【音踊人 41】ライブレポート「自分が笑顔になっていれば誰かの役に立っているから」オメでたい頭でなにより レコ発☀日の出ワンマン(つかさ かなで)

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正月気分が冷めやらぬ3連休最後の1月9日、オメでたい頭でなによりの<レコ発☀日の出ワンマン”SHOW-GUTS!”>が渋谷MilkyWayにて行われた。まずはこちらのライブダイジェスト動画をご覧いただきたい。ライブの雰囲気と熱量が画面を通して伝わってくる映像である。



メンバー一同が前々から告知していたように、ライブ前から様々な仕掛けが施されていた。まず驚かされたのが入場時だ。会場スタッフの誘導で、オメでたのシングルCDを祀った神棚へ二礼二拍手一礼。小さいながらも、賽銭箱や本坪鈴まで用意された本格的な社(やしろ)である。

前衛的かつオメでたい入場を済ませたかと思えば、一月の寒さとは裏腹に渋谷MilkyWayは異様な熱気に包まれていた。前売りチケットはソールドアウト、当日券の販売も無く、日本で一番人口密度の高い場所と言っても過言ではなかっただろう。ステージの上には熊手、しめ飾り、日本酒、狐面などお正月ならではのアイテムが並び、これもオメでた流の新しい試みの一つだった。もはや恒例となっているVo.赤飯によるラジオ風番組【オールナイト開場】が流れ始め、メンバーの登場を今か今かと待ち望んでいるフロアの様子が窺える。

客電が落ち、琴のオメでたい音色と共にオメでたい袴風衣装を着たオメでたい奴らがステージに現れた。オープニングを飾ったのは、元旦にリリースしたばかりのシングル曲「SHOW-GUTS」。この日がライブ初披露だったが、フロアとのコール&レスポンスはまるで長年演奏し続けてきた既存曲のような盛り上がりだった。曲中で行われる”二礼二拍手一礼ブレイクダウン”もオメでたならではの礼儀作法である。



ここ数カ月対バンでは聴けなかった定番曲とオメでたオリジナル曲が交互にたたみ掛ける前半パート。「ふわっふー」では、赤飯の「ハッピーニューイヤァァァァァァァ!!」という新年の雄叫びと共にスタート。それぞれどこを取っても楽しめるための要素が盛り込まれており、メンバーもフロアもすでに汗だく!「憂き浮きウォッチング」では「一つだけ聞きたいことがあるんですよ!2017年最後まで走れるかー!」「いいともーー!!」というフロアとの掛け合いもあり、ライブの空気を勢いづけていた。

「wosushi〜ウォールオブ寿司〜」では、WOD(ウォールオブデス)のオメでたスタイルを展開! タイトルと曲のテーマに合わせ、シャリ(上手)とネタ(下手)に分かれてぶつかり合うことで寿司になる!という最幸にオメでたい空間が始まった。赤飯は水鉄砲の中に寿司酢に見立てたクエン酸水を入れてシャリ側に向けて乱射! そしてネタ側には醤油に見立てたお茶を乱射! 出禁スレスレのパフォーマンスがオメでた流である。そしてシャリとネタがぶつかり合ったあとにはサークルでグルグル回って回転寿司をフロア全体で表現。赤飯がこの曲で見たかった「思いやりのぶつけ合い」がガッツリ表現されたはずだ。フロアにはオメでた名物・寿司職人の姿もあり、見事なネタとシャリさばきでフロアを盛り上げていた。ちなみに寿司職人は仕込みではなく、単幸暴(たんさいぼう・オメでたファンの総称)のうちの一人が自主的に曲に合わせた寿司職人の出で立ちで登場したのが始まり。こういったところからも、フロア側のライブを一緒に盛り上げようとする意識の高さが窺える。

「P.R.P.」ではメンバー全員が光るサングラスをかけてパリピ風の演出を。衣装が袴風なので何でもアリ。この曲はフレーズの一部に某女性バンドのオマージュを取り入れており、それも聴きどころの一つである。

ここでオメでた初の試み、「みんなが知ってるお正月の曲をアレンジして持ってきました」という前振りから、今日ここでしかやらないという時節を取り入れたカバー曲を初披露。メタルアレンジのその曲は歌い始めて「お正月」であることが解り、フロアには「そうきたか!!」という笑顔が溢れていた。メンバーも折りたたみながら激しいパフォーマンスを見せ、曲中ではステージに臼と杵が登場し、赤飯がブレイクダウンで餅つきを始めるというお正月ならではのパフォーマンスを披露(このあとお餅はお汁粉に入れて美味しくいただきました)。餅つきブレイクダウンの最中、ベースのmaoがその様子を楽しそうに笑顔で見守りながら演奏していた姿も印象的だった。

