【インタビュー】10-FEET、「ヒトリセカイ×ヒトリズム」完成「思い続けていることを切にひたすら」

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10-FEETが2月1日、ニューシングルをリリースする。約4年ぶりの前シングル「アンテナラスト」がオリコンチャート自身最高位の5位を記録、先ごろ開催された自身主催<東日本大作戦番外編>を大成功に収めるなどピークを更新し続ける彼らが、バンド結成20周年、主催フェス<京都大作戦>10周年の節目となる2017年第一弾として放つシングルが「ヒトリセカイ×ヒトリズム」だ。

◆10-FEET 画像

TAKUMA曰く、「やるなら、今、このタイミングかなと思った」という収録3曲は「アンテナラスト」でみせた新機軸に加え、彼ららしさに溢れたサウンド&アレンジが渦を巻くアプローチなど、10-FEETの現在がギュッと凝縮された仕上がりをみせた。BARKSは「ヒトリセカイ×ヒトリズム」に描かれたヴィジョンはもとより、昨年末の<AIR JAM 2016>や開催発表された氣志團との対戦型フェスイベント<THE GREAT ROCK'N'ROLL SEKIGAHARA 2017 ~万博大作戦日本シリーズ~>、そして<京都大作戦2017>について、3人にじっくりと話を訊いた。10000字におよぶロングインタビューを公開したい。

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■“10-FEET全開”を今の10-FEETが
■思い切りやるという表現

──ニューシングルに収録された「ヒトリセカイ」はストレートな曲になりましたね。

TAKUMA:そうですね。

──どのように作れられていった曲ですか?

TAKUMA:これは、歌とギターとベースとドラムで作りました。

KOUICHI:その説明じゃないな(笑)。それはわかってはる。

TAKUMA:そうか(笑)。これは結構長いことアレンジしていた曲ですね。1年くらいかかったんじゃないかな。4年間新作が出てなかったなかで、わりと早いうちから元ネタも手をつけていた曲で。歌詞もある程度、“こういう世界観だな”というのが見えていた上で、ずっと完成しなかったんです。

──それは、何かが足りないという感じだったんですか?

TAKUMA:もう一味ほしいなというところで、主にBメロをずっと試行錯誤していて。サビも何回か形を変えましたけど、巡り巡って、一番最初にやっていた頃の感じに戻って……というところに落ち着くまでがものすごく時間がかかりました。でもそれをやっていなかったら気が済まなかったので。みんなで長くトライしてよかったなと思います。

──試行錯誤をして、最終的にカチッとはまった瞬間はあったんですか?

TAKUMA:まあ、こんなとこちゃうかってアレンジを終えて、レコーディングしている時、さらに微調整してカチッとくるようにしていった感じですかね。歌の譜割も含めて。

▲TAKUMA (Vo&G)/<東日本大作戦番外編>2017.1.14-15@ゼビオアリーナ仙台

──ある程度、世界観が見えていたという歌詞ですが、どういうことを楽曲に表現しようと?

TAKUMA:完成してから歌詞を眺めて、“使っている言葉は抽象的だったり、大きな表現かな”とは思ったんですけど。“実はこういうことを伝えたい”っていうものは、今までずっと持ち続けているものときっと一緒で。うまくいってない時の自分を肯定するというか。“うまくいってないことが、うまくいくためのいち工程である”というふうには、自分自身、ハマちゃっているときは思えないので。いくら周りからそう思えたとしても、自分はそう思えないんです。けど、誰かの歌を聴いた時、歌詞を見た時に、そう思える瞬間が唯一あって。そういう力を持っている曲や歌詞を作りたいと思い続けているんです、ずっと。ひたすら切に持ち続けながら作ったのが「ヒトリセカイ」ですね。

──なるほど。

TAKUMA:いつもの感じやったら、もうちょっと事細かに歌うんですけど、この曲って、すごく力が入っていたというか思いが強くて。伝えたいっていう強い思いがあるだけに、結果、言葉が大きく、抽象的なものになったなというのがあります。作っている時は、そうは思わなかったんですけどね。でも、誰にでもわかる言葉選びをするんじゃなくて、そういう思いがあるからこそ、こういう言葉でしか言い表せないんだという言葉のチョイスになったと思うんです。それはきっと歌のあり方として、とても自然なんじゃないかなと思ってます。

──たくさんある曲の中で、ストレートではあるけれど一番歌の行間というものを感じた曲でした。

TAKUMA:歌詞カードにも改行を入れましたからね(笑)。

KOUICHI:そういうことじゃないな(笑)。

──ははは。誰かが、そこに入れる余白とか余地がある曲だなと思いました。

TAKUMA:ありがとうございます。

──楽曲アレンジはどういったところを意識しましたか?

