藤井:まあ、でも結局そうなりますけどね。これからもminus(-)でやっていく以上、『O』で打ち止めというわけじゃなくて、『O』の中に入っている曲も、ライヴで毎回変わっていくと思うし。「『O』で完結させる」と一時期インタビューで言っていたのはあくまでもその時点の意見であって。それ以降、「minus(-)はやっぱり、ちゃんと続けていこう」というふうに考えが変わったから、“打ち止めバージョン”にはなってないです。締め切りの時点でのベストにはなってますけども。年末(12月28日@新宿ReNY公演<minus(-)LIVE 2016 “Vermillion #2”>)は分からないけど、3月にツアーでやる時はまた違う形になってると思うし。

──ツアーについては後でまた伺いたいのですが、『O』というタイトルは、『D』『G』が出たタイミングで決まっていたんですよね? “O”というアルファベットは何を指しているんでしょうか?

藤井:『G』と『D』のコンパイル盤+新曲ということで、とりあえず円が閉じるイメージ、輪っかになるというコンセプトがあって、このタイトルにしています。だからジャケットもその丸っこいものをモチーフにしていて。今回は写真(アーティスト写真やジャケット写真)のイメージから何から、最初から僕の中で決まっていて、“肉と花”というヴィジュアルも最初からありました。今までは、アートディレクターに「こんな感じで」というイメージを伝えるというやり方で、『O』みたいに、絵を描いて明確に提示することはなかったんですけどね。

──そういう絵というのは、Macで描かれるのですか?

藤井:いや、もう手描きで。ノートか何かに「こんな感じ」って。生身の人間がつくるハンス・ベルメール的な造形。

──アイディアが降りてきた、という感じですか?

藤井:いや、僕そんな憑依体質じゃないので(笑)。

──なぜ今回はそこまで明白なイメージが湧いて来たんだとご自分では思われますか?

藤井:全然、分かんないです。

──ジャケットのお肉、パッと見て何がどうなっているのか、すぐには分かりませんでした。

藤井:はい、それも実はテーマの一つで。

──手なのか、はたまた臀部なのか。ちょっとドキドキしますよね。

藤井:そう。あれを“肉体山脈”と呼んでいたんですけど。

──その山脈に、森岡さんと藤井さんが何とも言えない表情で存在していて、ユーモラスです。芝居付けも、藤井さんが監督としてなさったのですか?

藤井:「2人がぴょこんと出てる感じ」とだけ言って、あとはそれぞれ勝手にやりました。

──何かに驚いた表情を森岡さんはなさっていて、藤井さんはちょっと悪企みしているような……。

藤井:森岡が亡くなる2、3日前の撮影なので、今思うと「ちょっと待って~!」と言ってるみたいで、シニカルですよね、かなり。

──あのお肉は、リアルな人体なんですか?

藤井:はい、人ですよ。鍛え上げられた人。プロレスラーの方みたいですね。僕は「こんな感じのお肉の人を探してください」と言っただけなんですけど、モデルさんを探すのに、周りのスタッフは苦労したと思います(笑)。

──面白くて、非常に強烈なインパクトのあるアートワークです。

藤井:うん、かわいいと思います。

──(ブックレットに掲載される予定の画像を見ながら) この裸体は……男の方ですか?

藤井:いや、女性です。男だったらちょっと、僕としては撮影が嫌ですね(笑)。

──フェリーニの映画に出て来そうな、シュールなヴィジュアルですね。この花は、ドライフラワーですか?

藤井:うん。死んだ花を使いたかったんですよ。とにかく綺麗なプリザーブドフラワーを使いたい、というのがあって。

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