「餅をついたらお腹がすいたなぁ!?」という曲振りからの「食事」、全員で手を合わせて「いただきます!」はいつ聞いても気持ち良い。続く「大河アッパーカット」では「ここの上の階がハンバーグ屋さんだそうです!俺達のアッパーカットで天井ぶち破ればハンバーグが降ってくるかもしれないぞ!」とフロアを煽る赤飯。おなかすいた。

全編英詞の「Fight for your right」前のMCでは、赤飯がこの曲をリリースした当時を振り返る場面もあった。「この曲は自分自身に喝を入れるような気持ちで詞を書きました。自分の考える正しいことをやっていこうとか、そういうニュアンスの意味なんだけど、是非歌詞を和訳してみてほしい。この歌詞を書いているときはちょうどまだ上手く回っていない時期で、このメンバーと出会って、一緒にやっていこうってポジティブにアウトプットするようになってから全部動き出してここまでこれました。俺は今見たかった景色を見ることができてる。でもこの景色になるまで長かったし、簡単ではなかった。ほんとにありがとう」と楽曲制作時の想いを語る。このMCのあとに歌われたこの曲は、今までよりも一段と、前を見据えた力強さを感じた。こちらもオメでた恒例となっている曲中物販(メンバーが間奏中にフロアに降りて使用禁止サイリウムを売り歩く)や、スタンディングのフロアを全員座らせてオールシッティングからの大ジャンプも、ステージとフロアの垣根を取っ払った時間だった。

「おにゃのこ きねんび」「さくらんぼ」では、唯一先ほどの曲中物販で売られた使用禁止サイリウムの使用許可が下りるパートである。このときだけフロアは拳ではなく赤いサイリウムで埋め尽くされ、さながらアイドルのコンサート会場に早変わり。落ちサビではリフトされた上半身裸のメンズに「何でいつも裸なの?」と赤飯が笑いながら突っ込む場面も恒例となっている。

「さくらんぼ」は某有名曲のカバーのため通称”みんなが歌える新曲”だが、次の曲へ移る前にも「俺達はここで、みんなが歌える新曲を持ってきました!」と同じMCが繰り返され、フロアからは「それさっき話してたよ??」というザワザワ感が漂う。赤飯の「みんな拳をあげてくれ!」という振りから始まったのは、某二人組デュオの超有名曲「YAH YAH YAH」のカバー。フロアには手を叩いて笑う人と、世代的に原曲を知らずにポカーンとする人など両極端で非常に面白い反応だった。しかしこれもオメでた流メタルアレンジが光っており、この場でしか聴けないのはもったいないくらいだった。今後も”みんなが歌える新曲”シリーズが楽しみだ。

元旦にリリースされた両A面シングルのもう一つ、「ダルマさんは転ばないっ」では”ダルマさんが転んだ”ならぬ”ダルマさんは転ばないブレイクダウン”が見どころ。赤飯の声かけに合わせ、演奏とフロアの動きが一斉にストップ。この流れが繰り返され、メンバーとフロアの駆け引きに笑いが起きる。音源とは異なるタイミングで静止させるなど、メンバーからのオメでたギミックも微笑ましい。また、MVで使用されていたダルマも登場し、フロアをダルマがサーフするという光景も見ることができた。



昨年10月のライブから行われるようになったバンドメンバー紹介もオメでたのライブでは欠かせない1シーンとなっている。ステージ後方からいつも優しい表情でメンバーとフロアを見守り、ライブ進行のキーを担ってくれているドラムのミト充。オメでたのオリジナル曲の制作を行い、メンバーや聴き手が最高に楽しめる世界を創り出し、ステージではアグレッシブな演奏を聴かせてくれるギターの324(みつよ)。バンドが円滑に回るようにあらゆる視点で冷静に先々のことを見据え、しかしながらその胸には熱い気持ちを秘めているオメでたのBrain、ベースのmao。アグレッシブなステージングに留まらず、赤飯と並んでボーカルを支えながらもフロアを見渡す爽やかな笑みが印象的なギターボーカル・ぽにきんぐだむ。そして「歌うことで一人でも多くの人を笑顔にしたい、楽しい時間を共有したい、それが生き甲斐であり自らが歌う理由」という信念の元、自他共に認めるライブバカの我らがオメでたいボーカル・赤飯。この5人に加え、我々単幸暴(ファン)も「Flo.」(フロア)というパートを担う一員であると赤飯は話してくれた。

