【インタビュー】minus(-)、1stフルアルバム完成「2人でつくりあげてきた作品の最終盤」

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藤井麻輝と森岡賢のユニットminus(-)が12月28日、1stフルアルバム『O』とライブBlu-ray&DVD『V』を2作同時リリースする。フルアルバム『O』は2016年6月に急逝した森岡賢のPCに残された3つの新曲に加え、ミニアルバム収録曲よりゲストヴォーカルによるナンバーをminus(-)のヴォーカルに変えて制作された別バージョンなど、全11曲を収録した。一方のライブBlu-ray&DVD『V』は2016年2月、平沢進をゲストに迎えて行なわれた森岡最後のステージとなる恵比寿LOQUIDROOM公演<minus(-)LIVE 2016“ecru”>と、8月に赤坂BLITZで開催された<minus(-) LIVE 2016 summer“Voltaire”>の2つのライブをコンパイルしたもの。アルバム収録曲とは異なる新曲のプロトタイプや、赤坂BLITZの最後に披露されたSOFT BALLETの「AFTER IMAGES」も収録されている。

◆minus(-) 画像

BARKSは藤井麻輝に、森岡賢の逝去、minus(-)の今後など、1stフルアルバム『O』制作から2017年春のツアー開催決定に至る経緯まで、じっくりと話を訊いた。同ツアー<minus(-)×Jugendgedenken>は森岡の急逝に伴い中止となった全国6ヵ所を廻るものであり、minus(-)サウンドの現在を鳴らす旅になるはず。minus(-)は続いていく。

   ◆   ◆   ◆

■整合性を上げていく作業に
■時間を費やしたという感じです

──11月19日のJさんとの対バンライヴ<J 2016 LIVE 10 days of GLORY -10 Counts for Destruction->の際、藤井さんが途中から前に出て来てヴォーカルを執られたことに驚き、感動を覚えました。あの形に至るまでには、どういう道筋があったのでしょうか?

藤井:いや、道筋はないですよ?

──いつもなら藤井さんはステージ後ろに控えたまま、闇の司令塔のような立ち位置をキープされている印象があったので、衝撃的だったんです。

藤井:いや、あのポジションになったのは、2015年の(新宿)ReNYとか、そのくらいからです。ここ1年ぐらいの立ち位置がたまたま“後ろが面白いな”と思っていただけで。最初は僕と森岡(賢)の2人で前にいて、後ろにドラムという感じでやってましたし。だから、右に2メートル移動したぐらいのものです。

──微妙な横移動に過ぎない、と。でも、藤井さんがマイクを持って歌われる姿に、“minus(‐)を背負っていくんだ”という覚悟のような強い意志を感じまして。

藤井:そんな、大袈裟な(笑)。

──minus(-)というバンドが、森岡賢さん亡き後どうなっていくのか?が分からない状態でずっと待っていましたので、一つの“姿勢出し”みたいなものだと感じて、とてもうれしかったんです。

藤井:いやあ、それほど大きく捉えていただくと、逆に困っちゃいます。

──そうですか? ではとにかく……1stフルアルバム『O』についてお聞きしていきますが。元々は7月頃リリースの予定だったんですよね?

藤井:うん、はっきり覚えてないですけど、7月か8月ぐらい。

──それが、6月に森岡さんが急逝なさったことで、一旦作業が止まって。

藤井:はい。その時点で、ミックス直前の段階まで進んでいました。

──その状態から音を一回解体して、細かいところを詰め直して完成させた、という認識で合っていますか?

藤井:えーっと……解体して、10月ぐらいに再構築したんですけど、それを「やっぱ、やーめた」にして。それで、もう一回つくった感じです。

──10月の段階では、どういう形になっていたんですか?

藤井:その時は、もっと暗い感じだったのかな? 僕っぽい、というか。

──「やーめた」というのは、どういう理由からだったんでしょうか?

藤井:まあ、半年も経つと人の心は動くもので。気分的に“違うかな”って。

──気持ちが変わるきっかけというのは、時の経過以外に何かあったんですか?

藤井:いや、ないです。というか、歌のアップデートができないので、自動的に。

──歌以外の部分を変えても、森岡さんのヴォーカルを録り直すこともできないし、という。

藤井:そうですね。オケにつれてアップデートできないんで、どんどん乖離して行っちゃうし。それで面倒くさくなった、というのが正直なところかもしれません。だから、ミックス直前まで行なっていた状態のものに戻って、それをリリースできる形にするために、もう一回つくり直すというか、整合性を上げていく作業に時間を費やした、という感じです。

──6月にインタヴューを受けられた雑誌記事では『O』を“2人でつくり上げた最後の作品”として提示するのがいいのかどうなのか、葛藤が生まれてきた、とお話されていましたね。

藤井:はい。だからまあ、そういう意味ですね。

──ということは、最終的には、今仕上っている『O』の着地点というのは、お2人でつくりあげてきた作品の最終形になっている、と?

藤井:最終形というか、最終盤? ま、森岡がいなくなったんで、これ以降はないんで。

──本当に、残念でなりませんが……。ミニアルバム『D』『G』でゲストヴォーカルを迎えていた曲を、森岡さん、藤井さんが新たに歌っていらっしゃるものに加え、3つの新曲が収められています。2月22日の恵比寿LIQUIDROOMでのワンマンライヴの時点で、2曲は既にありましたよね?

藤井:そうですね、あの時には「NO PRETENDING」だけがなかったです。

──「LIVE」と「BEAUTY」は、仮の歌詞で披露されていた記憶があります。

藤井:仮、というか (「LIVE」は) U2のパクリですね(笑)「なんかどっかで聴いたことあるんだけど、これ何?」と訊いたら、「U2だよ~」って(笑)。これホントの話ですよ? ニコニコ生放送での同時生中継だったので、「シャレにならないじゃん!」という話になって。

──……(笑)。歌のレコーディングの時は、藤井さんがディレクションされたのですか?

藤井:1回だけそれをやってみたんですけど、懲りちゃって。

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