KOUICHI:TAKUMAが持ってきた元ネタをみんなで肉付けしていくというのは、いつも通りで。「火とリズム」もそうですが、みんなでああだこうだと言いながらアレンジしていって。

NAOKI:わりとメロディが大きくて広さがある感じやったので、ベースはそれをより増幅させるというか。そういうイメージは作りやすかったですね。

──では、レコーディングも順調に?

NAOKI:「ヒトリセカイ」はレコーディングしたのが結構前なんですよ。前シングル「アンテナラスト」よりも前に録っているんです。レコーディングは至ってスムーズだったと思います。

TAKUMA:最後の最後にイントロをちょっと変更したくらいで。あとはわりとアレンジし終わった時の状態をそのままレコーディング本番で出したという感じですかね。

──変更したイントロというのは、“ギターストロークからサビ頭”の部分?

TAKUMA:そうです、そこです。最初は、ゆっくりなテンポで始まって、ダーンと速くなる仕様だったんです。

──切ない旋律だから、テンポを落とすとバラード調になりますよね。だいぶ曲の印象も変わったんじゃないですか?

TAKUMA:全然変わりましたね。そこが曲のイメージを左右していると思います。ちょっと歪ませてローファイっぽくしているんですけど、それはバラードっぽく始めようとしてたときからあったアレンジで。イントロとオールインしたところでは世界観を分けたかったんです。

▲シングル「ヒトリセカイ×ヒトリズム」

──そこに楽曲の持つ物語が感じられます。順番として、「アンテナラスト」よりも先に録っていたということでしたが、こちらが2017年のリリースとなったのは何か理由が?

TAKUMA:去年夏のシングルとして、最初はこの「ヒトリセカイ」も候補に入っていたんです。だけど、前作からしばらく間が空いて出すシングルとしては、(「アンテナラスト」が) 今までの10-FEETを踏襲してない感じがよかったというんですかね。“10-FEETで出来ることや表現したいことを、10-FEETでは聴き慣れていない部分で伝えられるのが一番いい”、多分そう思ったんです。その一方で、“久しぶりやからこそ、いかにも10-FEETらしいものを作るべき”というのもあったんですけど、それだとしっくりこなかったというか。

──「ヒトリセカイ」の試行錯誤には、そういう部分もあったんですか?

TAKUMA:「火とリズム」あたりがまさにそうだったんですね。アルバム『thread』(2012年発表)を経て、“さらに新しいものを”という意味では、そんなに冒険をしてるふうには思わなかったというか。もっと10-FEETにはなかったような感じをずっと探していた気がします。“それがなんなのかな”というところの答えとして、新しいジャンルをということではなくて、「アンテナラスト」の歌からスッと入っていく表現が自然に出てきたんだと思うんです。それを経たからこそ、「ヒトリセカイ」は、“10-FEET全開”を今の10-FEETが思い切りやるという表現。やるなら、今、このタイミングかなと思ったんですよね。

──はい。

TAKUMA:今回の「ヒトリセカイ」と「火とリズム」は自分で聴いてみても、10-FEETがアルバムを出したら入っていそうな2曲なので。3曲目の「[final day]」もそうですけどね。それをより濃くというか。『thread』から4、5年経って、その年月もプラスされた表現だなと自分で感じています。

──結成20年という節目を迎えるのにもふさわしいシングルですね。

TAKUMA:このタイミングでこれを聴かせるという状況を「アンテナラスト」が作ってくれたのかなと思いますしね。特になにも狙ってはいなかったんですけど。

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