「新年早々オメでたいフロアをありがとう!」という赤飯の言葉から、最後のメンバー紹介へ。「このフロアを作ってる俺達、お前ら全員が オメでたい頭でなによりだ!いいか覚えとけ、俺ら全員がオメでたい頭でなによりだー!!」と、一つ一つ言葉を噛み締めるようにフロアを見渡しながらそう伝える赤飯からは、全員が主役であり全員でこの空間を作っているという感謝と強い繋がりを感じることができた。オメでたのフロアでは【デリケートゾーン】(暴れない人のためのエリア)も忘れてはならない。ライブに参加する人それぞれのスタンスや楽しみ方へ最大限配慮した試みである。全員で同じ空間を作っているという意識を促してくれる、オメでたならではの誰も置いていかないライブ作りがここにあった。

そして本編ラストの「生霊の盆踊り」では間奏で赤飯がフロアに降り、リフトされた赤飯を神輿の櫓(やぐら)に見立ててその周囲をグルグル回る超絶スローサークルも名物の一つ。「みんなで手を取り合って」という歌詞パートでは左右と自然に手を繋ぎ、楽曲にリンクした光景をみんなで作り上げようとする様子も見られた。「共に生きよう」という言葉にも、赤飯の決意が垣間見られる。

アンコールでは、バンドの表題曲である『オメでたい頭でなにより』を披露。曲前のMCで、赤飯は自身が抱えていた想いと「今が一番幸せ」と思えるようになった経緯を話してくれた。「誰の役にも立ててねぇなーって思うときが一番人間って落ち込んだり悲しんだりすることがあるんじゃないかって思います。だからそのときでも笑っていようと決めたんです、このバンドを始めてから。それだけで誰かが救われているかもしれない。例えば今日このフロアの中で横の奴が笑顔になってる、それを見るだけで何だか楽しくなった瞬間ってなかったですか? もしなんかあったとしても、あんたがそこで踏ん張って笑顔になってりゃ誰かの役に立ってるんですよきっと。この光景を思い出して、自分が笑顔になっていれば誰かの役に立つんだ、そう思っていれば大丈夫だから。またいつでもここに元気をチャージしに来てください。オメでたい頭でなによりは、2017年もお前らと一緒に走り続けまーーす! そうです、ダブルピースです! 最高の笑顔と最高のダブルピースで一緒に歌ってくださーーーい!」

赤飯の呼びかけに呼応し、フロアでは見渡す限りの笑顔とダブルピース。ステージも隣も後ろもたくさんの笑顔が同じ空間を共有していた。フロアでは最前列からPA卓前まで一つの大きな輪になって肩を組んでラインダンスが行われ、その場にいた全員で全力の楽しみ方が表現できていた。「守りたいものはコレなんですよーーー!!」という赤飯の叫びは、その場にいた全員の想いでもあったはずだ。

最後の最後にはもう一度オープニングを飾った「SHOW-GUTS」を披露。歌詞にもある通り、人の波を乗り越えるサーフが大暴走!サーフしてきた単幸暴をステージに上げて今年の願い事を問うなど、「日の出ワンマン」と銘打ったライブに相応しい締めくくりとなった。新年早々元旦からデビューシングルをリリースし、間髪入れることなくレコ発ライブ。3月3日には早くもセカンドシングルのリリース、3月12日には同シングルのレコ発ワンマンライブも発表された。どこまでもオメでたく突き抜けている彼らに今年も目が離せない。

LIVE情報

mao生誕ワンマン〜maoプロデュース 可能な限りのわがままを添えて〜
2月26日(日)代官山LOOP

2ndシングルレコ発ワンマン オメでた新入生歓迎会
3月12日(日)新宿Zirco Tokyo

3ヶ月連続FML企画 1発目 vs ピアノゾンビ
3月20日(祝・月)六本木morph Tokyo

3ヶ月連続FML企画 2発目 vs ReVision of Sence
4月8日(土)心斎橋soma

両A面セカンドシングル『あられ雛DANCE!!/C'mon!!こいこい猪子課長』

2017年3月3日(金)ひな祭りリリース
レーベル:NANIYORI RECORDS
品番:OMECD-002
全国のCDショップにて予約受付中!

両A面ファーストシングル『SHOW-GUTS/ダルマさんは転ばないっ』

2017年1月1日(日) 元旦リリース
レーベル:NANIYORI RECORDS
品番:OMECD-001

◆オメでたい頭でなにより オフィシャルサイト

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